ディスコは君を差別しない。

私は怒っている。ステルス差別が多すぎるのだ。

新聞を開く。
「コブラの粉末がすごい!飲めば毎晩満足。今では妻とハマっています」などの文字が躍る。いくら広告だからといって、こんな現実世界で言われたら一発セクハラでアウトな言葉を載せていいんだろうか。これを見せられる人の気持ちを何も考えていないし、これを載せるのを許可している新聞業界のおじさんたちにも反吐が出る。

文字から離れて街に出る。
いつもは音楽のライブばかり足を運ぶけれど、たまには寄席でも見てみようか。チケット売り場に行ってみるといろとりどりのポスター。ふと1つに目が行った。「上手い、可愛い、華がある!三拍子そろった“寄席のプリンセス”」というキャッチフレーズで売られている落語家がいた。女性だ。モノクロ写真でもわかるようにツヤツヤのグロスが塗られ、ばっちりとメイクした横顔。このうたい文句を「誉め言葉」だと信じて使っている人たち、きっとこれもおじさんなんだろう。だって男性の落語家に「色っぽくてかっこいい!落語界のプリンス」なんて売り出し文句をつけますか?彼女だって実力で評価してほしいけれど、上層部の売り出し方には文句を言えないのだろう。たかがポスター一つでこんなに反応してしまう私がおかしいのだろうか。

仕事に戻る。
小学生に関わる仕事をしている。生徒のみなさんに読んでもらうテキストを作っていた時のこと。原稿を見てみるとそこで使用されているイラストがどうも引っかかる。女の子はみな一様にピンクの服を着ている。当然のようにスカートを着用させられていて、頭にはリボンがついている。ランドセルは赤色。この資料を作った人たちの中には、子どもを持つ親もいるだろう。なのになぜ、これを、この偏見にまみれたイラストを、自分の子どもが読むかもしれないということを考えられないのだろう。このイラストを子どもが見て「あぁ、女ってこれが正しいのか。ここから外れてはいけないのか」という刷り込みになることを、なぜ考えないのだろう。

「すみませんが、このイラストは変えた方がいいと思います」と声を上げた。場が苦笑いに包まれる。制作者も、最終ジャッジをする担当者も、「そこまで気にしなくていいんじゃない?」と言う。いや、私は見ているし、気になったから声をあげたんだ。私の声を無視しないでほしい。こんな偏見にまみれたものを、生の、まだ何も知らない子どもに植え付けないでほしい。あなたたちの悪意のない無理解が、この差別にまみれた日本を作っているのですよ。気づいてくれ!マイノリティの声を、無かったことにしないでほしい。「誰もそこまで見ていないですよ。納期も迫っているしこのままいきましょう。」という一言で、お開きになった。

待ってくれ。私はただ、じぶんの子どもを守りたいだけ。魚の小骨があったら抜いてほぐしてやるのと一緒。みぎひだりを見ないで横断歩道を渡ろうとしていたら、声をかけるだけ。危ないものがあったら取り除く。それと一体なにが違うのだろう。

最後の一言を言ったのは女性だった。彼女が独身で子どもがいないことを指摘するのは、逆差別なんだろうか。これを読んだあなたはどう思いますか?


坂本慎太郎 / ディスコって

今 男が 女に声をかけた
今 不思議な 沈黙が訪れた
ディスコは君を差別しない
ディスコは君を侮辱しない
ディスコは君を区別しない
ディスコは君を拒絶しない

(中略)

今 女が 男の肩に触れた
今 男が 男と腕を組んだ
今 女が 女とキスをしてた
今 男が 男と外に消えた
ディスコは君を差別しない
ディスコは君を侮辱しない
ディスコは君を区別しない
ディスコは君を拒絶しない
ディスコで君は何もしない
ディスコも君に何もしない
ディスコに君は期待しない
ディスコも君に何も求めない

ディスコって 男や 女が 踊るところ
ディスコって 不思議な 音楽かかるところ
ディスコって 男や 女が 出会うところ
ディスコって いつでも 一人になれるところ
ディスコ

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青 石(せい せき)/ 文筆家・校正者・イラストレーター この記事を気に入ってくれたら、よければチップお願いします。一口100円から、何度でもOKです。いただいたお金は記事作成に使わせていただきます。