#43【入試情報】東京都市大付属に要注意
管理型男子校の最高峰へ
ここ数年、中学受験界で最も勢いのある男子校はどこでしょうか。
もちろん、開成、麻布、武蔵といった御三家、
そしてそれに追随し肩を並べた駒場東邦、早稲田、海城といった存在は別格です。
それらを除き、「ここ数年で最も存在感を増した男子校」を挙げるなら、
私は間違いなく、東京都市大学付属中学校の名前を挙げるでしょう。
かつて都市大付属は、「世田谷にある理系の中堅男子校」というイメージを持たれていました。しかし現在、その立ち位置は大きく変わっています。
大学進学実績の向上に伴う、人気の上昇。
理系大学付属という立場を生かした理系教育と進学先確保。
午後入試のシステム整備に伴う受験生増。
どれを取っても、もはや中堅男子校の枠には収まりません。
私は現在の都市大付属を、「管理型男子校の最高峰を目指す学校」と考えています。
もちろん、「管理」という言葉を嫌う方もいるでしょう。しかし、実際に保護者が学校に求めているものを考えてみてください。
・勉強習慣をつけてくれる
・定期的に声をかけてくれる
・大学受験まで伴走してくれる
・進路指導が手厚い
・学習状況を把握してくれる
こうした学校への需要は、むしろ年々高まっています。
自由な校風を掲げる学校がある一方で、
「しっかり育ててほしい」と考える家庭も多いのです。
面倒見がよく、「入口より出口がたかい」「しっかり勉強をさせてくれる」ことが約束されている男子校。
その需要を最も取り込んでいる学校が都市大付属だと言えるでしょう。
東京都市大付属とは
東京都市大学付属中学校は、世田谷区成城にある完全中高一貫の男子校です。小田急線成城学園前駅から徒歩約10分という住宅街の中にあり、広いグラウンドと落ち着いた学習環境を持っています。
学校のルーツは、武蔵工業大学付属中学校・高等学校にあります。
かつては「むさこう」の名前で知られ、親しまれてきました。
2009年に武蔵工業大学が東京都市大学へと改称されたことに伴い、学校名も東京都市大学付属となりました。現在も東京都市大学を設置する五島育英会が運営しています。
しかし、現在の都市大付属は「大学付属校」というよりも、「大学受験を目指す進学校」と考えた方がよいでしょう。
実際、東京都市大学への内部進学を前提とする学校ではありません。高校募集を行わない完全中高一貫校であり、6年間を使って難関大学受験に向かうカリキュラムを組んでいます。高2までに主要教科の学習をほぼ終了し、高3では大学受験対策に集中する体制が整えられています。
都市大付属の最大の特徴は、「理系教育」と「面倒見の良さ」の両立でしょう。
理科実験や探究活動に力を入れていることはもちろん、補習や小テストなどを通じて学習習慣を定着させる仕組みも充実しています。保護者からも、
「のびのびしているが面倒見が良い」
「小テストや課題によって勉強習慣が身につく」
と、メリハリがあり、管理型だけではなく、楽しい学校生活も保障されている、という声が多く見られます。
男子校らしい活気も大きな魅力です。校長先生自身が「実に男くさい学校」と表現したこともあり、運動部を中心に部活動も非常に盛んです。自由すぎず、かといって厳しく管理しすぎるわけでもない。その絶妙なバランスが人気の理由なのかもしれません。
珍しい部活もたくさんあります。「勉強も部活も100対100」というモットーのもと、個性的な部活が多数活動しているのです。
アイスホッケー部、競技スキー部、そして自動車部なども知られています。
近年の中学受験界では、
・理系教育
・面倒見の良さ
・大学受験指導
・男子校らしい校風
という四つを求める家庭が増えています。
その需要を最も取り込んでいる学校の一つが東京都市大付属でしょう。
東京都市大学の付属ですから、理系教育に強いことに間違いはありません。
進学校としても面倒見がよく、現在は、本郷、攻玉社、世田谷学園などと並ぶ男子進学校として確かな地位を築きつつあります。
自由な校風を重視する麻布や武蔵といった自由放任型の男子校とはまた違う魅力を持った、今もっとも勢いのある男子校の一つと言える立場になったのです。
なお、系列校として東京都市大等々力中があります。こちらも同じ世田谷区内ですが、かつての東横学園中という女子中です。今は共学化しており、こちらも都市大に並ぶとも劣らぬ人気っぷりとなっています。
日程別に見る東京都市大付属
まずは2026年入試の数字を見てみましょう。
一時期、東京都市大付属中では、学校改革の中で入試日程も何度か変更がかかっていたものです。
しかし、27年入試は1日午前・1日午後・3日・5日の4回分の入試が行われることで決まっている状態です。

※第2回は算数・国語型と算数・理科型の2方式。
※2月3日、2月5日は募集人数に対して非常に多くの出願者が集まっている。
※2月1日午後の出願者数は合計1,163名に達している。
数字だけを見ると、「それほど倍率は高くない」と思うかもしれません。
しかし、これは非常に危険な見方です。どのような点が危険か、日程に分けてご説明しましょう。
①2月1日午後は危険!
