障がい者スポーツ体験会|泣いちゃいけない…選手紹介で涙をこらえた理由
えー!すごっ!
ふと付けたテレビ画面。
そこには、片足の選手が雪の急斜面を
すごいスピードで滑り降りていました。
今まであまり見ることのなかったパラリンピック。
偶然目にしたその滑りは、
私の想像をはるかに超えていました。
こんな世界があるんだ!
でも、どんな感じなんだろう?
そう思った私は、人生で初めて
障がい者スポーツ体験会に参加してみることにしました。
これは私が45歳から“100の人生初”に挑戦している
『ミケチャレ』シリーズの第50弾。
心配性で考えすぎてしまう私が、
勇気を出して一歩踏み出すリアルな体験談です。
重い腰を上げて出発
申し込んだのは3か月前。
参加できるか抽選の結果待ちでした。
でも、
そんな事をすっかり忘れていた頃、
一通の封筒が届きました。
「障がい者スポーツ体験会 参加のお知らせ」
あれ、こんなの申し込んだっけ?
開催は1週間後でした。
案内を見ると、
会場は車で1時間以上かかる大学の体育館。
行くの面倒だな…
申し込んだ頃のワクワクはもう消えていて、
当日になっても気持ちは変わりませんでした。
でもせっかく選ばれたんだし、
抽選に外れた人に申し訳ない。
そう思って、
重い腰を上げて向かうことにしました。
私が来ても良かったのかな…
会場の大学に到着。
入ったことのない大学の中に入れたことで、
朝よりも気分は少しだけ上がっていました。
今日のプログラムは、
前半が選手のトーク、
後半が障がい者スポーツ体験です。
立派な体育館の入口で受付を済ませると、
2階の観覧席へ案内されました。
席に着いて体育館を見下ろすと、
競技用の車椅子や、見たこともない道具が
たくさん並べられていました。
観覧席には次々と人が集まり、
気づけば30人ほどに。
参加者の多くは、
障がいを持っている本人や、
その親御さんでした。
私が来ても良かったのかな…
私は、
家族に障がいを持つ人がいる訳ではありません。
ただの「興味本位」で参加してしまったことに、
少し後ろめたさを感じてしまいました。
涙をこらえた自己紹介
少しすると、
50代くらいのコーチとともに
2人の選手が登場しました。
ひとりはほとんど目が見えない選手。
もうひとりは生まれつき腕が短く、
指が3本しかない選手でした。
2人とも20代の男性で、
世界陸上のメダリストでした。
選手たちは、
自分の障がいのことや
スポーツを始めたきっかけを、
終始にこやかに話してくれました。
目が見えない選手は、
小学校の頃までは見えていたけれど、
大学を卒業する頃にはほとんど見えなくなった。
遺伝的なものがあり、
弟も同じ病気とのこと。
腕が短い選手は、
生まれた時から指が3本しかなく
肘から下がほとんどない。
でも彼にとってはそれが普通なので、
特に不便だとは思っていないとのこと。
彼は一切躊躇することなく、
その腕や指を私たちに見せてくれました。
すごいなあ…
私は堂々と話す彼らを見て、
なぜか涙が浮かんできてしまいました。
障がいを前向きに受け入れ、
ありのままの自分を自然に語る姿が、
とてもまぶしく見えたのです。
でもその一方で、
見えていた世界を失っていく恐怖。
生まれた時から、
人とは違う身体で生きてきた苦労。
その人生を想像して、
ぎゅっと胸が締めつけられました。
泣いちゃいけない。
私は涙をぐっとこらえました。
この場所で涙を流すのは、
何か違うと思ったからです。
障がいを「可哀想」だと捉えていると、
勘違いされたくなかったのもあります。
でも一番は、
この前向きでにこやかな会場の雰囲気に、
涙はそぐわないと感じたのです。
初めてのパラ競技に挑戦
選手の話が終わり、
障がい者スポーツ体験の時間になりました。
体育館にはたくさんの競技ブースがあり、
スタンプラリー形式で
自由に体験できるようになっていました。
競技は15種類くらい。
車いすレーサー体験、義足体験、
ジャベリックスロー投げ、ビーンバッグ投げ、
ミニスラローム、メディシンボール投げ…
聞き慣れないものばかりです。
「3種類以上体験した方には参加賞があります!」
「ぜひたくさんの種目を体験してください!」
司会者の合図とともに、
参加者はそれぞれ興味のある競技へ
向かっていきました。
……え、何から体験しよう。
私はひとりで参加したので、
勇気が出ずオロオロするばかり。
すると、近くのスタッフが
「これやってみませんか」と声をかけてくれました。
