訪問リハの現場で気づいた“火のそばの危うさ”── 消防団員として、理学療法士として思うこと
これからの季節の訪問リハビリでは、玄関を開けた瞬間に、石油ストーブのあたたかい空気と、どこか懐かしい灯油の香りが広がります。
「今年もストーブの季節が来たな」と感じると同時に、少しだけ胸の奥がざわつくことがあります。
火のそばに、新聞紙や洗濯物が干されていたり、灯油のポリタンクが近くに置かれていたりする光景に出会うと、つい、手を伸ばしてどかしてしまいます。
その利用者さんにとって生活しやすい位置に置かれていたとしてもあえてどかします。
火事の記憶
実は、その行動の背景には、忘れられない出来事があります。
10年ほど前、自分は3年間ほど訪問リハビリに携わっていました。
その当時に関わっていた一人暮らしの利用者さんが、自分が病院勤務に戻った後も訪問サービスを続けていました。
しかし、ある冬の夜、その方の家で火災が発生し、残念ながら亡くなられてしまいました。
自分の住んでいる地区だったので、自分もその現場に、消防団員として出動していました。
直接の担当ではなくなっていたとはいえ、顔も、暮らしの様子も知っている方でした。
炎に包まれた家を目の前にして、何とも言えない悔しさと、やりきれなさが胸に残りました。
それ以来、訪問の現場で火のそばに燃えやすいものを見つけると、自然と身体が動くようになりました。
そして、利用者さんにも「火事になったら元も子もない」といって口を酸っぱくしながら伝えています。
2つの立場から見えること
自分は今、再び訪問リハビリの現場に戻り、地域の消防団の役員としても活動しています。
消防団には強制的に入ることになりましたが…。
ですが、理学療法士としても、消防団員としても、「暮らしの中の安全を守る」という点では同じ方向を向いていると感じます。
訪問リハビリの時間は、20分から1時間ほどです。
でも、その短い時間の中で見える「小さな危険」は、時に命に関わることもあります。
リハビリは、“体を動かすこと”だけではありません。
“安全に暮らすこと”を支えるのも、大切なリハビリの一部だと感じています。
おわりに
冬のあたたかい灯りが、人を守るものであってほしいです。
そんな想いを胸に、今日も小さな声をかけています。
「この新聞紙、ちょっとストーブから離しておきましょうか」
「タオルはここに干さない方がいいですよ」
その一言が、もしかしたら命を守るリハビリになるかもしれません。
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