集団心理と群衆行動
集団心理(群衆心理とも呼ばれる)とは、多数の人が集まったときに起こる特殊な心理状態のことです。集団の中で個人が多数派に同調し、合理的な思考力や判断力が抑制される結果、集団全体として極端な行動を引き起こすことがあります。
集団心理の特徴
集団の中にいる個人には、以下のような心理的変化が見られます。
理性の低下と興奮性の高まり: 判断力や理性的な思考が低下し、衝動的で感情的な行動をとりやすくなります。
被暗示性の高まり: 他人の言動や扇動に無批判に影響されやすくなります(付和雷同)。
無責任性の意識: 不特定多数の中にいることで、個人としての責任感や罪悪感が薄れ、普段ならしないような大胆な行動をとることがあります。
集団極化: 集団での討議や同調行動の結果、個人の判断や行動傾向がより極端な方向(よりリスクの高い選択など)に強くなる現象です。
群衆行動
群衆行動とは、群衆心理の影響を受けて集団としてとる行動や振る舞いのことです。一時的で不安定なものが多いのが特徴です。
群衆行動の例と分類
社会心理学者のN. スメルサーは、群衆行動をいくつかのタイプに分類しています。
行動タイプ特徴と例敵対的突発行為暴動、リンチ、テロなど、攻撃的な行動をとるもの。恐慌的行動パニックによる逃避など、遠心的な行動をとるもの。熱狂的行動カーニバルの舞踏群集、バーゲン・セールに殺到する行為など、興奮や熱狂を表出するもの。規範志向運動デモ活動など、特定の規範や価値観を目指すもの。
例えば、雑踏事故(群集雪崩など)は、群衆心理によるパニック(恐慌的行動の一種)や、自己本位な行動、付和雷同性が組み合わさって発生する極端な群衆行動の一例と言えます。
集団心理と群衆行動の関係
集団心理は、群衆行動の背景にある特殊な心理状態です。
群衆行動は、その集団心理が具体的な行動として現れたものです。
つまり、集団心理が高まることによって、群衆行動はより衝動的、無批判、極端な方向へと向かいやすくなります。
この現象について、さらに深く理解できる動画があります。 みんなで渡れば怖くない、はなぜ起こるか?_横田晋大_高校生のための心理学講座(日本心理学会)_16 この動画は、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という現象を例に、集団心理の背景にある「集団極化」や「同調」の心理を分かりやすく解説しています。
