モノカキングダムという発作。時計の針が進むほど書きたくなる。《今週の三題噺発表》
文章界のM-1グランプリと聞いて、この時期、胸がざわつかない書き手がいるだろうか。
いや、いる。普通にいる。でも私は違う。モノカキングダムと聞いた瞬間、脳内でドラゴンクエストファンファーレが鳴り、なぜかサンタクロースが赤い服のまま原稿用紙を配り始める。
プレゼントは希望じゃない。締切だ。
夢じゃない。審査だ。
やさしい顔で「ほら、このテーマで書いてごらん」と言ってくるあたりが、サンタの皮をかぶった鬼教官。
モノを書くという行為は、だいたい孤独だ。誰にも見られていない部屋で、誰にも頼まれていないことを、なぜか必死に書く。
評価されるかどうかもわからない。読まれるかどうかも怪しい。それでも書く。
これはもう趣味とか表現とかを超えて、軽い症状だと思う。発疹とかと同じで。出るときは出る。止められない。
書かない日があると、なんだか落ち着かない。体のどこかがムズムズする。それが文章を書く人間の日常だ。
そこに「モノカキングダム」なんて名前の大会が現れる。文章界・note界のM-1。つまり、滑ったら寒い。ウケたら一瞬で持っていかれる。
しかも漫才と違って、スベっても誰も「スベったな」と言ってくれない。ただ、静かに時計の針だけが進む。カチ、カチ、と。心拍数と同じリズムで。これがいちばん怖い。
観客の笑い声がない世界で、審査結果だけが届く。ホラーである。舞台袖で手を叩き合う相方もいない。note記事と自分だけが、静かに対峙する。
それでも私は出たい。
なぜって理由は簡単で、書いてきた時間を、ここで一度まとめて殴ってみたいから。
これまで書いてきた文章は、中華料理店の裏メニューみたいなもの。常連しか頼まない。メニューにも載ってない。味は悪くないが、知られていない。「これ、うまいですね」とたまに言われると、その一言で半年生きられる。そんな文章ばかりを書いてきた。
誰かの目に触れる機会は少ないけど、書いた自分だけは知っている。この味、悪くないぞ、と。
モノカキングダムは、その裏メニューをいきなりメインディッシュとして回転テーブルの真ん中に置く行為だ。しかも照明付き。回る。めちゃくちゃ回る。もう逃げ場がない。恥ずかしさも情熱も、全部同時に出てくる。
これはもう、文章の公開処刑であり、同時に祝祭だ。誰かに見られることの緊張と、誰かに届くかもしれない期待が、同時に押し寄せる。この感覚を味わいたくて、私を含めた書き手は筆を取る。
私はこの大会に、うまく見せたい文章を出したいわけじゃない。正解っぽい文章もいらない。狙ったボケも、整った構成も、半分くらいでいい。
出したいのは「私はこれを書いてきた」という事実そのもの。泥だらけで、寄り道だらけで、たまに意味不明な比喩が飛び出す文章。それでも書き続けてきた、その姿勢を丸ごと投げたい。
技術より先に、熱量がある。
論理より先に、衝動がある。
そういう文章を、私は書いてきた。
情熱という言葉は、だいたい胡散臭く使われる。セミナーか部活の顧問が好む単語だ。スポーツドリンクのCMにも出てくる。
でも今回だけは使わせてほしい。
モノカキングダムに対する私の気持ちは、努力でも戦略でもなく、純粋な「書きたい衝動」だ。書かずにいられない。出さずにいられない。評価されなくても、出たという事実が欲しい。
この舞台に立ったという記憶が、今後の記事を埋める力になる。
文章を書く人間にとって、発表の場は命綱だ。誰にも読まれない文章を書き続けることは、誰もいない劇場で一人芝居をするようなものだ。
それでも続けられる人はいる。でも私は、たまには観客が欲しい。拍手が欲しいとは言わない。ただ、見ていてほしい。この文章が、ここに存在していることを、誰かに確認してほしい。
サンタクロースが年に一度しか来ないように、こういう舞台も頻繁にはない。時計の針は容赦なく進むし、気づいたら挑戦しないまま年を越している。
だったら私は、中華料理店の円卓に飛び乗ってでも参加する。皿が割れても構わない。音がうるさくてもいい。スープが飛び散っても、後で拭けばいい。大事なのは、飛び乗ったという事実だ。
モノカキングダム。これは勝ち負けの話じゃない。書いてきた人間が、「ここにいます」と名乗りを上げるための場所だ。
私は全力で、名乗る。声が届かなくてもいい。手が震えていてもいい。ただ、書いてきた時間の全てを、この一本の記事に詰め込んで、投げる。それだけだ。
《前回の三題噺》
1.サンタクロース
2.時計の針
3.中華料理店
説明しよう!三題噺とは、まったく関係のない3つの言葉を強引にひとつの話にまとめる文章遊びであーる。頭をフル回転させながら、「どうつなげる?」「オチどうする?」という落語的プレッシャーが味わえます。エピソード構成力、語彙力、そして無茶ぶり耐性まで育つ、文章版・筋トレRPG。それが三題噺。やってみなきゃ、もったいない!
《今週の三題噺》
1.年末の空気
2.2025年の振り返り
3.オードブル
ハッシュタグ
#木曜日は3ースデイ
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締め切りは一応来週12月31日(水)まで。
過ぎても大丈夫です。
#モノカキングダム
#放課後ライティング倶楽部
[画像協力:さちわ]
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