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アイアンメイデン

アイアンメイデン

ある日、中学生だった私は、「アイアン・メイデン」という一風変わった名前のヘヴィメタルバンドに出会った。

激しいギターの重低音、天を突き抜けるようなボーカル。その圧倒的なカッコよさに惹かれながらも、ふと疑問が浮かんだ。

「アイアン・メイデンって、どういう意味なんだろう?」

辞書を開くと、そこには「Iron Maiden=鋼鉄の乙女(処女)」と書かれていた。

当時の私にとって、「処女」という漢字は少し刺激が強かった。

「なんで、そんな名前がヘヴィメタルバンドなんだ?」

そう思って調べていくと、「アイアンメイデン」と呼ばれる、女性の姿を模した鉄の箱の存在を知った。

扉の内側には無数の棘が並び、人を閉じ込める拷問器具として紹介されることが多い。

当時の私は、「なるほど、だからこんな名前なんだ」と妙に納得した記憶がある。

ところが最近、AIにこの話を聞いてみると、もう一つ意外なことを知った。

現在では、このアイアンメイデンが本当に中世ヨーロッパで広く使われていたという確かな証拠は乏しく、現存する展示品の多くは18〜19世紀に作られたものと考えられているそうだ。

つまり、「中世の代表的な拷問器具」というイメージには、歴史だけでなく後世の伝説や演出も混ざっている可能性が高いという。

子どもの頃に信じていた話も、大人になって調べ直すと、新しい発見があるものだ。

さらに話は、思いがけない方向へつながった。

少し前、海外の女性が腕に「処女座」と漢字でタトゥーを入れている写真を見かけた。

最初は少し驚いた。

日本人の感覚では、「処女」という言葉は性的な意味合いを強く連想してしまうからだ。

でも、その人が伝えたかったのは、おそらく「私は乙女座です」ということだったのだろう。

英語では、おとめ座は Virgo。

そして Virgin や Maiden という言葉には、「性的経験がない」という意味だけでなく、「純粋」「清らか」「神聖」「手つかず」といった、もっと広い意味がある。

だから海外では、「処女」という言葉が日本ほど特別な響きにはならないこともある。

一方、日本では星座の名前として「乙女座」という表現が広く使われている。

同じ言葉でも、文化が違えば受け取り方もずいぶん変わるものだ。

中学生の頃は辞書を開き、今はAIに聞く。

調べる道具は変わったけれど、「これって、どういう意味なんだろう?」と思うことは、あの頃とあまり変わっていないのかもしれない。

まさか「アイアン・メイデン」というバンド名から始まった疑問が、何十年も経って、漢字のタトゥーや言葉の意味につながるとは思わなかった。

便利な時代になったものです。

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