学芸員が解説する日本の「国宝」の歴史と意義
よく耳する「国宝」ってなに?
WEB歴史ライターのつばきです。
私は、博物館学芸員資格を所持しています。
大学時代に取得するために勉強しました。授業では、文化財保護についてなどを学び、博物館の実習を経験しました。
・国宝は、どんな制度?
・国宝のきっかけは?
・明治から現在に至るまでの法整備
よく耳にする国宝について専門知識をもつつばきが紹介していきます。
国宝とは、どんな制度か?
本の文化と歴史の象徴である「国宝」は、1950年に成立した「文化財保護法」に基づき指定される、最高峰の文化財を指します。この制度の背景には、日本の文化財保護の長い歴史と、異文化からの影響があります。
「国宝」誕生のきっかけ:アーネスト・フェノロサの貢献
国宝制度の起点となったのは、アメリカ人のアーネスト・フェノロサ(1853~1908)の私的な調査でした。彼は東京帝国大学(現在の東京大学)で教鞭をとるために来日。
特に注目すべきは、法隆寺にある絶対秘仏「救世観音像」の封印を解き、その美しさを広く紹介したことです。
この出来事が日本国内での文化財保護への意識を高める契機となりました。
古社寺保存法から国宝保存法へ
フェノロサの活動を受け、1897年に「古社寺保存法」が制定され、これが日本初の文化財保護法として国宝の基盤を築きました。
この法律は、、国宝の概念が生まれた最初の一歩といえます。
「古社寺保存法」では、社寺の建造物や宝物類の中から歴史の象徴または美術の模範となるものを定め、1929年には「国宝保存法」へと発展。
保護対象が古社寺以外の文化財にも広がりました。この時点で約4500件が指定され、日本の文化財保護の枠組みがさらに強化されました。
戦後の再定義:文化財保護法の成立
戦後、文化財保護の必要性が再認識され、1950年に「文化財保護法」が成立。この法律により、国宝の定義が再構築され、歴史的、芸術的、学術的価値が極めて高いものが改めて指定されました。
現在では、1143件が国宝として登録されています(2024年現在)。
まとめ
国宝は、日本の歴史や文化の美を象徴するだけでなく、その保護活動の歴史そのものが日本文化の価値を高めています。
アーネスト・フェノロサの尽力から始まり、時代とともに発展してきた文化財保護の仕組みは、これからも未来に引き継がれていくべき貴重な遺産です。
参考文献
『物語で読む国宝の謎100』
