見出し画像

【第51回】AIは2点の近さをどう測る?ユークリッド距離とは

地図の上で2点の直線距離を考えるように、データ同士の近さを測りたいことがあります。
その基本になるのが「ユークリッド距離」です。
この記事では、もっともよく使われる距離の考え方をやさしく解説します。


1. 読み方

ゆーくりっど きょり (Euclidean Distance)


2. 意味(定義)

「点と点の間の、最も短い直線的な距離」のことです。

私たちが日常生活で「A地点からB地点まで何メートル?」と聞かれたとき、地図上の2点を定規で結んで測る、あの「真っ直ぐな長さ」そのものです。

  • 特徴: データの「形」や「変数同士の関係(相関)」などは一切考慮せず、ただ単に数値の差を計算するだけの、非常に素朴な指標です。


3. 歴史・背景

この距離の名前の由来は、古代ギリシャの数学者ユークリッド(Euclid)です。彼は紀元前300年頃に書かれた『幾何学原論』において、私たちが今でも学校で習っている「図形のルール」を体系化しました。

彼が定義した「点と線の性質」に基づいたこの距離の概念は、2000年以上経った今でも、物理学、工学、そして現代のAI(機械学習)におけるデータの計算において、最も基礎的な道具として使われ続けています。


4. 比較・対比(似た用語との違い)

ここが試験で狙われる「整理」ポイントです!

  • ユークリッド距離 vs マハラノビス距離 ★超重要

    • ユークリッド距離: 「単なる直線距離」。変数の相関やバラつきを無視する。

    • マハラノビス距離: 「データの分布に合わせた補正後の距離」。変数の相関やバラつき(分散)を考慮する。

  • ユークリッド距離 vs マンハッタン距離 ★重要

    • ユークリッド距離: 斜めに進むことができる「鳥の飛行ルート」のような最短距離。

    • マンハッタン距離: 碁盤の目の街路を移動するように、縦と横にしか動けない「タクシーの走行ルート」のような距離(差の絶対値の合計)。

5. 活用シーン(どんな問題に使うか)

  • 画像認識: 画像のピクセル値(色の明るさなど)が、ターゲットとなる画像とどれくらい似ているかを計算する。

  • k近傍法 (k-Nearest Neighbors, k-NN): 未知のデータが来たとき、近くにある既知のデータ(近傍点)を探して、そのデータの分類を決定する。

  • 推薦システム (Recommendation System): ユーザーの好みのベクトルと、商品の特徴ベクトルの間の距離を計算し、「似ている商品」をおすすめする。


6. G検定での出題傾向

G検定では、以下のポイントが狙われます!

  1. 定義の理解: 「点と点の間の直線的な距離」であること。

  2. マハラノビス距離との対比: 「相関を考慮しない(無視する)」という性質を見抜くこと。

  3. アルゴリズムとの関連付け: 「k近傍法 (k-NN)」などの、距離計算を用いる手法と結びつけて理解すること。

  4. 計算のイメージ: 2次元平面におけるピタゴラスの定理を用いた、非常に単純な計算構造の理解。


7. G検定の例題

【問題1:概念の比較】

「変数 X と変数 Y の間に強い正の相関があることが分かっているデータセット」において、2つのデータの類似性を評価したいと考えています。このとき、「ユークリッド距離」を用いた場合の問題点として、最も適切なものはどれですか?

  • A. 計算が非常に複雑であり、大量のデータを処理する際に時間がかかる。

  • B. 変数同士の相関を考慮しないため、データの構造(分布の形)に基づいた正確な「近さ」を判定できない可能性がある。

  • C. 距離が常にゼロ以下になってしまうため、正しい比較ができない。

  • D. 変数のスケール(単位)の影響を全く受けないため、情報の損失が大きすぎる。

【問題2:アルゴリズムとの関係】

機械学習の手法である「k近傍法 (k-Nearest Neighbors)」において、新しいデータがどのクラスに分類されるかを決定する際に、最も一般的に用いられる計算手法はどれですか?

  • A. マハラノビス距離を用いた、相関を考慮した重み付け。

  • B. ユークリッド距離を用いた、近傍点との直線的な距離の測定。

  • C. 決定木を用いた、条件分岐による分類。 の

  • D. ニューラルネットワークを用いた、非線形な特徴抽出。


8. 例題の回答と解説

【問題1 の回答】

正解:B

【解説】 ユークリッド距離は、「斜めの距離」を計算しますが、変数 X と Y に強い相関がある場合、データは「細長い楕円形」のような分布になります。このとき、単なる直線距離(ユークリッド距離)では、データの「分布の広がり」を無視してしまうため、データの真の構造に基づいた正確な判定が難しくなります。これを解決するのがマハラノビス距離です。

【問題2 の回答】

正解:B

【解説】 k近傍法 (k-NN) は、新しいデータに対して「最も近い(距離が小さい) k 個のデータ」を探すアルゴリズムです。この「近さ」を定義する際、最も標準的で直感的な手法として用いられるのが、ユークリッド距離です。


【第52回】AIはまっすぐ進めないとき距離をどう測る?マンハッタン距離とは

中高生でも合格できる!G検定やさしい学習ロードマップへ戻る


いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー