見出し画像

【レビュー】「ゲーム・オブ・スローンズ」:未見、脱落者に捧ぐクライマックスまで楽しむ為の3つの目線


日本で流行らなかった理由は?

「ゲーム・オブ・スローンズ」通称、ゲースロ。
その内容は一言で言うならば
直訳した通りの「王座争い」である。

ゲースロが公開された2011年の海外ドラマは
「ウォーキング・デッド」(2010~)や
「ブレイキング・バッド」(2008~)が
日本でも人気を博し
海外ドラマファンを熱狂させていた。

そんな中でゲースロは、
予測不能、過激な描写、エミー賞など
なんとなくぼんやりした文言で宣伝され
一部の熱狂的ファンを掴んだものの
多くの海外ドラマファンの選択肢から
外れてしまっている印象がある。

実際、僕自身も最近まで避けてきた。

日本で流行らなかった理由は他にもある。
いざ見てみると、
登場人物が多すぎて全シーズンの前半で
脱落してしまう人がとても多い。

だが、最終章である第八章まで見終えてみると
シーズンを重ねるごとに面白くなる。
海外ドラマでは珍しい物語至上主義の傑作であった。

かつての僕と同じようにゲースロを
敬遠している未見の人や
シーズン序盤で脱落した人には
是非、あのクライマックスまで見届けてほしい。

そんな思いから、今回はネタバレを回避しつつ
この世界的超大作を最後まで楽しむための
3つの目線を放送作家の視点で紹介してみたい。 

作品概要

ゲーム・オブ・スローンズ(2011年~製作のドラマ)
Game of Thrones
公開:2011年~ 製作国:アメリカ、全8シーズン
原作:ジョージ・R・R・マーティン
製作総指揮:デヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイス
出演者:ショーン・ビーン、エミリア・クラーク
キット・ハリントン、マーク・アディ、レナ・ヘディ
ニコライ・コスター=ワルドー、ピーター・ディンクレイジ

Filmarks

あらすじ

七王国の王位を巡り諸家が争う中、北の脅威とドラゴンの復活が迫る。裏切りと死が連鎖し、権力の虚しさと人間の業を描く群像叙事詩。
英雄なき世界で、選択の積み重ねが歴史を動かしていく。残酷にして運命が織りなす血と炎の物語。

Chat-GPT

ドラゴンを操る王女の復讐劇

先にも触れたとおり、
ゲースロの登場人物の多さについていけず
脱落するケースはとても多い。

ゲースロでは七つの王国それぞれの王家の中で
覇権争いや裏切り、愛憎劇が繰り広げられ
次々に登場人物が死んでは新キャラが登場する。

2011年、ゲースロ公開当時の海外ドラマでは
明確に1人の主人公が存在していたのだが
最近では誰が主人公か分からない群像劇が
増えている印象がある。

ゲースロはそんな群像劇ドラマの
先駆けと言ってもいいだろう。

主人公然としたキャラでさえ突如として殺され、
また死亡フラグが立った脇役が
物語の中心人物になるなど
視聴者の予測を次々に裏切る予測不能な展開は
確かに面白い。

だが、ある程度見進めなければ
その境地には辿り着けないのも事実。

そこで、今回、まず提案したいのが
最も簡単にゲースロにハマれる視点として
デナーリス・ラーガリアン王女の物語として
見ることを推奨したい。

彼女は圧倒的な権力を誇るラニスター家によって
滅ぼされたターガリアン家の生き残り。

まだあどけなさの残る彼女は
復讐を狙う兄に言われるがまま
辺境の部族と結婚させられるのだが、
やがて【民衆を開放する】という大志を抱き
絶滅したはずのドラゴンを復活させ、
次々に軍勢を増やしてラニスター家に戦いを挑む。

本作における彼女の物語は
弱き者が戦いの中で仲間を増やしながら
成長し強大な敵に立ち向かうという
少年ジャンプ的な構造になっており
他の王家の物語と比べてかなり
シンプルで見やすいと思われる。

全編を通してドラゴンと共に美しく成長し
ドラゴンに跨がって敵を無双する
大迫力の戦闘シーンは圧巻そのものだ。

ゲースロは主にスターク家とラニスター家の
カットバックで進行するのだが
デナーリス王女の物語さえ抑えておけば
最終章まで楽しめることだろう。

毒親のこどもたち

次の視点は【毒親】である。

本作では様々な家族が登場するのだが
とにかく毒親が多い。

愛しているつもりで子供を縛る、
自立や成長を許さない、
カルト宗教にハマって娘を火炙りにする、
権力を握るための道具として子供を使う、
障害を持った息子の人格否定をする、

と、毒親の見本市のような様相である。

注目してもらいたいのは、
このような毒親のもとで育った
こどもたちの運命である。

本作は8年間に及ぶ超大作。
第一章で少年少女だった登場人物が
大人に成長していく過程が描かれていく。

果たして毒親の下で育った彼らは
どのような大人になるのか?