私は都市大付属を受験するなら、最も注意すべきなのが2月1日午後だと思っています。
それは、受験者のレベルが非常に高いからです。
2月1日午前には、
・開成
・麻布
・武蔵
・早稲田
・駒場東邦
・海城
・芝
・本郷
・世田谷学園
・攻玉社
など、多くの男子最難関・難関校が実施されています。
そして、その受験生たちが午後に都市大付属へ流れてくるのです。
つまり、偏差値表の数字以上に強い受験生が集まります。
さらに午後入試には独特の難しさがあります。
午前の入試による疲労や移動による疲労が出始め、午前中でガス切れのようになって、普段はしないようなミスをする状態になるのです。
午前の出来が悪かったことによる精神的なダメージを受けてくる生徒もいます。12歳、人生初めての受験です。何が起こるか分かりません。
これらすべてを抱えながら午後受験しなければならないのです。
「安全校だから」「偏差値が足りているから」
という気持ちで受験すると、思わぬ結果になることがあります。
②2月3日、5日も高倍率化
2月3日は約5.5倍。2月5日に至っては6.7倍。
これは男子校の後半入試としては非常に高い数字です。
もちろん、募集人数が30名と少ないことも理由の一つでしょう。しかし、それだけでは説明がつきません。
2月3日、5日に都市大付属を受験する生徒は、より高いレベルの第1志望を2月1日に受けてきた、再挑戦組が中心です。
つまり、学力の高い受験生同士が最後の戦いを繰り広げているのです。
特に2月5日は、「ここまで戦い抜いてきた受験生」しか残っていません。
だから倍率以上に厳しい。偏差値以上に難しい。
そう考えてよいでしょう。
かつて都市大付属は「安全校」として受験されることもありました。しかし現在の2月3日、2月5日は明らかに違います。
都市大付属に強い進学意志を持ち、何度不合格でも受け続けてきた諦めない受験生。
あるいは難関男子校を目指し、不合格を受けながらも挑戦し続けてきた上位層。
その両方が集まることで、非常にレベルの高い入試になっているのです。
近年、「後半入試は受験生が減る」と言われることがあります。
しかし都市大付属はむしろ逆です。
後半になるほど人気が高まり、倍率も上昇している。
これは現在の都市大付属の勢いを象徴している数字と言えるでしょう。
③Ⅰ・Ⅱ類の区別の撤廃
2025年入試まで、東京都市大の合格コースにはⅠ類・Ⅱ類という違いがありました。どの日程で受験しても、上位層はⅡ類合格、という一段階上、他校でいう特待合格のような立ち位置が用意されていました。
しかし、2026年度入試から、東京都市大付属は長年続いてきたⅠ類・Ⅱ類の区別を廃止しました。これは今回の入試改革の中でも、実は最も大きな変更と言えるかもしれません。
従来の都市大付属では、難関国公立大学を目指すⅡ類と、それ以外の進路も含めて幅広く学ぶⅠ類という形でコースが分かれていました。しかし、入学時点の12歳の段階で将来の進路を細かく分けることが、本当に必要なのかという議論が近年強まっていました。
実際、中学入学時の学力差は決して固定されたものではありません。6年間の中で大きく伸びる生徒もいれば、逆に中学受験時の貯金だけでは通用しなくなる生徒もいます。学校側としても、早い段階で生徒に「Ⅰ類」「Ⅱ類」というラベルを貼ることのデメリットを感じていたのでしょう。
また、受験生側から見ても、「Ⅱ類に入らないと不利なのではないか」「Ⅰ類だと上位大学を目指しにくいのではないか」といった不安の声がありました。特に男子は一度序列意識を持つと、それが6年間続いてしまうことも少なくありません。
