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お年玉ハンター。9歳の僕が教えてくれたビジネスで大切なことは「愛嬌」


お年玉ハンター現る


お年玉。
美しい響きに、ココロも踊る。

1年に1度だけ、お正月に大人たちからお金をもらえる素晴らしいイベントだ。僕はクリスマスよりもお正月の方が好きだったかもしれない。

その理由は、我が家のサンタクロースは「クリスマスプレゼントは小学6年生までね」と母から言い聞かされていたからだ。

その言葉通り、中学生になった途端、サンタさんからのプレゼントは途絶えた。しかし、お正月は違った。中学生、高校生になっても、毎年お年玉をもらえるチャンスがある。僕にとって、お年玉は長く続く希望のイベントだった。

僕には5つ上の兄と、3つ上の姉がいる。その2人を追い抜いて一番稼いだのは小学校4年生の時。

34,000円を手にした。金額だけを聞けば、決して多いわけではない。クラスメイトには4万円、5万円と稼いでいた猛者もいた。

だけど、僕が比べるべきは友人たちではない。あくまで自分の兄弟との戦いだ。

たった一つの武器「愛嬌」


なぜ僕がそこまでお年玉を稼いだのか? 結論から言うと「愛嬌」があったからといえる。父方のいとこは僕を含めて13人、母方のいとこは自分を含めて9人いた。両家のいとこの中で、僕が最年少だった。

日本は高度経済成長期から平成のバブル崩壊後の「失われた30年」に至るまで、未だに年功序列が続いている企業も多い。お年玉も年功序列の典型的な例だ。兄や姉の方が単価は高い。

にもかかわらず、僕は兄弟の中で一番稼いだ。

年長者のいとこたちと比べても、学問があるわけでもなければ、スポーツができるわけでもない。体だって一回りも小さい。そんな持たざる僕にあった唯一の武器こそが、愛嬌だ。

お正月は父方の親戚を迎え入れた後、翌日からは母の実家に泊まりがけで帰省していた。母方の実家には他の親戚も集まり、ひとときの時間を賑やかに過ごした。年に数回だけ会えるいとこたちと、遊ぶのは僕にとって楽しかったが、それよりももっと楽しいことが僕にはある。

どちらかというと、僕は大人に遊んでもらう方が好きだった。最年少の僕は、周りの大人たちから「かわいい、かわいい」と耳にタコができるくらい言われた。いとこたちと遊ぶよりも、よっぽど可愛がってもらえる。

むしろ、いとこたちは僕をからかうこともあったので、時には嫌だなと思うこともあった。だけど、伯父や伯母は僕がふざけると笑ってくれて、たくさん遊んでくれた。

嫌われ者の酔っ払い


しばらくすると、祖母の兄弟にあたる、大伯父(おおおじ)や大伯母(おおおば)も新年の挨拶に来た。当時の僕は、はっきりと関係性を認識していなかったが。

おじさん連中は客間に通されると、早速お酒を飲み始める。おばさんたちは「また今年も始まった」とため息をついて、避けるように台所に集まって、女子会を開いていた。

いとこ勢はどうかというと、「酔っ払いなんて相手したくない」と逃げるように祖父母の部屋に集まる。

そして、お正月の特番を見たり、百人一首をしたり、漫画を読んだりと、思い思いに自分の時間を楽しんでいた。誰もが酔っ払いを忌み嫌っている様子だ。

だが、僕だけはズレた視点を持っていた。

「こんなにたくさんの大人が来たら、遊んでもらえるチャンスだ」


そう思って、僕はおじさん連中が集まっている客間に、いとこたちが屯(たむろ)している部屋から10メートルほどの長い廊下を猛ダッシュで駆け抜けた。

そして「現場」に滑り込むように正座しながら、「あけましておめでとうございます!」と満面の笑顔で挨拶したのだ。

「おめでとうさん、かわいいボウズやな。おまんは、どこの子や?〇〇ちゃん(母)の子なんか!?」

作戦成功。おじさん連中が僕に興味を持ってくれた。

伝説のポケモンをゲットだぜ!!


僕はとにかく明るく満面の笑みで、ニコニコと彼らに接した。

僕からすれば、酔っ払いは珍しい生き物。父方の親戚には、お酒を飲む人がいなかったので、酔っ払いの光景を見られるのは母方の実家だけ。まるで伝説のポケモンを見るかのように、僕は酔っ払いのおじさん達に目を輝かせた。

(サンダー、ファイヤー、フリーザーだけじゃない。ホウオウ、ルギア。それからエンテイ、スイクン、ライコウもいるぞ!ここでしか見られない伝説のポケモンばかりだ。全員まとめてゲットだぜ!!)