闇落ちして毒親と同じ道を歩むのか?
それとも毒親を反面教師として
正しい生き道を歩めるのか?

ゲースロにはドラゴン、魔法、妖精、巨人、
死者を操る”夜の王”が登場するため
一見すると「ロード・オブ・ザ・リング」や
「ハリーポッター」のような
ファンタジー作品として認識されがちだが、
根底に描かれているのは
現代世界に通ずる家族の問題である。

本作では最強の敵として
”夜の王”の軍団が登場するが
むしろ個人的にはゲースロにおいて最大の怪物は
毒親なのだと思っている。

親ガチャで言えばスターク家以外は全員ハズレ。

彼らは毒親を乗り越えられるのか?

この目線で全編を見ていくと
きっとクライマックスまで
目が離せくなることだろう。

クロサワ映画にドラゴン!

本作で視覚的に最も心を掴むシーンと言えば
幾度となく描かれる戦争シーンである。

ネタバレを避けるため具体的な明言は避けるが
何千人もの兵士が馬に跨り
矢が飛び交う中で剣を振り回す激しい大合戦。

映像は超ロングで映される壮大な大突進から、
戦場にいるかのような臨場感で映される一騎打ち、
死体の山の上でさえ繰り広げられる
まるで地獄絵図のような戦いまで、
大迫力のシーンが目まぐるしく展開され
その映像クオリティは
黒澤作品の「七人の侍」や「影武者」「乱」を
彷彿させるほどなのだが、それだけではない。

空を飛ぶドラゴンが炎で敵兵を焼き払い、
ドラゴンを撃ち落とす兵器が登場したり、
魔法を使って大爆発を起こしたり、
死者が復活して敵兵となったり…

映画史上に残る黒澤映画の合戦シーンに
現代ならではのファンタジー要素が加わり
唯一無二の戦闘シーンが次々に繰り広げられ
思わず見入ってしまった。

特に、第六章、第七章、第八章に登場する
合戦シーンはとにかく秀逸なので
倍速視聴をしてでも辿り着いて欲しい
超必見のシーンとなっている。

この戦闘シーンを待ちながら見進めていくのも
一つの楽しみ方ではないかと思う。

余談

ということで、
ゲースロを楽しむ為の3つの目線を紹介してきたが
余談ではあるものの
今から見始める人にお伝えしたいことがある。

第一章の第1話がとにかく素晴らしいのである。

これは最終章を見終えた後で
なんとなく改めて第1話を見返した時に
気付いたことなのだが
正直なところ初見の時は何も思わなかった。

群像劇のファーストエピソードらしく
登場人物が目まぐるしいほどに
入れ替わり登場して進行する第1話。

だが改めて第1話を見てみると
全ての登場人物の描写からセリフ、
ちょっとした視線の交わし方まで
全てがそのキャラクターな運命を
暗喩しているようで、完璧なことに気付かされる。

本作の物語は原作の小説通りに製作され、
原作者が参加する中で進行していったが
途中で原作に追いついてしまい
最終章はオリジナルストーリーとして作られた。

そんなドタバタしていたはずの裏側など
一切感じさせずに全八章に及ぶ大作を
これほど一貫性を持って完成させたドラマは珍しい。

そんな一貫性を改めて痛感させられる第1話を
最終章まで見終えた方は是非、見直して欲しい。

最後にゲースロを楽しんでもらうために
紹介したいサイトがある。
BS10が作成した相関図である。

登場人物が数多く、回想シーンもないため
僕もシーズンごとに作られた
この見事な相関図に助けられながら
最後まで楽しく鑑賞できた。

では、衝撃の最終話まで是非お楽しみください。

ちなみにゲースロの前日譚となる
「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」が気になる方は
以下の動画を是非ご覧ください!

手前味噌ですが僕が企画に参加したPRコンテンツで
ハウドラの世界観が誰でも分かる内容となっています。
※未視聴の方はネタバレ注意


最後まで読んで頂いてありがとうございました。
いいねとフォロー、よろしくお願いします!
コメントもお待ちしております!
良かったら好きな映画を教えてください。

記事作成や執筆のご依頼はコチラまで↓
hironori2ztenzin@gmail.com


いいなと思ったら応援しよう!

放送作家:辻井宏仁 最後まで読んで頂いてありがとうございました! 宜しければ応援お願いします!

この記事が参加している募集