BtoB ECの「定期機能」比較7選
最近、BtoB ECカートの定期機能を調べる機会がありました。
いつもなんとなくでこのカートがいいですよと選定しているので、最初は「どのカートに定期機能があるのか」を整理するつもりでした。
ところが比較を進めていくうちに、見えてきたのは機能差ではなく、各社がどんな課題を解決しようとしているのかという開発思想の違いでした。
「このカートには定期機能がありますか?」
実はこれ、BtoB ECの相談を受けていると、ごく稀に出てくる厄介な質問です。
ただ、私はこの質問に「あります」「ありません」だけで答えないようにしています。
なぜなら、同じ“定期機能”という名前でも、カートによって実際に行っていることがかなり違うからです。
あるカートは、契約内容に沿って次回注文を自動生成します。
別のカートは、いつもの商品を呼び出し、発注者が数量を確認して注文します。
さらに、在庫数をもとに発注量を計算する仕組みまで「定期発注」と呼ばれることがあります。
この違いを整理せずに「定期機能があるから大丈夫」と判断すると、導入後に業務フローと合わなくなる可能性があります。
私がBtoB ECを提案するときに見るのは、機能の有無よりも、
「最終的に、誰が注文を確定する設計なのか」
という点です。
この記事では、Bカート、スマレジEC・B2B、Shopifyを中心に、主要なBtoB対応カートの定期機能を、各社の開発思想から整理します。
なお、この記事は「どのカートが優れているか」を決めるものではありません。同じ「定期機能」という名前でも、各社が何を解決しようとしているのか、その違いを見るための記事です。
BtoB ECの定期機能は、大きく3種類ある
まず、BtoB ECで「定期」と呼ばれる仕組みは、大きく3つに分けられます。

1つ目は、自動定期注文型です。
最初に商品・数量・周期などを登録し、その契約内容に基づいて次回注文を自動生成します。Shopifyの定期購入や、スマレジEC・B2Bの定期販売はこちらに近い考え方です。
2つ目は、再発注支援型です。
前回の商品構成や「いつもの商品」を保存しておき、次回の発注時に呼び出します。注文内容は毎回確認し、数量を調整してから発注者が確定します。Bカートの発注リストが代表例です。
3つ目は、在庫基準型です。
一定の間隔で在庫や消費量を確認し、必要数を計算して発注します。これはECカート単体というより、ERPや在庫管理システム、需要予測システム側で扱われることが多い領域です。
同じ「定期」でも、自動化したい対象が違います。
自動定期注文型は、注文そのものを自動化します。
再発注支援型は、発注者の入力作業を減らします。
在庫基準型は、発注数量の判断まで自動化します。
ここを混同しないことが、カート選定の最初のポイントです。
主要サービスを、利用実態と開発思想から比較する
今回比較したのは、次のサービスです。
Bカート
スマレジEC・B2B
Shopify
EBISUMART
makeshop BtoBオプション
aiship BtoB
サブスクストアB2B

この図は、公開情報をもとに各サービスの考え方を整理したものです。
※どのサービスが一番優れているかを示すものではありません。
重要なのは、自社が自動化したい範囲と、カートの設計が合っているかです。
Bカート:注文を自動化せず、発注作業を軽くする
Bカートの特徴は、定期注文を自動生成することではなく、繰り返し発注を楽にすることです。
購入者は、よく注文する商品を発注リストとして保存できます。
次回はそのリストを呼び出し、現在の在庫や必要数を確認しながら、数量を変更して発注します。
この設計は、BtoBの現場にかなり自然です。
たとえば、飲食店が毎週同じ容器や食材を注文していても、必要数量まで毎回同じとは限りません。
建材や部品も、案件数や現場の進捗によって必要量が変わります。
そのため、
「毎月同じ数量を自動で届ける」
よりも、
「いつもの商品をすぐ呼び出し、今回必要な数量だけ調整する」
方が合うケースがあります。
Bカートは、注文を勝手に作らない代わりに、発注者の判断を残します。
発注前に在庫確認、社内承認、納期確認が必要な企業では、この考え方がメリットになります。
スマレジEC・B2B:BtoB受発注の基盤に定期販売を持たせる
スマレジEC・B2Bには、公式の機能一覧上で「定期販売機能」が掲載されています。
