【震える手】友人代表スピーチ【賭けにでたアドリブ】
ありがたいことに、友人の結婚式にて、
友人代表スピーチに任命されることがこれまで3回あった。
この数字が多いのか少ないのかはわからないが、
友人のかけがえのない1日の中の一役を担わせてもらうことは、
本当に嬉しく、光栄なことだった。
もともとかなりの緊張しいなので、スピーチは3回やっても慣れない。
一応、1回目、2回目は予定通り、
しっかり伝えたいことを伝えてやり切ることができた。
だが3回目にて、その緊張しいが発露し、止まらなくなってしまった。
そして恥をかかぬよう一発の賭けに出て、なんとか乗り越えた・・・。
そんなエピソードがあるので、
本記事にてぜひとも紹介させていただきたい。
※かなり長い文章になること、あらかじめご了承ください。
高ぶる思いと、高まる緊張
その友人R君は、高校時代の部活のチームメイト。
結婚式の友人代表スピーチをやってくれとお願いしてくれた。
共に目標に向かって汗を流し、
社会人になってもなおそのスポーツの大会に一緒に出たり、
指導者の立場(友人はコーチ、自分は部活動の顧問)として一緒に試行錯誤してきた。
だからスピーチにて伝えたいことは山のように出てくる。
原稿を作るのには時間がかかったが、
なんとか慣例に従い、5分に収まる文章にまとめることができた。
そして迎えたR君の結婚式。
平常心を保っていたつもりだったが、しっかり緊張が顔に出ていたらしく、
同じテーブルの友人に茶化された。
出てくる料理はどれも美味しそうだったが、味わう余裕がなかった。
何度も写真を撮ったし、自分も撮ってもらうが、どの顔も表情筋が固まっていた。

もっと味わって食べたかったが、それどころではなかった…。
一口に緊張といっても、いろいろなタイプがある。
自分は頭が真っ白になったりはしないが、
身体に力が入ってしまうタイプの緊張をする。
そのため少し呼吸が浅くなり、手が震える・・・。
また、当時はまだコロナ禍であり、マスクがさらに呼吸をハードにする。

人生3回目の友人代表スピーチへ
ついに自分の名前が指名される。
立ち上がってからマイクに辿り着くまではお手の物だ。
各所に一礼し、堂々とした表情で、所定の位置に歩みを進める。
だがここで、思わぬ誤算が立ちはだかる。
スピーチをする所定の位置が、とんでもなくアウェイだったのだ。
いや、詳しく言えば、
新郎側ではなく、新婦側にマイクが立ててあったのだ。
新郎R君側の出席者もそこそこいたが、
新婦側の出席者はそれはもう膨大な人数だった。
比率にすると1:4くらい。
ほとんどが知らない人だ。
万が一スベってしまったときの頼みの友人たちが、
はるか遠くに位置している。
会場の雰囲気もガヤガヤした感じではなく、
真剣に聞いてくださる感じである。
そのため、新郎新婦を茶化したり、
ジョークを交えるハードルが猛烈に上がった。
手元の文章を見ながらかつてないほど頭をフル回転させ、
「ここではやっぱり、かしこまった感じで行こう」などと当初のスピーチプランをいくつか変更していく。
スピーチを覚える時間はなかった。
言い訳になるが当時の自分は仕事の関係でなかなか時間が取れず、
手紙を手に持つスピーチとなった。
スピーチの序盤中盤は予定通りに進んだ。
だがだんだんと、身体がこわばってくる。
噛まないように、棒読みにならないように….
だんだんと、手紙を持つ手が震えてくる。
時折、会場に視線を戻すと、本っっっ当にみなさん、
真剣に聞いて下さっている。
手元の料理を食べてくださっても構わないのに。
自分のスピーチをラジオ代わりにしてくれてもいいのに。
そのため、緊張が緊張を呼ぶ。
ついには手紙を持つ手の震えが止まらなくなってきた。
目の前の人に普通にわかるレベルではないか。
でもまだ、一番最後の最も心を込めたい内容が残っている。
その大一番を、手の震えでぶち壊したくはない。
この間、ほんの数秒の思考であるが、
どうにかせねばと再度、頭がフル回転する。
ここで、瞬間的に、とある結婚式スピーチの”お手本”が思い出された。
”お手本”のフラッシュバック
それは当時のさらに2年ほど前、別の友人の結婚式。
代表スピーチをするのは、大手の証券マンである友人N君。
手紙は手に持っておらず、手に持つマイクで堂々と、
感動的な思い出や会場を爆笑させるエピソードを話していく。
僕は終始、圧倒されていた。
そして一番の見どころは最後の一言であった。
N君は所定の位置から新郎の近くに移動し、声質を変え、語りかけるように熱い思いを伝えた。
会場全体がN君の雰囲気に飲まれていたと思う。
とんでもなくカッコよかった。
溢れんばかりの拍手がそのスピーチのすごさを物語っていた。
クライマックスへ、”アドリブ”で
コレだ!と思った。
パクリにはなってしまうが、コレしかない!と思った。
(なお、N君がスピーチした結婚式の出席者と、今回の式の出席者は1人もかぶっていない。)
手紙から目を離し、
震える手をなぎ払うかのようにマイク台からマイクをとり、
R君の前に歩み寄り、
それまでのかしこまった口調をやめて語り口調で、R君に思いを伝えた。
R、本当に、おめでとう。
共に汗を流し、戦ってきた戦友を、
辛いとき、寄り添ってくれた親友を、
そして、今後も共に高め合える仲間を、
心から、祝福します。
伝えた。
一番伝えたかったことを、伝えられた。
そしてまた所定の位置に戻り、締めの言葉を添えて、
”伝えきったぞ”感を堂々と表情に出しながら礼をして、
僕の友人代表スピーチは終わった。
会場からは割れんばかりの拍手をいただいた。
新郎側の勤務先の来賓者の方には、「採用!ウチに入社してくれ!!」と称賛していただいた。
手紙を新郎席のR君に渡し、
なおも”やり切ったぞ”感を堂々と表情に出しながら自分の席に戻った。
会場の方々はみんな、次の新婦代表スピーチに注目していたが、
僕はテンパりながらもなんとかアドリブで乗り切ったことに、しばらく余韻に浸っていた。
式の終盤には、「花束を君に」(宇多田ヒカル)が流れた。

経験を糧に
これが僕の人生3回目のスピーチだった。
いつもは基本、何事にも石橋をたたき、じっくり計画、シミュレーションをしながらのぞむタイプなので、
今回のような瞬時のアドリブで乗り切れたことは貴重な経験だった。
この経験をきっかけに、
「前々から詰めすぎず、もうちょい、
本番の自分の力を信じてやっていこう」
とより一層、考えるようになったと思う。
改めて、こんな大役を任せてくれたR君には本当に感謝している。
あと、ありがとう、N君。
たいへん長くなってしまいましたが、
ここまで読んでいただきありがとうございました。
それでは、また次の機会に。
