「誰かさんの誕生日」《水曜日のエッセイ by 逢志亭龍》
水曜日の記事は文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんが担当です。だいたい2ヶ月くらいで順番がまわってきます。
◆
私は私の生まれた日に、何を思うのだろう。
誰かさんは誰かさんの生まれた日に、何を思うのだろう。
不思議なもので、自分の誕生日が嬉しかったのは中学生くらいまでだった。
いつも誰かがお祝いをしてくれて、美味しい食事やバースデーケーキ、さらにはプレゼント〜欲しかったファミリーコンピュータのソフト〜が包装紙に包まれて準備されていた。そりゃあもう自動的に「楽しい記憶」として残るし、誰だって嬉しいじゃないですか。
それが、いつしか思春期になると親に反発ばかりして、祝ってくれるのも「当たり前」と思い始める……本当にあの頃に戻って自分をぶん殴ってやりたい。
「お前のことを愛してくれてるのに、どうして素直に受け取れないんだ! 親父はお前が思ってるよりずっと早くにこの世を去るぞ。お前のことを祝えなくなるんだぞ?」と……
最近は別の理由もついて回ってくる。
あちこちの身体の衰えに嘆きながら、いつしか「誕生日は嫌なもの」だったり「何でもない日」に格下げされてしまったりしている。
何でもない日?
違うぞ。
目を瞑って右の頬を差し出して待ってろ。未来の俺がぶん殴りに来るから。
そんな風に祝ってくれていた両親はもうこの世にいない。
けれども家族がいたり、かけがえのない友だちが祝ってくれる。
じゃあ全力で素直に受け取ろう。
ざっくり抽象的すぎるけれど、自分は幸せになりたい。
誰かの幸せも願いたいけれど、全員には思わない。
だって、そればっかり考えてたら自分のこと疎かになるでしょう。
だからそれでいいと思う。
文章を書くとき、全員に向けて書くことはできない。
書いてしまうと誰にも伝わらない/刺さらない文章になる。
むしろ、誰かを想像しながら書きなさい、と「放課後ライティング倶楽部」では教えてもらった。
私は私の生まれた日に、何を思うのだろう。
誰かさんは誰かさんの生まれた日に、何を思うのだろう。
私は誰かさんの生まれた日に、何を思うのだろう。
届いてますか? ヤスさん。
[ライター:逢志亭龍]
◆あとがき
ヤスです。こんなもん、泣いてまうわ。
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