ここがBカートとの大きな違いです。
Bカートが、発注者による再注文を効率化する方向なのに対し、スマレジEC・B2Bは、定期申込を起点に継続的な受注を作る方向です。
つまり、思想としては再発注支援というより、法人向け定期購入に近いものです。
一方で、スマレジEC・B2Bの土台はBtoB受発注システムです。
取引先ごとの価格、販売商品、支払方法、送料、掛け払いなど、法人取引で必要になる条件を扱う基盤の上に、定期販売を組み込めることが特徴です。
毎回の商品・数量がある程度固定されており、注文忘れを防ぎたいケースでは有力な候補になります。
ただし、取引先別価格や請求条件などが、定期注文へどのように適用されるかは、実際の契約プランや運用条件に応じて確認が必要です。
Shopify:継続購入の体験と拡張性に強い
Shopifyの定期購入は、商品・数量・配送周期・決済方法などを登録し、その契約に基づいて注文や請求を継続的に生成する仕組みです。
開発思想としては、最初に購買契約を作り、その内容を自動的に履行するサブスクリプション型です。
消耗品、食品、化粧品、ライセンス、会員制サービスなど、毎回の注文内容が比較的固定される商材と相性があります。
Shopifyの強みは、定期購入アプリの選択肢、ストアフロントの自由度、外部サービスとの拡張性です。
ただし、Shopify Plusの標準B2B機能とSubscriptionsには、公式上の互換性制限があります。
そのため、法人別価格、支払条件、会社アカウント、掛け払いなどを使いながら定期購入も提供したい場合は、アプリや決済方法を含めて個別設計が必要です。
Shopifyは「BtoBの定期発注専用カート」ではありません。
一方で、既にShopifyを使っている企業や、BtoCとBtoBを同じ基盤で展開したい企業にとっては、拡張性を生かせる選択肢です。
EBISUMART:要件に合わせて定期販売を組み込む
EBISUMARTは、中・大規模EC向けのクラウド型ECプラットフォームです。
公式情報では、商品ごとの配送周期設定などを含む定期販売機能が案内されています。
また、BtoCだけでなくBtoB ECの構築にも対応しています。
特徴は、標準機能だけで完結させるというより、業務要件に合わせてカスタマイズできることです。
そのため、
複雑な在庫管理
既存基幹システムとの連携
独自の契約・請求フロー
大規模な商品・顧客管理
などを含めて設計したい企業と相性があります。
一方で、「BtoB専用の標準定期発注機能」として単純に比較できるサービスではありません。
必要な定期処理を、EC全体の要件の中で設計するタイプと考える方が正確です。
makeshop BtoBオプション:既存のmakeshopにBtoB機能を追加する
今回比較している機能の正式な表現は、「makeshop BtoB」ではなく「BtoBオプション」とする方が正確です。
makeshopのBtoBオプションでは、会員グループ別価格、商品表示、決済方法の制御など、法人向け販売に必要な機能を追加できます。
定期購入については、BtoBオプションそのものの専用機能というより、別途用意されている定期購入オプションとの組み合わせとして案内されています。
つまり、
BtoBオプションで法人向け条件を制御する
定期購入オプションで継続受注を作る
という組み合わせです。
既にmakeshopを利用しており、段階的にBtoB機能や定期販売を追加したい企業には検討しやすい構成です。
一方で、両オプションを併用した際に、取引先別価格や決済条件が定期注文へどこまで引き継がれるかは確認が必要です。
aiship BtoB:今後の公開情報も確認したいサービス
aishipには、配送サイクル、継続課金、休止・解約などを含む定期購入機能があります。
こちらの法人向けの小口販売を対象としたaiship BtoBは2026年の6月にローンチしたサービスなので外部情報がまだ少ないです。。。。
そのため、BtoB側の取引条件と定期購入をどこまで標準で併用できるかについては、公開情報だけでは判断しにくい部分があります。
そのため現時点では、
「定期購入機能がある」
「BtoB向けサービスがある」
という2点は確認できるものの、具体的な併用仕様は個別確認が必要な位置付けです。
ご存知の方やaishipの担当者さん!この記事見たら、私に知識を分けてください!!!
