12歩目-サンドウィッチ-
暗闇の箱の中で、ひとつの世界に溶け込む。
旅人はわたしひとりだけではない。
ぱらぱらぽつぽつ、降り始めの雨みたいに
数人が目の前のスクリーンを見つめる。
わたしの前の旅人さん、
ひそひそこそこそ、肩を寄せ合う。
そうか、今日はクリスマスイブ。
だからしょうがない!と思えないわたし。
ひとつの世界に溶け込みたいのに、目の前の
旅人たちの世界にも紛れ込みそう。
わたしの後ろの旅人さん、
大きなあくび、「ううぅあぁ」と
思わず振り返ってしまいそうな、苦しそうな声。
みっつめの世界に引きずり込まれそう。
だから、
前と後ろの旅人さんはパンで、
わたしはベーコンとかレタスとかトマト。
わたしがいないと美味しくない!と、
わけのわからない言葉で自分を落ち着かせる。
旅する前に買った120円のレモネード。
昔たべたラムネの味がした。
なんだか損した気分。
どんな言葉で自分を落ち着かせようかな。
