『私は差引き計算や、バランスをとる心掛けが好きではない。自分自身を潔く投げだして、それ自体の中に救いの路(みち)をもとめる以外に正しさはないではないか。』
坂口安吾「いずこへ」より。安吾は不確実な時代の矛盾に敢えて身を投じてこそ世の中や他者との折り合いをつけることが出来ると確信しつつ藻掻(もが)いている様子が窺(うかが)える。
心理学者のジェラットは不確実な時代には不確実な未来のキャリア形成を肯定的に捉えて受容することが大切であり、心の目を通して将来に向かって柔軟に意思決定する為に社会の不確実性を想像しつつ、直感を取り入れ変化に対して常に学習し続けることが最大の戦略と唱えている。伸るか反るかは組織心理学者のシャインが提唱したキャリア・アンカー(生涯にわたる価値観の核)を重視して長けている能力を磨き続けるかに懸かっていると考える。
現代社会は混迷を極めている。差し詰め海に例えるなら大時化(おおしけ)で身動きが取れない状態だ。今こそしっかりと錨(いかり)を下して凪(なぎ)を待ち、次の出航に備えて準備する為の転機と肯定的に捉えよう。
❰坂口安吾(さかぐちあんご)❱
1906年~1955年 新潟県出身 東洋大学印度哲学倫理学科卒業(現 文学部東洋思想文化学科) 第二次世界大戦後の日本を代表する作家、評論家、随筆家。「堕落論」「日本文化私観」「白痴」「桜の木の満開の下」「不連続殺人事件」「不良少年とキリスト」など。安吾は敗戦直後に活躍した太宰治と並び無頼派作家の代表と称された。