並々ならぬ意気込みが僕にはあった。

酔っ払ったおじさんたちが、どれだけ同じ話を繰り返したとしても、面白がって耳を傾ける。「僕はおじさん達に興味あるから遊んで」という雰囲気を、前のめりで出した。

さらに、自分のラジコンを持ってきて、「一緒に遊ぼう」と誘った。おじさんたちが乗ってくれると、僕は丁寧にラジコンの使い方を説明し、一緒に夢中になって遊んだ。

酔っ払いって、なんて面白い人たちなんだろう。何回も同じことを繰り返して言うし、話している内容がやたらとスケールがでかい。「この人たちは世界を動かそうとしているのか?」とさえ感じた。

いい大人が陽気にしゃべっている。その姿を見るだけでも、僕は面白くて仕方がなかった。

僕はしれっとおじさんたちの膝の上にちょこんと座って、どんちゃん騒ぎを一緒に楽しんだ。後から聞いた話だが、母は僕が酔っ払い連中の輪に飛び込んだ様子を見て驚いたという。特に祖母にそっくりの顔をした大伯父(祖母の兄)が、僕の中ではツボだった。

笑いを堪えきれず母に叫んだ。「ばあちゃんの顔に、めちゃ似のおじいさんがいるで!!」

僕は特に「顔がめちゃ似」の大伯父に可愛がってもらった。母が言うには、大伯父は普段は無愛想で、酒癖も悪かったらしい。若いころには、酔った勢いで正月から喧嘩を起こすこともあったのだとか。

だが、そんな気難しい大伯父のハートも僕はゲットした。

一通り遊んでもらった後、おじさんたちのスーツの内ポケットから「アレ」が出てきた。

「ほれ、お年玉やるでな」

僕はニコニコしたおじさんたちから次々とお年玉をゲットした。

ここで誤解のないように伝えておきたい。

僕はお年玉目当てでおじさんたちのところに飛び込んだわけではない。最年少の僕は究極の「かまってちゃん」。

遊んでもらえそうな大人がたくさん来たから、とにかく「かまって」ほしかったのだ。

どうしたら遊んでもらえるか。
僕がふざけて、愛嬌を振りまいたらいいのか。
「面白い」と思ってもらえたら、遊んでもらえるのだろうか。

当時9歳なりに考えた生存戦略。結果としてお金がついてきたに過ぎない。

おじさんたちが一通りお酒を飲んで満足すると、いつの間にかいなくなっていた。そして僕は、いとこグループの部屋に戻って、姉にお年玉を見せつけた。

「ええなぁ、ずるい!!」と姉が思わず発狂。

僕からすれば、「酔っ払い嫌がってたでしょ?僕は遊んでもらっただけ」と、さらりと言い返した。

こうして僕は小学生の間、毎年のように愛嬌を振りまいては、お年玉を稼ぎ続けた。

厨二病。チャンスの芽を摘む


しかし、中学生になると心境に変化が起きる。いわゆる「厨二病」マインドが芽生え、親戚と交流するのが面倒くさいと思うようになった。

本来なら中高生になってもお年玉がもらえる「希望のイベント」だったはず。しかし皮肉なことに、自らチャンスを不意にした。

お正月、母と一緒に帰省するも、親戚が来ても知らんぷり。当然のことながら可愛がってもらえるわけもない。お年玉の単価は上がっても、もらえる人数が少なくなる。唯一の武器だったはずの愛嬌を捨てたことで、かつてのお年玉ハンターの影は潜めた。

時は流れ、社会人になって20年近く経った僕は「愛嬌」という武器があることをすっかり忘れていた。

僕は会社員の傍ら、副業としてライター活動をしている。3年近く細々と続けてきたが、安定して稼ぐことはなかなか難しい。「目標月収月〇万円」と掲げても、長らく達成できずにいた。

稼ぐためにはスキルを学ばなければいけないと思い、書く以外の事に挑戦してみるが、どれも成果は出ず。

「何者でもない自分が稼げるはずもない」と苦しんだ。

埋もれた愛嬌を掘り起こせ


そんな折に、先輩ライターたちが稼ぎ続けている理由をSNSで拝見した。

「〇〇のスキルがあったから」
「〇〇の実績があったから」

なんてことは書かれていなかった。

それよりも大切なことは。

相手が不満に思っていることを考える
相手の望むことを考える
先回りして提案してみる
相手のメリットを考える

相手目線に立つことによって、「選ばれて」いくのだという。

ふと思い出したのが、幼き日の自分の行動だ。あの時の僕は、大人たちに遊んでもらいたいという、ある意味では利己的な考えではあった。

だけど「どうすれば大人たちは喜んでくれるかな」と、常に相手目線で考えて行動していたといえる。

ひるがえって、今はどうだろうか。「どうすれば稼げるか」と、ベクトルが自分にしか向いていない。

ビジネスの世界で生きていくために、最も必要なことは心のつながりだ。そのつながりを作るためには、「愛嬌」が必要になる。言い換えれば、愛嬌を持っていたかつての自分は最強だったのではないか。それがあれば選ばれるのかもしれない。

愛嬌とは、決して相手に媚びを売るわけではない。相手が気持ち良いと思ってくれるコミュニケーションを、贈ることだ。

9歳の僕にそれができていたのだから、今の僕にも、できるはず。根拠として、SNSで続けてきた交流も幼き日の愛嬌の片鱗ではないかと思う。

大人になってから「ないもの」ばかりに目を向けていた。だから「何も持たざる自分」だと思っていた。今年は、長く地中に埋まっていた「あるもの=愛嬌」を掘り起こすことになるだろう。

この気づきを、あなたにも共有したい。

副業を含めフリーランス活動をしている方にとって、僕のように稼げないと悩んでいる人は多いと思う。

そんな人のために、今一度立ち止まって考えてみてほしい。

必ずしも大切なのはスキルや実績だけではない。どれだけ相手のことを思って行動できるか、相手を喜ばせることができるか。その先に、結果というものがついてくるのではないだろうか。

じゃ、愛嬌を振りまきます!といって、すぐに結果が出ることはないと思う。それでも、急がず焦らず参ろうか。


お年玉ハンター。次に狙うは、あなたのハートだ。


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