頑張っているのに苦しい人は、何に疲れているのか #04 認知負荷編

*このシリーズは、「頑張っているのに苦しい人は、何に疲れているのか」をテーマに、情報疲労・比較疲労・判断疲労など、現代人が抱えやすい“見えにくい疲れ”を分かりやすく観測していく記事です。本日は、第4弾となります。
時間がない方は、途中の図解だけでも流れが掴めるようにしています
以下のシリーズものですね(*^▽^*)
やる事多すぎないですかあ
返信しなきゃ。
調べなきゃ。
記事を書かなきゃ。
片付けなきゃ。
あれもやらなきゃ。
これもやらなきゃ。
……いや、待って。
何から?
こうなる時があります。
別にサボりたいわけじゃない。やる気がゼロになったわけでもない。むしろ、ちゃんとやろうとしている。なのに、頭の中にやることが積み上がりすぎて、最初の一歩が分からなくなる。
スマホを見る。
通知を見る。
SNSを見る。
そして気づいたら、時間だけが過ぎている。
これ、怠けているというより、頭の中が処理落ちしている状態なんじゃないかなと。
今回扱うのは、認知負荷です。
難しく言えば、頭が処理しなければならない情報量のこと。
でも、もっと簡単に言えば、脳の作業机に物が乗りすぎている状態です。
通知。
未返信。
調べ物。
予定。
不安。
やること。
昨日できなかったこと。
そういうものが机の上に積まれすぎると、どれから手をつければいいのか分からなくなる。
だから止まる。
これは能力不足ではありません。
机が埋まっているだけです。

認知負荷とは何か
認知負荷が高い時、頭の中ではずっと複数の作業が同時に走っています。
「返信しなきゃ」
と思った瞬間に、通知が来る。
通知を開いたら、別のメッセージが目に入る。
その途中で、「そういえば調べ物もあった」と思い出す。
さらに、「今日の記事どうしよう」「片付けも終わってない」「あの返信まだ返してない」まで出てくる。
すると脳の中では、常に複数のタブが開きっぱなしになります。
ひとつの事に集中しようとしても、別の情報が横から入ってくる。
だから、頭が疲れる。
認知負荷とは、簡単に言えば、
頭の中で同時に処理しなければならないものが増えすぎた状態
です。

なぜ、認知負荷は起きるのか
認知負荷は、いきなり限界を迎えるわけではありません。
小さなものが、少しずつ積もっていきます。
通知をひとつ見る。
返信をひとつ考える。
調べ物をひとつ後回しにする。
予定をひとつ思い出す。
昨日できなかったことが、頭の中に残る。
ひとつひとつは、小さいです。
だからこそ厄介です。
「このくらいなら大丈夫」
そう思っているうちに、頭の作業机には少しずつ物が増えていきます。
しかも、現代の情報は勝手に入ってきます。自分から探しに行かなくても、通知は鳴る。SNSは流れる。広告は目に入る。動画は次をすすめてくる。気づけば、今やろうとしていたこと以外の情報まで、机の上に乗っている。
これ、ゲームで考えると少し分かりやすいかもしれません。
VRMMOや本格RPGって、やれることが多いほど楽しいところがあります。メインクエスト、デイリー、素材集め、装備更新、探索、イベント、生産、ギルド活動。自由度が高いほど、「今日は何をしようかな」と選べる楽しさがある。
でも、その導線がうまく整理されていないと、一気にこうなります。
「……で、何からやればいいの?」
やることはある。目的もゼロではない。けれど、全部が同時に表示されると、どれが今のメインクエストで、どれが後回しでいいサブクエストなのか分からなくなる。
現実も、かなりこれに近いです。
返信もある。調べ物もある。記事もある。片付けもある。通知も来る。不安も残っている。しかもゲームと違って、現実には分かりやすいクエストマーカーがありません。
だから頭の中で、いくつもの未完了が同時に走り始めます。
「あれ返してない」
「これ調べてない」
「今日の記事どうする」
「片付けも終わってない」
「でも、今これをやっていていいのか」
こうして、考える場所が少しずつ埋まっていく。
認知負荷は、突然爆発するというより、小さな情報と未完了が積み重なって起きる処理渋滞です。
だから人は、動く前に止まるのです。