「ビーンバッグ投げ」という競技でした。
中に豆が入った細長いお手玉のようなものを、
遠くに投げる競技です。
重度の麻痺がある方は、
口にくわえて投げることもあるらしい。
私は車いすに座ったまま、
手で投げることに挑戦しました。
「えい!」
思い切って投げると、
ビヨーンとコース外に飛んでいきました。
スタッフからは、
「おしい!」と励ましの声。
2投目。
身体の向きを調整し、
真っ直ぐ投げることに集中。
すると今度はビヨーンと天井めがけて飛んでいき、
自分の少し前にポトンと落ちました。
数十センチの記録に、
思わず私もスタッフも笑ってしまいました。
意外と難しいな…
最後の3投目です。
日本記録のラインを教えてもらい、
力まないようにその線をめがけて投げました。
「それっ!」
ポトンとバッグが落ちると、
「わー!」っと沸き上がる歓声と拍手。
なんと日本記録のライン近くまで
飛ばすことができたのです。
「日本代表になれますねー!」
と言うスタッフの冗談に少し照れる私。
いつの間にか、
さっきまでの緊張はなくなっていました。
次は、何やろうかな。
次の競技が楽しみになっていました。
義足で歩いてみる
次は、
義足体験に挑戦してみることにしました。
身体を支えるポールの横には、
本物の足のような義足や、
足先がヘラのような形をした競技用の義足が並んでいました。
私は片足を折り曲げ、
ひざ下に義足を装着します。
おっと…
少しよろけそうになりながら歩いてみると、
意外と上手に歩くことができました。
競技用の義足も履かせてもらいました。
競技用のものは、
とても柔軟性がありました。
だからあんなに早く走ったり
飛んだりできるんだ!
テレビで見たパラアスリートの姿が、
少しだけ身近に感じました。
義足体験のあとは、
気になる競技を次々と回りました。
プラスチックのロケットのようなものを投げたり。
腰にパラシュートを付けて全速力で走ったり。
目隠しをしてガイドさんと一緒に伴走してみたり。
疲れた~
気づけば、スタンプはどんどん増え、
残る競技はあと2つになっていました。
一番やりたくなかった競技
未体験の2つは、
車いすレーサーとミニスラロームでした。
車いすレーサーは、
競技用の三輪車に正座で座り、
1分間ひたすら車輪を回し続ける体験です。
会場には、
「もっと!もっと速く!」
スタッフさんの大きな声が響いていました。

うん、これだけはやめておこう。
疲れ果てていた私はそう思い、
迷わずミニスラロームの列に並びました。
でもこちらは人気だからか、
人が多くて時間がかかりそう。
私は列に並びながら、
こんなことを考え始めていました。
もしあれもやれば、全種目制覇か…
気づけば、最初の「何やろう…」から、
「全部やりたい」に気持ちが変わっていました。
私は、少しだけ話を聞いてみようと思い、
車いすレーサーのブースへ行ってみました。
「私の年齢でも大丈夫ですか?」
恐る恐る聞いてみます。
「もちろんです!では靴を脱いで手袋をはめてください!」
え、ちょっと待って…
少し強引なスタッフさんに誘導され、
いつの間にか参加することになってしまいました。
「では正座をして、ここへ入ってください」
覚悟を決めた私は、
ミノムシのようにずりずりと
筒状の座席へ体を滑り込ませます。
「頭はもっと下げて!」
と大きな声が響きます。
頭を下げないとバランスが悪く、
ひっくり返ってしまうようです。
なんか怖い~
参加したことに少しだけ後悔しながら、
言われるがまま、できるだけ頭を下げました。
もう身体は一直線になっていて、
その体勢をキープすることすらきつくなってきます。
早く始まって~
「では1分開始!」
その合図とともに、
必死で横の車輪をぐるぐる回します。
頑張って回していると、
どんどん腕が疲れてスピードが落ちてきます。
「もっと!もっと速く!」
聞き慣れた励ましを受け、
なんとか1分間回し続けました。
終わったころにはもう腕がパンパン。
アスリートって、すごいな…
テレビで見ているだけでは分からない大変さを、
身をもって体感することができました。
待ちに待ったミニスラローム
最後は楽しみにしていたミニスラロームです。
こちらは車いすに乗り、
コーンの合間をジグザグに進んだり、
途中でくるっと回転したりする体験です。
普通の車いすと競技用の車いすがあり、
私は迷わず競技用を選びました。
わー!これがよく見る競技用のやつ!