サブスクストアB2B:法人向けサブスクに特化した選択肢
サブスクストアB2Bは、定期契約から各回の注文を自動生成し、請求・入金管理まで扱うBtoBサブスクリプション型のサービスです。
今回の比較対象の中では、法人向け定期契約の機能をかなり明確に打ち出しています。
一方で、一般的なBtoB ECカートと比較すると、対象となる業務は限定的です。
定期配送・定期契約そのものが事業の中心である場合には候補になりますが、一般的な卸売・受発注カートの代表として扱うより、BtoBサブスクに特化した補足例として見る方が自然です。
自動定期注文と再発注支援は、似ているようで別物

自動定期注文型では、初回の申込・契約後、システムが次回注文を生成します。
発注者の作業は少なくなりますが、数量や注文内容が変動する業務では、変更・スキップ・停止などの運用が必要です。
再発注支援型では、システムが注文を勝手に確定しません。
発注者が商品、数量、在庫、納期を確認し、必要に応じて調整したうえで注文します。
どちらが優れているかではなく、業務に必要な判断を誰に残すかの違いです。
私がカート選定で確認する5つの質問
定期機能を比較するとき、私は次の5点を確認します。
1. 毎回の商品は固定か
2. 数量は毎回変わるか
3. 発注前に在庫確認や社内承認が必要か
4. 法人別価格・掛け率・請求条件を定期注文にも反映する必要があるか
5. 自動化したいのは入力作業か、注文確定か、発注数量の計算か
毎回の商品・数量がほぼ固定されているなら、自動定期注文型が合いやすいです。
商品は似ているものの数量が変わるなら、再発注支援型が現場に合う可能性があります。
在庫や消費量から数量まで自動計算したいなら、ECカートだけでなく在庫管理・ERPとの連携を検討する必要があります。
同じ「定期機能」でも、解決しようとしている課題は違う
今回比較してみて一番面白かったのは、「定期機能」という同じ名前でも、各社が解決しようとしている課題がまったく違ったことです。
Bカートは、発注者の判断を残しながら、再発注を楽にしようとしています。
スマレジEC・B2Bは、BtoB受発注の基盤上で、継続受注まで自動化しようとしています。
Shopifyは、購買契約を起点に、継続購入の顧客体験を作ろうとしています。
EBISUMARTは、複雑な要件に合わせて定期処理そのものを個別設計しようとしています。
makeshop BtoBオプションは、既存のmakeshopに必要最低限の法人向け販売条件を追加する考え方です。
サブスクストアB2Bも、それぞれ別の課題を解決しようとしています。
この違いが、各サービスの開発思想として表れていました。
だから私は、カート名や機能一覧の数だけでは選びません。
まず、
「誰が注文を確定するのか」
「毎回変わるものは何か」
「どこまで自動化したいのか」
を整理します。
そのうえで、自社の業務フローに最も無理なく馴染むカートを選びます。
BtoB ECでは、機能数の多さよりも、そのカートの開発思想が自社の業務に合っているかを見る方が、長く運用するうえでは重要だと思っています。
今回のまとめ

B2B ECのカート選定は簡単に出来るものではありません。もし相談先をお探しなら弊社へお問合せ頂けると幸いです。
