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HUNTER×HUNTER 1億部記念。冨樫義博さんが作中に取り入れた欅坂〜櫻坂の関係を振り返る

HUNTER×HUNTERの39巻でましたね。ボークセンがモレナの傘下になったのはそのままツェリのとこに絡む布石? モレナの支配下に置かれる流れで、「レベル100になると感染者として他の人間も能力者にできる」のを使わないわけないから、ボークセンちゃんが誰か王子か能力者数人を倒して感染者にクラスチェンジして軍隊の仲間を全員、念能力者にして最後はみんなでモレナを指差して「ゴールデンハンマー!」といって撃破するのかしら?

なんて浅い考察はともかく、HUNTER×HUNTERには欅坂〜櫻坂ネタがちらちら絡んでるので、せっかくなので振り返ってみようかなと。


王位継承編が始まってからもう10年くらい経つのかな?ジャンプの掲載を見ていてびっくりしたのが念能力「11人いる!(サイレントマジョリティー)」の登場だった。その姿は欅坂でデビューしたての平手さんによく似せられている。当時は欅坂に対してにわかだった私でもこう思った。

えっ、なんで坂道グループなんて流行りものにハマってんの?

戸川純さんとか伊藤潤二さんみたいなうすら暗い作風にシンパシーがある冨樫さんが?

10数年前。私はAKBも乃木坂もさっぱり観てなかった。知識はコンビニに寄った時の店内BGM以上のものは何もない。人生で深く目にすることはないだろうと思っていた。

そんななか、実のところ坂道を意識するようになったのは、第14王子ワブルを警護するクラピカのエリアにて正体不明の暗殺者が徐々に邪魔な相手を排除するシーンからだったのだ。そうなのです。私は欅坂〜櫻坂は冨樫さん新規なのです。

「11人いる(サイマジョ)」の元ネタである欅坂をはじめて見たのは、たしかめざましテレビか何かの朝のニュースでデビュー曲のMVが流れたのを目にしてから。当時は冷めていて「また大人数グループができるのかよ」とうんざりとした感情を覚えてる。それでもショートボブの中学生がセンターにいて、軍服にもよく似た制服でダンスする映像はよく覚えていた。

王位継承編は知ってのとおり膨大な登場人物と社会階層がものすごく複雑に絡み合っていて、しかも全員がゲームの次の一手を思考してる異様なストーリーだよね。

考えをまとめるためにまとめサイトとか考察ブログを読んだりするんだけど、だんだん妙な見出しがサイドバーに見えるようになってきた。それが欅坂46からの影響を検証する記事だった。

11人いる(サイマジョ)までは私でもわかったが、だんだん第9王子ハルケンブルクの念が「不協和音」の振り付けを模しているとか、第2王子カミーラの能力も「猫の名前」と主要キャラに立て続けに引用していたのだった。

詳しくは「HUNTER×HUNTER 欅坂」で検索すればいくらでも出てくる話だから、ここではほどほどにまとめるくらいだけど、気になるのは「なんでこんなに冨樫さんがはまりこんでいたのか?」だったりする。

考えてみたら欅坂の破綻や混乱に満ちたグループの歴史や、活動を続けるごとに精神が追い詰められていくかに見える平手さんなど、冨樫さんがはまった、というかシンパシーを感じていそうなところが見えてくるかのようだ。

だって当の冨樫さんが代表作『幽☆遊☆白書』で精神的に追い込まれ、変わっていったことに近くないですか?

最初ハートフルな漫画からスタートしながら、だんだんグロテスクかつ善悪の定義も揺るがす展開に突入。やがて連載での疲弊や、「満足に絵を描けない」精神的なストレスでボロボロの作画で掲載してしまい、最後は自ら連載終了を告げる・・・これは欅坂で平手さんが疲弊しながらも緊張感あるパフォを提供しつづけ、最後は脱退してしまうまでの流れによく似ている。

冨樫さんが欅坂と直感的に同じものを感じていたかはともかく、少なくともHUNTER×HUNTERでは平手さんが握手会で襲撃を受けたり、追い詰められたあまりMVの撮影をボイコットしたりする以前から欅坂を追い続けていたのは「語るなら未来を・・・」のMVをいれたり、ひらがなけやきポーズを描いたりしていたことからわかるのだった。

とりわけ2016年〜2020年ごろ、特に王位継承編が「王子が最後の一人になるまで殺しあう」という大筋を追うかのように欅坂一期生21人がひとりずつスキャンダルから行き詰まりなどでグループから消えていったことも近いといえば近いのだった。

櫻坂側のHUNTER×HUNTERへの寄り方はまた別の話

有名漫画がここまでグループをとりあげたことは当のメンバーにも伝わっていた。菅井ゆっかーさんは自分のラジオで語っていたりするあたりから、逆にメンバーや関係者側からHUNTER×HUNTERにアプローチするような話がちらほら見られるようになる。

いちばんすごかったのは元櫻坂二期生の関有美子
さんじゃないかな。ほんとにHUNTER×HUNTERのハードなファンで冠番組でもねたを持ってきたりするくらいだから。

冨樫さんの欅坂趣味は櫻坂になってもつづいていて、作中で冠番組の「そこ曲がったら、櫻坂?」のワンシーンを書き写した背景を入れてたりもする。ヒソカがヒンリギと誰が推しかの話をするなんてシーンで増本きらちゃんや、ちゅけさんのコスプレとかはいってるんだからなにやってるんだって話であり。