初めて座る競技用車いす。
車輪がハの字に広がっているので、
少しの力で簡単に動きます。
楽しい!
前に進んだり、バックしたり、
くるっと回転したり。
後ろに並んでいる人がいなかったので、
2回も体験させてもらいました。
気づけば、
最初の「行くの面倒だな」という気持ちは、
すっかりどこかへ消えていました。
まさかの最高記録!
よし、これで全種目制覇!
スタンプで埋まった紙を満足げに眺めて、
受付に持って行きました。

参加賞は駄菓子でした。
「3種目参加で3個、5種目以上で5個選べます!」
そう説明するスタッフに、
私は紙を差し出しました。
スタンプの数を数えるスタッフ。
「1、2、3、4 ………17!」
「すごい!最高記録です!」
その声を聞いた周りのスタッフから、
大きな拍手が湧き上がりました。
なんか恥ずかしい…
急に注目されて驚いた私は、
恥ずかしくなったので適当に駄菓子を選び、
足早に帰ろうとしました。
すると、
スタッフさんが嬉しそうに声をかけてくれました。
「ぜんぶ体験したなんてすごいですね!」
「よかったら駄菓子、全種類、持って帰ってください!」
そう言って、
他の駄菓子もひとつずつ手渡してくれました。
「え、いいんですか?!ありがとうございます!」
私は両手に駄菓子を抱え、
少し照れくさい気持ちになりながら
そそくさと体育館をあとにしました。
帰り道、
朝はあんなに気が重かった運転も、
ハンドルを持つ手はとても軽くなっていました。
「来てよかった。」
そう思いながら、
甘い駄菓子を味わって家へ帰りました。
✨ありのままを受け入れる
最初は、
ちょっと面倒だな…と思って参加した体験会。
でも終わってみれば、
本当に行ってよかった!と思えました。
活躍する選手から直接話を聞けたこと。
いろんな競技を実際に体験できたこと。
新しい世界を知り、
障がい者スポーツを身近に感じれたこと。
これは、
実際に参加したからこそ得られたものでした。
そして私には、もうひとつ、
行ってよかったと思えることがありました。
それは、
コーチが選手に接する姿や、
彼らとの関わり方を間近で見られたことです。
私はどうしても、
「障がいがあるのにすごい」
「障がいがあっても頑張っている」
と、障がいを特別なものとして見てしまいます。
でもコーチは、
彼らを「ひとりの人間」として
自然に接していました。
障がいを特別視することなく、
だからと言って見ないふりをしている訳でもない。
全てを「その人を構成する一部」として受け入れ、
フラットに向き合っているように感じたのです。
その姿がとても素敵で印象的でした。
ありのままを受け入れること。
それは簡単なようで難しい。
でも私もあのコーチのように、
「その人のありのまま」を
素直に受け入れられる人でありたい。
そんな大切なことに、
気づかせてくれた挑戦でした。
最後まで読んでいただき
ありがとうございました!
お陰様で100の人生初に挑戦するミケチャレも、
折り返しの50回まで来ることができました。
あと半分、
自分のペースで頑張りたいと思います!
挑戦するあなたのことも、
遠くからそっと応援しています✨️
スキや感想をいただけると嬉しいです😊
📌貸衣装クリーニング店のタイミーに挑戦した話
📌このnoteやミケチャレについてはこちら
📌私の自己紹介はこちら
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