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栄養ドリンクのサンプル品を受け取った話 | 日記

先日、私がたまに立ち寄る薬局に足を運んだ時の話である。


この日の外気温は、梅雨明けを心待ちにしていたといっても過言ではないほどの日差しが、燦々と照り付けていた。

例年、埼玉県の熊谷市や群馬県の館林市などでは、この時期になれば常に最高気温を更新し続けていたと懐かしく思う。その一方で、ここ東京でもそれらに負けず劣らずの記録とやらを、早速樹立しているようにも感じた。


私は愛車を走らせながら一通りの用事を済ませた後、自宅までの帰路を辿っていた。夕方近くを過ぎても、暑さは勢いを弱めることを知らず、むしろ増していくばかりだ。 

車内のエアコンをガンガンに冷やしても、この炎天下じゃ意味を成さない。極端に温度を下げれば、今度は返って頭痛を引き起こす要因と成りかねない。こうした意味不明な自問自答を繰り返した結果、ひとまず通りかかった前述のドラッグストアに立ち寄ることにした。


当然ながら、特に今すぐ欲しい物があるわけでもない。ひとまずは、目ぼしい物がないかと探しながら店中を歩き回っていると、とあるシールの貼られた掘り出し物を見つけたのである。

その商品の賞味期限を確認したところ、別段日付が迫っているものではなかった。おそらく新商品の入れ替えやら在庫整理やらで、おつとめ品という形で降格されてしまったのだろう。

それにしても、まさかこんなところで貴重な品にお目にかかるとは、夢にも思わなかった。しかもおつとめ品にしては、もはや赤字覚悟で売っているとしか云いようがないくらいの破格だった。


「そこのお兄さん、これ良かったら差し上げますから」

そう考えながら、おつとめ品の入った簡易ワゴンの前で突っ立っていると、横からマダム的な店員さんに声をかけられ、なぜか栄養ドリンクを渡されてきたのである。

(???)

まったくもって予期しない事態に唖然となってしまった私は、遠慮しますなどと言葉を返す余裕もなく、云われるがままにその品を受け取った。ラベルを見ると、普段から目にするバーコードの代わりに『サンプル品』と印字されたキューピーコーワαという栄養ドリンクだった。

「あ、ありがとうございます…」

私は無意識にそう返すと、マダムの店員さんは、近くに位置するバックヤードへとすぐさま入っていった。はたして、自分の返答はちゃんと届いているのか、そう確認する余地も無く。



自分の中で長い沈黙が続いた。ひょっとしたら私は、この店員さんから疲れていると悟られたのかもしれない。掘り出し物…もとい、値引きシールの貼られたハチミツをまじまじと見ながら、買うか買わないかと迷っていた一人のお客さんに対して。

そう考えれば、たしかにその通りなのかもと納得してしまいそうだ。現に、灼熱のごとく屋外から、一時的に避難してきたようなものだから。ヘトヘトな状態を見られては、そう受け取られてもしょうがないわけである。

因みに今までの人生で、サンプル品をいただいたことはほとんどない。地元のスーパーで働いている母からもらうことはたまにあったが、今回のように見知らぬ人からなんてそうそうにない。


その後、他に買う予定のある日用品は見つからなかった。ただ、お金を払う必要のない代物を手に持ったままお店を出るのは気まずい。そう思った私は結局、サンプル品を貰うきっかけとなったハチミツを購入し、持参したマイバックに詰めてその場を後にした。 

一昔前の自分であれば、今回の出来事に関して「今日はなんて運がいいんだ!」なんてあっけらかんとしていたことだろう。しかしながら実際のところ、未曾有と大それた局面に対峙してしまった私は、素直に喜べなかった。

それどころか「どうすればいいのか?」と、疑問にならざるを得なかった。いったんは40度も超える暑さのせいだとお茶を濁しておきたいぐらいであった。

それよりも、試供品で頂いたこの栄養ドリンクをどこで使おうかと考えていた矢先、数年前にブンブンサテライツの中野雅之氏が、Twitter(現:X)上で、とあるつぶやきを投稿した言葉を咄嗟に思い出した。

「ああ、不甲斐ない自分よ…」と。




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タダノツカサ 最後までお読みいただきありがとうございました。 またお会いできる日を楽しみにしています!