そんなシーンを関有美子さんはばっちり見つけており、冠番組にてほんとに取り上げたりするのであった。ただ、グループも漫画も双方のファンなら嬉しい話にみえるけど、冷静に振り返ってみたら櫻坂運営がHUNTER×HUNTER人気に擦り寄っていくはじまりのようにも思える。

もちろん考えすぎは考えすぎなんだけど、関さんが番組に「HUNTER×HUNTERが櫻坂をとりあげてる!」とプレゼンした当時の櫻坂人気を思い出すと「擦り寄り」と見えても仕方ないんじゃないか。

なんせ三期生も入る前で、必死に欅坂時代を否定しようとする運営をしてたら人気が下がっていく一方というきつい頃。ちょっとグループの注目度をあげようとするのか、櫻坂側が
HUNTER×HUNTERとの繋がりを認める動きをしてる。欅坂の頃は、漫画に書かれていたって冠番組も言わぬが花みたいな扱いだったのに、このあたりから変わっていく。


特に櫻坂が2023年以降、楽曲や歌詞に欅坂を思わせる要素を導入し、復調しはじめてからは別の形でHUNTER×HUNTERと関わっていく。

"別"の形とは楽曲の海外展開だ。いま、海外で日本の楽曲がバイラルになるルートの一つにアニメとのタイアップがある。たとえばCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」はジャンプ漫画のアニメ化「マッシュル」のOP曲に採用されたことがきっかけのひとつだし、その後は楽曲のキャッチーさからショート動画などで拡散していった流れがある。

欅坂がクローズドな日本の10代の行き詰まりをテーマにしていたのと比べると、櫻坂に改名してからはクールで多様な大人を描く方向に変わった。グループの展開も国際的な展開を視野に入れてるところがある。

そこで国際展開の手札に選んだのが、世界的に翻訳と出版が行われている漫画とそのアニメだ。

冨樫さんがかねてより作中に引用してきた欅坂〜櫻坂は、逆に櫻坂にとってみれば思わぬ形で国際展開するルートが入ったことにもなる。

櫻坂の代表曲「start over!」はYouTubeジャンプ公式アカウントにてHUNTER×HUNTERとコラボした。その流れもあってなのか、アメリカのロスアンゼルスで行われたAnime Expo2025ではHUNTER×HUNTERと縁のあるグループというかたちで櫻坂はイベント内でライブを行っていた。

とはいえ、実際に櫻坂がアニメを経路にした国際展開計画で、タイアップが成功したのはポケットモンスターと「夜桜さん家の大作戦」のふたつと、HUNTER×HUNTERとはちょっと遠かったりする。

一方、櫻坂になってHUNTER×HUNTERコラボレーションが積極的になって以降、本編の連載は蛙化現象にでもなったかように欅坂〜櫻坂の引用は控えめになってゆく。ボークセンという名前が欅坂「僕たちの戦争」から取ってるとのことで、基本的に欅坂時代に限られてるのも気になるとこだ。


では冨樫さんはある程度、櫻坂から距離は置いたのか?というとそうでもないみたい。

櫻坂を推してるTVプロデューサー、小山テリハさんは自分の番組「イワクラと吉住の番組」(現在は放送終了)にて、さっきも書いた関有美子さんをゲストにHUNTER×HUNTER特集回で冨樫さんからの質問回答をもらうなんてアクロバティックなことをしてた。

関さんはこの当時、櫻坂を卒業済み。正直なところグループから離れた個人としてはそこまでタレントとしてのバリューは大きくない。にもかかわらず、こうした企画が通ったのも関さんがHUNTER×HUNTERのファンであることや、冨樫さんが櫻坂を推してる関係ゆえだろう。

特に、ぜんぜん漫画専門誌とかじゃないところゆえなのか、なかなか聞けない冨樫さんのキャラクターデザインの背景とか貴重すぎる話が大量に出てきて見応えがある。キルアのキャラデザが「多重人格探偵サイコ」の影響からなんて初めて知ったよ!なんて話が深夜バラエティでさらっと公開されてるというね。


そんなこんなで欅坂〜櫻坂とHUNTER×HUNTERは変なかたちでお互いが利用しあうような関係になっていたと言える。

今回振り返ってみて、やっぱり欅坂の煌びやかな登場から精神を壊して行き詰まる末期というのが冨樫さんの作品みたいだし、ほんとに王位継承編の展開と重なってたとこもある。

しかし櫻坂改名後は良くも悪くもグループの活動と冨樫さんのダウナーなトーンと重ならなくなってきたとこはあり、両者の関係は限定的になってきてる感はある。

櫻坂はこの10年でくるくると運命を変えていっちゃったなかで、いまだにブラックホエール号の第一層にて「11人いる(サイレントマジョリティー)」の正体はわかんないままだ。や、私が気にしてるのは正体ではなく、もう平手さんも結婚しちゃうくらい時間がたったなかで、冨樫さんはいまサイマジョを描く時どういう感情なんだろうということだ。いまジャンプ連載が再開したが、実際のサイマジョ公開10周年を迎えた今年はまた出てくることはあるんだろうか。