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人生で初めて検索した言葉。     「遺産分割協議書」          とは何だったのか

父は、あまり感情を表に出す人ではありませんでした。
仕事の話をしている時も
家族で食事をしている時も
どちらかというと寡黙な父でした。

でも、孫と一緒にいる時だけは違いました。
私がそれまで見たことがないくらい、優しい笑顔を見せるんです。
その笑顔を見るたびに、私は思っていました。

「僕が生まれた時も、父はこんな顔で笑ってくれていたのかな」

もう、その答えを聞くことはできません。
だからこそ、もっと元気なうちに話しておけばよかった。
そう思うことがたくさんあります。

その一つが、「相続」のことでした。


前回の記事でも書いたように、父の財産は見つかりました。
通帳もありました
保険証券もありました
でも、その先が分かりません。

「このお金は、どうやって母が受け取るんだろう。」

「実家はどうすればいいんだろう。」

私はスマホを開きました。
人生で初めて検索した言葉。

「遺産分割協議書」

その日まで、一度も聞いたことがありませんでした。


「遺産分割協議書」って何?

検索すると、法律事務所や司法書士事務所の記事がたくさん出てきます。
でも、難しい言葉ばかりでした。
「法定相続人」
「法定相続分」
「共同相続人」
読めば読むほど、頭の中は混乱しました。

そこで考え方を変えました。

「この書類は、何のためにあるんだろう。」

調べて分かったことは、とてもシンプルでした。

亡くなった方の財産を、誰が、何を相続するのか。

その内容を相続人全員で話し合い、書面にまとめたもの。
それが、遺産分割協議書です。
難しい法律書類ではなく、

家族で決めた約束を書き残す書類。

そう思うと、少しだけ気持ちが軽くなりました。


不動産の仕事をしている私でも、初めてでした

実は私は、不動産の仕事をしています。
普段から登記簿謄本を見たり、不動産関係の書類を扱ったりすることには慣れています。
だから、実家の不動産については、それほど苦労しませんでした。
でも、「遺産分割協議書」は初めてです。
何を書けばいいのか。
どこまで自分でできるのか。
最初はまったく分かりませんでした。

だから、不動産の知識がない方が不安になるのは当然だと思います。
逆に言えば、ポイントさえ押さえれば理解できる書類でもあります。


「全部お願いするしかない」と思っていました

最初の私は、

「これは専門家へお願いするしかない。」

そう思っていました。

もちろん、
・相続人同士でもめている
・財産が複雑
・相続税の申告が必要
そんなケースでは、専門家の力が必要です。

一方で、相続人全員が合意していて、比較的シンプルな相続であれば、自分で作成できるケースもあります。

さらに知ったのが、遺産分割協議書は1部だけ作れば終わりではないということです。
銀行や証券会社など、提出先ごとに必要になることがあります。
金融機関によっては原本を返却してくれますが、返却まで時間がかかることもあります。
そのため、必要部数を最初に作成しておくと、その後の手続きをスムーズに進められます。

「何も知らずに全部お願いする」のではなく、
「自分でできること」と「専門家へお願いすること」を知っておく。
私は、この違いはとても大きいと感じました。


私は「時間」があったからできた

振り返ってみると、私には一つ大きな幸運がありました。
当時はリモートワーク中心だったため、地元へ戻る時間を比較的確保できたことです。
役所へ行く
銀行へ行く
法務局へ行く
平日に何度も動くことができました。

もし県外に住んでいて、仕事も休めなかったら。
きっと私も、「全部専門家へお願いしよう」と考えていたと思います。

それは決して悪い選択ではありません。
時間を買うという意味では、とても価値のあることです。
でも、少しだけ知識があると、

「ここまでは自分でできる。」

「ここからは専門家へお願いしよう。」

そんな選択ができるようになります。


母の一言で、この経験を書き残そうと思いました

手続きが一段落した頃。
母がこんな話をしてくれました。

「友達も旦那さんが亡くなった時、ほとんど専門家へお願いしたんだって。」
「結構費用もかかったみたい。」

そして少し笑いながら、

「うちは、息子がやってくれて本当に助かったって話したら、すごく羨ましがられたの。」

そう話したあと、母は私を見て言いました。

「本当に助かったよ。」

少し間を置いて、

「お父さんも、自慢してると思うよ。」

その一言で、肩の力が抜けました。
父が亡くなってからずっと、

「これで合っているのかな。」

そんな不安ばかり抱えていました。
でも、母のその一言が、

「やってよかった。」

そう思わせてくれました。


あの時の私に伝えたいこと

もし、父が亡くなった頃の私に会えるなら、
こう伝えます。

「慌てなくて大丈夫。」

分からないことは、一つずつ調べればいい。
必要なところだけ専門家へ相談すればいい。
そして、相続の知識は財産を守るためだけではありません。

残された家族を守るための知識でもあります。

だから私は、この経験を書き残しています。
同じように不安を抱えている誰かが、少しでも安心できるように。
そして、まだ親が元気な人には、
家族で相続の話ができる「今」という時間を大切にしてほしい。

その少しの準備が、未来の家族をきっと助けてくれるはずです。


次回予告

遺産分割協議書で、私が一番迷ったのは「実家」の書き方でした。
「住所を書けばいい。」
そう思っていた私が、登記簿謄本を見て初めて知ったこと。
次回は、

『住所を書けばいいと思っていた。』

実家を相続する人が最初につまずく、「登記簿謄本」の見方について、実体験を交えながらお話しします。

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