今回のコース統合によって、学校全体で生徒を育てるという方針がより明確になりました。上位層は上位層として伸ばしながらも、中学段階ではできるだけ同じ環境で学び、成長に応じて進路を選択していく形へと変わったのです。
一方で、入試の難易度という意味では影響もあります。従来であればⅡ類志望者が集中していた上位層が一つのコースにまとまるため、学校全体としての学力水準はさらに上昇したのです。実際、都市大付属は午後入試や後半入試の人気も高まっており、難関校としての色彩を年々強めています。
私はこの変更を、「大学付属校」から「難関進学校」への最終段階だと考えています。Ⅰ類・Ⅱ類という区分をなくしたことによって、都市大付属はより明確に、「全員で難関大学を目指す男子進学校」という方向へ舵を切ったのではないでしょうか。
もはや「押さえ校」ではない
実際、都市大付属は現在、多くの家庭にとって第一志望になってきました。
特に保護者の方からの評価は非常に高いように感じます。
「男子だからこそ、しっかり見てほしい」
そう考える家庭にとって、都市大付属は非常に魅力的な学校なのです。
以前、このポジションにいたのは本郷でした。
そして世田谷学園も同じ市場に参入しようとしていました。
しかし現在の受験市場を見る限り、
都市大付属はすでに世田谷学園を抜いたと言ってもよいでしょう。
偏差値は、同じ管理型男子校の本郷へぐんぐんと迫っている状況です。
もちろん世田谷学園も素晴らしい学校です。
しかし、「管理型男子進学校」というカテゴリーでは、現在の都市大付属の勢いが際立っています。
もちろん、世田谷学園が悪くなったわけではありません。
現在でも東大5名、国公立大学55名など安定した進学実績を残しており、男子進学校として高い評価を受けています。禅の精神を重視した教育や落ち着いた校風に魅力を感じる家庭も多いでしょう。
しかし、受験市場という観点で見ると、現在の東京都市大付属は明らかに一段上の人気を獲得しています。
管理型男子校の時代へ
近年、男子校人気が落ちていると言われることがあります。
しかし実際にはそうではありません。
人気を集めている男子校は確実に存在しています。
本郷。攻玉社。そして都市大付属…
これらの学校に共通しているのは「大学受験までしっかり育ててくれる」という安心感でしょう。
麻布や武蔵のような自由な校風を好む家庭もあります。
一方で、
「勉強習慣をつけてほしい」「大学受験はさすがに協力体制が必要」」
という家庭もあります。
都市大付属はまさにそのニーズを満たしているのです。
まとめ
東京都市大付属は現在、中学受験界でもっとも勢いのある男子校の一つです。
・管理型男子校の最高峰を目指している
・2月1日午後は超激戦
・午後入試だから安全とは言えない
・受験生のレベルは非常に高い
・大学進学実績も上昇中
・男子校人気を支える存在になっている
私は都市大付属を受験する家庭に対して、あえてこう言いたいと思います。
「東京都市大付属に要注意。」
それは通うのにおすすめできないとか、危険な学校という意味ではありません。
人気、難易度、そして学校としての勢い。
そのすべてが、私たちの想像以上に大きくなっているという意味なのです。
どうしても東京都市大に通いたいなら、2月1日午後はできるだけ回避し、まず1日午前に着実に合格をとることが堅実でしょう。
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