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文章がすべてを支配する世界に召喚された件《ディスクライブ・メソッド・オンライン》


「さぁ、この広大で豊かな土地を自由に歩むがよい」


眩暈から解放されると、知らない場所に立っていた。


いつものように17時に記事を読んでいた。放課後ライティング倶楽部の主宰者、ひょっとこ仮面を付けたオーナー兼リーダーが毎日投稿している記事だ。内容はほとんど「書くこと」についてである。


日に2本の記事が投稿され、17時30分の投稿はクラブメンバーだけが読める。(今日も記事を読むか)と日課のようにnoteを開いて読もうとしたら、強烈な眩暈に襲われた。


思わず目をつぶり眩暈がおさまると、ここにいたというわけだ。


ざっぱーーん!


目の前には海が広がっている。尖った岩に波がうちつける。あれだ、東映のオープニングのあれだわ。


うしろを振り返ると知っているような全く知らないような黒スーツに黒シャツ、ひょっとこ仮面を付けた長身の男がこちらをぼーっと見ている。たぶん、仮面の下は笑っている。リーダーはうちらを追い詰めるのが好きだ。


自分の思考にふけっていると、いつのまにかひょっとこ仮面は消えていた。


ざっぱーーん!


先ほどから波の音はしていたはずなのに、耳に入っていなかったのか、急に大きく聞こえてきた。夢を見ていたかのようだ。


ざっぱーーん!


「……とりあえず、動こう」


今の状況がひょっとこ仮面リーダーの仕業だとしたら、ここがどこかわからない世界でも生命の危機はないだろう。さすがに良心を信じたい。どういう理屈でこの世界に来たのかは検討もつかないが。


ふと足元に視線を落とすと見慣れたロゴマークが付いてあるトートバックが置いてあった。中には双眼鏡と地図らしきもの、ノートとえんぴつ。


もちろんスマホはない。まぁ、お決まりの設定ならスマホがあっても電波は入らないだろう。


現実とは思えない今の状況に「これは、夢だな」となかば信じ込ませるように思考を切り替える。


双眼鏡をつかうまでもなく、500mほど先に町っぽいものがみえる。壁のないウォールマリアっぽい。とりあえずそこを目指してみよう。ちょっとわくわくしてきた。……さすがに命を脅かすような状況はないよな? 信じるぞ、ひょっとこリーダー。


町に到着し、アーチのような門のような町の入り口らしきオブジェをくぐると、飲食店らしき店があった。建物のデザインはやっぱり進撃の巨人に出てきそう。もう自分をゲームのキャラと割り切ってためらわずに店に入る。テーブルで向かい合い談笑していた男女が、こちらを振り向いた。


「ほらな。また来たよ」


男がこちらをチラ見し、女の方にまた顔を向けそう言った。


「また? え、どういう意味です?」

「いや、気にしなくていい。悪かった。こちらの話だ。ここはあんたみたいな人がたまに来る街なんだ。気にしなくていい。


ここは大陸に4つある国の間にある宿だ。あんたみたいな旅人を案内するためのね」


「ここにきた旅人はひょっとこ仮面のクエストをクリアしないと元の世界には戻れないんだ。クエストに挑戦するには装備も必要だしお金もかかる。やり方を説明するのがここの役割だよ」


……ほぉ。本格的にゲーム世界じゃないか。しかもオンラインゲームっぽい。ここはニュービー(初心者)の街ってわけね。得意分野だ、これ。


「お金はどうやって稼ぐんです?」


「ここの住人はエピソードに飢えてるんだ。面白い話はお金に代えられないからね。お金持ちも一般市民も、みんなエピソードを聞きたがっている。いかに面白い話をしたかでお金の稼ぎ具合は変わるよ」


ほぉ。どういう仕組みでお金が入ってくるかわからないけど、エピソードを書けばいいのか。うーん。ここの住人はどんなのが好みなんだろう。この世界の富豪はどんな話を書いているんだろう。


「わかりました。じゃあ早速ですが効率の良いお金の稼ぎ方をおしえてください」


女がびっくりしたような表情を一瞬見せ、すぐに笑顔に戻った。


「うふふ。あなた、「お前は冷たいヤツだ」って言われたことない?」

「え?!なんで……?」

「うふふ。そういう人、いっぱい見てるから。そうね、ここに行くといいわよ」


さらさらっと書かれた簡単でざっくりとした地図を渡される。丸マークでこの場所を、南の方角には星マークがついていて、そこにこう書かれてある。


情の街『アッタカ』


続く。

◆あとがき
いきなり召喚・転生モノっぽい小説を。文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』のメンバーさんが創った世界で、私も分身キャラを投入してみました。もし、文章を書くことがすべての世界に放り込まれたら、自分はなにをする?そして、なにを書く?

放課後ライティング倶楽部メンバー記事

[画像協力:さちわ]

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