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謝れば解いてもらえるんですよ ―― フロリダの「ロバート」に届き続ける手紙の問題

呪いというのは、基本的に一方通行なんですよ。
祟られたら終わりなんですよ。謝る相手がいないんですよ。人間じゃないから。
でもフロリダ州キーウェストにいるロバート・ザ・ドールは違うんですよ。
謝れるんですよ。手紙を書けば受け取ってもらえるんですよ。そして呪いが解けるかもしれないんですよ。
だから世界中から手紙が届くんですよ。今日も、昨日も、明日も、フロリダの博物館に届くんですよ。「すみませんでした、呪いを解いてください」という手紙が、人形に向けて。
いやもう、何ですかこれ。何が起きているんですかフロリダで。
今日はその話をします。

ロバート・ザ・ドール、という話

まず現物の話をするんですよ。
ロバート・ザ・ドールは実在するんですよ。フロリダ州キーウェストのフォート・イースト・マルテロ美術館に、プレキシガラスのケースに入って今でも展示されているんですよ。
身長は約100センチ。木毛が詰まったぬいぐるみで、ドイツのシュタイフ社が1904年頃に製作したと確認されているんですよ。
何ですか、その「確認されている」。
水兵服を着ていて、小さなぬいぐるみの犬を抱えていて、顔には色褪せた塗料の跡があるんですよ。かつてはジェスターに似た表情をしていたとも言われているんですよね。
本当ですかね。
このロバートという人形に名前をつけたのが、オーナーだったロバート・ユージーン・オットー少年なんですよ。自分と同じ名前を人形につけて、自分は「ジーン」と名乗るようにしたんですよ。
何ですか、その「自分が名前を譲った」。

ジーンとロバートの話

1904年頃、キーウェストのオットー家の少年ジーンがこの人形を受け取るんですよ。
誰から受け取ったかについては二つの説があって、ひとつは「祖父がドイツで購入した」という説、もうひとつは「オットー家に仕えていたバハマ出身の使用人が、家族への復讐のためにヴードゥーの呪いをかけて贈った」という説なんですよ。
本当ですかね。
ジーンはロバートを溺愛したんですよ。どこへ行くにも一緒で、食事の席にも座らせて、まるで生きている友人のように接していたんですよね。
問題が起き始めるのはそのすぐ後で、オットー家の両親が息子の部屋から「二つの異なる声で会話している」声を聞き始めるんですよ。ジーンの声と、もうひとつの聞き覚えのない声が。
いやもう、これがもうすでに怖いんですよ。
家具が倒れる音が夜中に響いて、駆けつけると部屋中が荒れていて、怯えるジーンだけがいるんですよ。ジーンは毎回言うんですよ。「ロバートがやったんだよ」と。
何ですか、その「ロバートがやった」。

大人になってもの話

ここで少し冷静な話をするんですけど。
子どもが人形に責任を転嫁するのはわかるんですよ。子どもはそういうものなんですよ。「私じゃない、お人形が悪いの」というのは珍しい話じゃないんですよ。
でもジーンは大人になってもロバートを手放さなかったんですよ。
ニューヨーク、シカゴ、パリで芸術を学んで、1930年に妻のアンを連れてキーウェストに戻ったとき、ロバートも一緒に連れ帰っているんですよ。
本当ですかね。成人してパリ留学した人間が人形を連れて帰るんですよ。
アンはロバートを嫌ったんですよ。成人した夫がずっと古い人形と暮らしていることを、理解できなかったんですよ。それは正気の反応なんですよ、ある意味。
ジーンは自宅の塔のような部屋をロバートの部屋にして、そこで絵を描く日々を送っていたとも言われているんですよ。
近所の子どもたちはオットー家の前を歩くのを怖がっていたんですよ。ロバートが二階の窓から見ていて、家族が外出中にも姿が見えた、という話が近所で語られていたんですよ。
何ですか、その「家族が外出中にも」。

博物館に来てからの話

ジーンは1974年に亡くなるんですよ。70年間ロバートと過ごしたんですよ。
その後、妻のアンがロバートを屋根裏のトランクに閉じ込めて、アンも2年後に亡くなるんですよ。
次の所有者マートル・ロイターが屋根裏でロバートを発見して、20年間一緒に暮らした後、1994年にフォート・イースト・マルテロ美術館に寄贈するんですよ。「一人で動き回っていて、怖かったから」という理由を添えて。
本当ですかね。
マートルは寄贈から数ヶ月後に亡くなっているんですよ。
いやもう、寄贈したら数ヶ月で亡くなるんですよ。
ぼかぁね〜、このタイミングだけで記事が書けるんですよ。でも続きがあるんですよ。
博物館に展示されてから、カメラが誤作動する、電子機器が突然止まる、という報告が増えていくんですよ。そしてほどなくして、手紙が届き始めるんですよ。

手紙の話

謝罪の手紙が届き始めたんですよ、ロバートに。
「無断で写真を撮りました。すみませんでした」「笑いながら写真を撮ってしまいました。それ以来、不幸が続いています」というような内容なんですよ。
これが今でも毎日1通から3通届いているんですよ。累計1,000通を超えているんですよ。
本当ですかね。
実際に届いた手紙の一節がこういう内容なんですよ。「キーウェストを離れてから、とても恐ろしいことが起きています。夫の指輪からダイヤモンドがなくなりました。私は腱板を断裂しました。娘の結婚式は中止になりました。全部、帰宅前に起きました。呪いを解いてください。本当に申し訳ありませんでした」と。
何ですか、その「帰宅前に起きました」。
そして美術館のルールが明確に存在しているんですよ。「ロバートの写真を撮る際は、事前に許可を求めてください」というルールが、公式の案内として掲示されているんですよ。
公式のルールなんですよ。博物館の。人形への許可を求めることが。

結局、ロバートは何なのか

答えは出ないんですよ。
チャイルド・プレイのチャッキーはロバートがモデルではないかとも言われているんですよ。これは確定した話ではないんですけど、あの映画を見た後にロバートの写真を見ると、確かに否定できないものがあるんですよ。
水兵服を着た、少し色褪せた顔の人形が、プレキシガラスのケースの中に座っているんですよ。今日も、明日も、手紙を受け取りながら。
100年以上存在し続けているんですよ、ロバートは。オーナーは全員先に死んでいるんですよ。ロバートはいるんですよ、ずっと。
怖いのはロバットが何かするかもしれないことじゃなくて、ロバートが何もしなくても世界中の人間が勝手に手紙を書き続けていることなんですよ。
ロバットは何もしていないのかもしれないんですよ。でもそれでも、手紙は届くんですよ。
あなたがもしキーウェストに行くことがあって、ロバットの前で写真を撮るときは、まず声に出して許可を求めてほしいんですよ。
「ロバート、写真を撮ってもいいですか」と。
まあ、返事はないんですけど。
たぶん。

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vandy|都市伝説・オカルト 最後まで付き合ってくれて、ありがとうございます。もしこの怪しい話を楽しんでもらえたら、チップで応援してもらえると嬉しいです。次の取材と、ちょっとマシなコーヒー代にさせてもらいます。もちろん、なしでも十分嬉しいですよ。