『イミディエイト ファミリー』を観て
数々の名曲の裏側で活躍してきたセッション・ミュージシャン。
今日も続く音楽の旅路を共に歩む
彼らの軌跡を追った音楽ドキュメンタリー。
(映画公式サイトより引用)

先日、『イミディエイト ファミリー』を観てきた。70年代の洋楽ファンとしては見逃せない作品だと思っていたが、期待以上の内容だった。
こうした音楽ドキュメンタリーに触れられる機会は貴重で、鑑賞できたことをとても嬉しく思う。
名曲の数々を支えてきた人々の存在や、自分が長年親しんできた楽曲の背景、時代の空気を感じることができ、改めて音楽の奥深さと魅力を実感した。
セッションマンたちは皆それぞれ年齢を重ね、過去のツアーを振り返ったり、レコーディングの裏話を語り合ったりするなかで、お互いをどう見つめ、どのように刺激し合い、高め合ってきたのか――これまで知らなかった数々のエピソードに胸を打たれた。
70年代当時の写真や映像など、初めて見るものも多く、それらも自分にとって貴重な体験だった。
流れる音楽に耳を澄まし、ダニー・コーチマーと言えばジェイムス・テイラーにキャロル・キングよね?と思ったり、この曲のドラムはラス・カンケルだったのか、このギターはワディ・ワクテル、あぁ、このベースがリーランド・スカラーだったのか…と、そんな発見をひとつひとつ拾い上げながら観ていた。
ジェイムス・テイラーやキャロル・キング、フィル・コリンズ、ジャクソン・ブラウン、ドン・ヘンリー、リンダ・ロンシュタット、そしてキース・リチャーズといった錚々たるミュージシャンたちが、彼らとの思い出やエピソードを語る。
なかでも印象的だったのは、スティーヴィー・ニックスがギタリストのワディ・ワクテルについて語った言葉だ。「彼なしの、自分の音楽人生は考えられない」とまで言い切るその深い信頼と敬愛に、二人が長年にわたって築いてきた特別な絆が感じられた。
長いツアーで家を空けることも多く、家族と過ごすかけがえのない時間を十分に持てなかったことへの後悔を語るラス・カンケルの言葉と表情も胸に残った。
そしてそれぞれの想いを胸に、再びセッションミュージシャンとしての日常に戻っていく。
観終わった後には、温かな感動が静かに心を満たしていた…。
映画のあとに入ったランチのお店では、若いお客さんで賑わっているのに、なぜか懐かしい洋楽が流れていて、ジェイムス・テイラーの曲が何度もかかり、そのたびに思わず耳を傾ける。
「2026年になぜ70年代の音楽が流れているの?もしかして私のための選曲?」などと勝手にうれしい勘違いをしてしまった。
そんなささやかな偶然も、その日をより特別なものにしてくれた。
数え切れない名曲を陰で支えてきた伝説のセッションミュージシャンたち。その存在にスポットライトを当てる作品が生まれたことを音楽ファンとしてとても嬉しく思う。
これまで楽曲そのものにばかり意識が向いていて、その作品を支えるセッションミュージシャンたちの存在について深く考えたことはなかった。今回この映画を観て、彼らに目を向けるきっかけになり、これまで以上に音楽を味わえるような気がしている。
映画で流れた楽曲の一部を貼っておきます。
カントリー・ロード Country Road(1970)
ジェイムス・テイラー
イッツ・トゥー・レイトIt's Too Late (1971) キャロル・キング
孤独なランナー Running on Empty(1977)
ジャクソン・ブラウン
エッジ・オブ・セブンティーン
Edge of Seventeen (1981)
スティーヴィー・ニックス
