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20年をかけてやっと出来た曲

80年代、つまり自分が20代の頃はやみくもに色んな音楽を聴きました。TVではMTVが放映されはじめ、イギリスの音楽も色々なところで聴かれるようになり、その中心はやがてイギリスからアメリカに移りました。

当時は東京に住んで働いていたので、毎日のように中古レコード・CDショップ巡りをしアナログの新譜を楽しみにしていました。渋谷や新宿で色んなレコードやCDに出会いました。それから5年ぐらいは音楽から離れました。結婚し子どもが出来てそれどころではなかった。

そんな時、六本木で仕事の打ち合わせがあった帰りに当時のWAVE六本木店に何気なく入ってみました。話しはそれますがそのWAVEの入り口で誰かと待ち合わせをしている坂本龍一さんを見かけた事もありました。話は戻り、まさにその時、そこで新しいテクノミュージックに出会いました。デトロイトテクノやWarp Recordsの音楽が新鮮だった。高校生の頃、初めてYMOの曲を聴いた時の衝撃が再現したような感動でした。しばらく音楽から離れていたので音楽自体に飢えてしたかもしれません。20代の頃はNEW WAVEやジャズロック、クラッシックなんかが好きだったけれど、30歳を過ぎてどれも聞く気になれなかった事もあって一気にのめり込みました。今でも一番のお気に入りはTom Middleton と Mark PritchardによるGlobal Communicationですね。もう傑作揃い。今は解散してソロでそれぞれ活動しているようですが、また再結成してほしいです。それぞれのソロの作品を聴くとやっぱり2人揃ってあの音楽ができるんだなと感じます。雑誌のSound & Recording Magazineに2人のインタビュー記事が載った時は何度も何度もその記事を読み返しました。インターネット黎明期でしたから本から情報を得る事しかできませんでした。

丁度そのころからレコードのフレーズ等をサンプラーに取り込み楽器の様に扱う手法が一般的になってきて、こういう音楽なら自分でも作れるかもしれないと思い、手頃な値段で買えるようになってきた少し古いシンセやサンプラー等をこつこつ集めました。ローランドのS330を始めにYAMAHAのTX81Z、DX100、CASIOのCZ101、Oberheim Matrix 1000、KAWAIのK4r、Roland R8、KORG SDD2000、Alesis Quadraverbなんかを並べてKAWAIのシーケンサーで曲を作りMIDIで同時に鳴らしていました。MACKIEのミキサーからカッセトテープデッキへの録音でした。とはいえ当たり前ですが子どもも少しづ大きくなりフリーランスで仕事をしていて、妻は勤め人でしたので家事全般は私が担当していました。幼稚園の送り迎え、帰ってから夕方まで一緒に遊び夕飯を作り、お風呂に入り、寝かしつけて帰ってきた妻に起こされて夜の仕事場へ行き朝方まで仕事をする毎日に趣味で音楽を作る余裕などまったく無くなってしまいました。

それから10年。ようやく生活が落ち着き、PCのスペックがかなり上がり、夢のDTMが実現できるようになりました。もうその頃は何度かの引っ越しで、シンセや機材はすべて売り払っていたので、ソフトと打ち込み用のキーボードとヘッドフォンとオーディオインターフェイスを用意して休日に少しづつ曲づくりを始めました。最初はACIDとReasonを使ってみたのですが共にステップ入力がしにくかったのと、たまたま古本屋で出会ったAbleton Liveの解説本に惹かれてAbleton Liveを導入しました。たしかバージョン6か7だったと思います。とはいえオーディオインターフェイスもまだまだ高く選択肢が少なかったので最初に買ったのはたしか中古のE-MU 0404だと思います。安定感はなかったけれどWindowsで動くのは画期的でした。やがてAbleton Liveも8になって抜群の安定感と様々な機能の充実で色んなことにトライできるようになりました。とはいえ、もともと、子どもの頃にピアノを習ったぐらいの経験と楽器を扱えない、基本的な音楽知識は皆無では簡単に曲はできませんでした。8小節の断片みたいなものはできるのですが、素人の私には一般的な「曲」にするのは本当に難しかったし今でも難しいです。今思うと纏まった時間もなく少しづつ休みの日に右往左往しながら曲の断片を作り続けるばかりでした。

それから20年はあっという間に過ぎ去り、子どもたちは社会人になり、結婚し、還暦を迎え、孫が生まれ、この歳になってようやく自分の為に時間が使えるようになって曲づくりに没頭できるようになりました。オーディオインターフェイスも音質や機能が向上しLiveもどんどん機能が増え、マスタリングが完結できるクオリティまで進化しました。で、ようやく「曲」なるものが出来たのです。外部の楽器は一切なくすべてプラグインで完結できた。趣味とは言え20年続けてきて何とか形にできて良かったと思います。辛く苦しい時も好きな音楽といろんな場面で出会った曲や妻に励まされれ何とか今があると思っています。今でも大好きなミュージシャンは沢山います。今回作った曲はまさにそんな人たちへのあこがれと感謝の気持ちで作ったオマージュです。Freddie Hubbard、Ian Carr、Jukka EskolaやElectric Music。そもそも今回目指したJazz Houseなこの曲の構成は打ち込みとJazzなんて難度が高すぎたんですね。無謀でした。ですがハウスの4つ打ちに管楽器やパーカッションを絡めると何となく良い雰囲気の曲ができるのですが、かなり色んな素材に頼っています。最近ではAIで曲を作成できるサービスが主流になりつつありますが、とりあえず自力でまだまだ作りたいですね、自分の聴きたい曲を。

使用ソフト、プラグインを紹介しておきます。DAWはAbleton Live 12 、各トラックのエフェクトやミックスにはWaves、FabFilter、ソフトシンセはu-heのHive2とRepro-1、RolandのZENOLOGY、SpectrasonicsのKeyscape、Pianoteq、がメインです。最終2mixのマスタリングはiZotopeのOzone12のプリセットを調整して原音のバランス崩さないようにまとめています。少し低音や音圧が足りない感じはしますが今はこれで良しとしています。ちなみにAI作曲サービスなどは使用しておりません。

ここまで読んでくださった方、もし良かったら是非一度20年かかって形になった曲を聴いてみてください。YouTubeでは限定公開にしています。またご感想やアドバイスなどがあればお聞かせください。これから曲にできそうな素材もかなりできてきましたので、音楽にまつわる話しと共に順次アップできたらなと思っています。ジャンルはTechnoやHouse、女性ボーカルありなど多彩な展開になる予定です。洋楽の苦手な方には少し不向きかもしれませんが悪しからず。

Turquoise Bedroom - Infinity

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