沖縄カヌチャに掛かる虹
《連続2368日目!》
冬の沖縄旅の一日目。
宿泊先に選んだのは、東海岸にあるカヌチャリゾートだった。
沖縄本島の北部、「やんばる」と呼ばれる地域。
深い緑の森が続き、その先に、おおらかで静かな海が広がっている。
カヌチャは、そんな沖縄らしい自然に、そっと包まれるような場所にある。

実はここ、個人的にも大好きなホテルだ。
以前勤めていた会社で、社員旅行の幹事をやっていたとき、思い切って全社員をこのホテルに泊めてもらったことがある。
あのときの、みんなの表情や、夜のロビーのにぎやかさを、今でもよく覚えている。
だからカヌチャに来ると、少しだけ懐かしい気持ちになる。

この季節の楽しみのひとつが、イルミネーション。
広い敷地のあちこちが眩い光で彩られていて、夜になると、昼とはまったく違う顔を見せてくれる。
リゾート全体が、夜を楽しんでいるような、そんな空気になる。

そんな期待を胸に到着したカヌチャ。
それまでずっと晴れていた空が、嘘みたいに、突然ざっと暗くなった。
スコールだった。
南国らしい、迷いのない雨。
あっという間に視界が白くなり、ヤシの木の葉が大きく揺れる。
チェックインの手続きをしているあいだも、外ではしっかりと雨音がしていた。
でも、不思議なもので、沖縄のスコールにはあまり焦りや不安がない。
「そのうち止むだろうな」と、自然に思える。
そして、その予感どおり。
手続きを終えて、部屋への移動のために借りたカートに乗るころには、雨雲はすっかり通り過ぎていた。
濡れた地面が、少しだけ光を反射している。
空を見上げた、そのときだった。

大きな虹が、かかっていた。
しかも、ひとつではない。
よく見ると、うっすらと、もう一本。
二重にかかる虹だった。
こんなにくっきりとした虹を見るのは、久しぶりかもしれない。
さっきまでの雨が、まるで嘘のように、空は明るく開けている。
「いいこと、ありそうだな」
誰に言うでもなく、心の中でそうつぶやいた。
旅先で見る虹は、どうしてこんなにも特別に感じるのだろう。

部屋は、海に近いオーキッド。
カートに揺られながら向かう道すがらも、リゾートの広さをあらためて実感する。
ゆっくり進む時間が、もう非日常だ。

部屋に入ると、テラスの向こうに、穏やかな海。
そして、テラスにはジャグジー。
これぞリゾート、という景色がそこにあった。
荷物を置いて、深呼吸をひとつ。
特別な予定は入れない。
今日は、ただ、のんびり過ごそう。
さっき見た二重の虹を、頭の片隅に残したまま。
この旅は、きっと、いい時間になる。

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