豊臣兄弟!第22回「播磨大誤算」~播磨攻め大不調!秀吉、まさかの“降格”危機?
令和8年6月7日放送、大河ドラマ・豊臣兄弟!第22回「播磨大誤算」では、播磨攻めに苦戦する羽柴秀吉と小一郎長秀の姿が描かれました。
今回は、豊臣兄弟にとってまさに試練の回です。
上月城をめぐる戦い、救えなかった人々への罪悪感、そして兄・秀吉を必死に支えようとする小一郎の姿が印象的でした。
ドラマとしては、兄弟の絆がより深まる感動回だったといえます。
一方で、歴史的に見ると、この時期の秀吉は決して順風満帆ではありませんでした。むしろ播磨攻めの失敗によって、信長からの信頼を失いかけるほどの危機に立たされていたのです。
特に注目したいポイントは、三木城主・別所長治の離反です。別所氏はもともと織田方についていましたが、秀吉の強引な対応や、播磨をめぐる織田・毛利の対立の中で、最終的に信長に背くことになります。
今回のコラムでは、ドラマの内容を振り返りながら、
・播磨攻めはなぜ「大誤算」だったのか
・別所長治はなぜ離反したのか
・秀吉は本当に“降格”の危機にあったのか
・小一郎と書寫山圓教寺に残る痕跡
この4点を中心に、歴女ライターの視点でわかりやすく解説していきます。
天正6年、播磨攻めは大ピンチの連続
実際の天正6年(1578)の播磨は、かなり不安定な状況でした。
この年、秀吉にとって播磨攻めは大ピンチの連続でした。
・2月、三木城の別所長治が織田方から離反
・7月、上月城が毛利方に落城
・同じく7月、小一郎長秀が城代を務めた竹田城も失う
・10月、有岡城の荒木村重も信長に反旗を翻す
つまり、播磨方面の戦線はかなり崩れかけていました。
播磨は織田と毛利の勢力がぶつかる場所であり、東には大坂本願寺もあります。現地の国衆たちが「織田につくべきか、毛利につくべきか」と揺れるのも当然でした。
別所長治はなぜ離反したのか
特に大きかったのが、三木城主・別所長治の離反です。
長治はもともと信長方についていた有力者でした。では、なぜ裏切ったのでしょうか。
従来は、叔父の別所賀相が長治をそそのかした、という見方がありました。しかし近年、秀吉が信長へ送った弁明書の写しが確認され、事情が少し見えてきました。
その内容を簡単にまとめると、秀吉は信長に対してこう弁明しています。
・別所家中の城を破却するよう命じていた
・しかし加古川城は破却されていなかった
・別所賀相らが毛利と内通している疑いがあった
・そのため追加で人質を求めた
・英賀に砦を築く予定だったが、長治の様子が怪しいため書寫山圓教寺を占拠した
・報告が遅れたのは油断ではなく、播磨の情勢を見極めていたから
かなり必死な内容です。
ここから見えるのは、秀吉が別所家に対してかなり強引に接していた可能性です。城を壊せ、人質を出せ、約束と違う場所に陣を構える。これでは、別所長治が「秀吉に好き勝手されている」と感じても不思議ではありません。
秀吉、まさかの“降格”危機?
ドラマでは秀吉の弱さや苦しみが描かれましたが、史実では秀吉自身の高圧的な行動が、播磨の国衆の反発を招いた可能性もあります。
さらに、この時期の秀吉は“降格”したとも考えられています。
秀吉は天正3年以降「羽柴筑前守」と名乗っていましたが、天正6年後半以降、文書の署名が「羽柴藤吉郎」に戻っているのです。播磨支配の失敗によって、信長からの評価が下がった可能性があります。
天下人になる前の秀吉は、決して順風満帆ではありませんでした。むしろ信長の信頼を失いかけ、必死に弁明しなければならないほど追い詰められていたのです。
小一郎長秀と圓教寺の落書き
今回のドラマで印象的だったのが、小一郎が兄を思って祈る場面です。圓教寺の柱に名前を刻む場面もありました。
実際、書寫山圓教寺には「羽柴小一郎内高井丁助」「天正六年」などの落書きが残されています。
ただし、ドラマのように小一郎本人が彫ったものではなく、小一郎の家臣によるものです。
それでも、播磨で戦っていた豊臣兄弟の痕跡が、現在まで寺に残っているのはとても興味深いところです。
歴史好きとしては、こうした“現地に残る痕跡”に出会えると、一気にドラマと史実がつながって見えてきます。
6. 今回のまとめ
第22回は、ドラマとしては兄弟の絆を描いた回でした。
しかし史実として見ると、秀吉が播磨で大失敗し、信長からの信頼を失いかけた危機の回でもあります。
個人的には、上月城の悲劇や秀吉の冷酷な部分をもう少し正面から描いてほしかった気持ちもあります。秀吉は人たらしの魅力だけでなく、強引さや冷酷さも持つ人物です。
豊臣兄弟がこの大ピンチをどう乗り越えていくのか。次回以降は、秀吉の“光”だけでなく、“影”の部分にも注目していきたいですね。
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