認知負荷が高まると、どうなるのか
認知負荷が高まると、人はまず「頑張れなくなる」のではありません。
その前に、何から手をつければいいのか分からなくなります。
やることは見えている。
返信する。
調べる。
書く。
片付ける。
予定を確認する。
でも、頭の中では全部が同じくらいの音量で鳴っている。どれが今やることなのか、どれが後でいいことなのか、どれを無視していいのかが分からなくなる。
すると、手が止まります。
画面は開いている。メモもある。ペンも持っている。けれど、最初の一歩が決まらない。何かを始めようとするたびに、別のことが頭に割り込んでくる。
「あれもやらなきゃ」
「これも終わってない」
「でも、今これでいいのか」
そうしているうちに、頭の中だけが忙しくなって、身体は動かなくなる。
そして、気づけばスマホを見ている。
別に見たかったわけではない。何かから逃げたいというより、どれを選べばいいのか分からなくなって、一番簡単に開けるものへ流れているだけです。
だから認知負荷が高い日は、終わったあとにこう感じます。
「何もしてないのに疲れた」
でも実際には、何もしていなかったわけではありません。
頭の中では、ずっと処理が走っていました。
見えないところで考え続けて、迷い続けて、思い出し続けて、気にし続けていた。
だから疲れる。
認知負荷が高まると、人は怠けるのではなく、動く前に消耗してしまうのです。

認知負荷を軽くするには、机の上を減らす
認知負荷を軽くするために必要なのは、気合いではありません。
まず、頭の作業机に乗っているものを減らすことです。
やることが多い時ほど、人は全部を頭の中だけで管理しようとします。返信、調べ物、予定、片付け、記事、仕事、不安。それらを全部頭の中に置いたままにすると、考える場所がすぐに埋まります。
だから最初にやることは、整理ではなく、外に出すことです。
紙でもメモアプリでもいいので、頭の中にあるものを一度書き出す。きれいにまとめる必要はありません。まずは「頭の中から机の外へ出す」ことが大事です。
その上で、今やることを一つだけ決める。
全部を同時に進めようとすると、また机が埋まります。今日は何を進めるのか。今この時間は何を見るのか。ゲームで言えば、今追うメインクエストを一つに固定する感じです。
これは仕事でも同じです。
現代社会では、効率という言葉のもとに、たくさんのタスクが一気に投げ込まれることがあります。
これもやって。
あれも確認して。
こっちも返信して。
ついでにこれもお願い。
一見すると、たくさん進めているように見えます。けれど、頭の中では別のことが起きています。
大量のタスクを同時に渡されると、人は作業に入る前に、まず「どれから処理すればいいのか」を考えなければなりません。つまり、仕事そのものの前に、優先順位を決めるための負荷が生まれます。
だから、ただタスクを増やせば効率が上がるわけではありません。
むしろ大事なのは、順番です。
まず何をやるのか。
次に何をやるのか。
今は見なくていいものは何か。
これが見えているだけで、頭の負担はかなり変わります。
認知負荷を軽くするとは、やることをゼロにすることではありません。頭の作業机に全部を広げるのではなく、今見る一枚を決めることです。
効率化とは、本来、人を急かすことではなく、人が動ける順番を整えることなのだと思います。
だから、まずは頭の中にあるものを書き出す。
次に、今やる一つを決める。
そして、入ってくる情報を少し減らす。
通知を切る。
タブを閉じる。
SNSを見る時間を決める。
あとで読むものは一か所にまとめる。
机の上に新しい紙が飛んでこないようにするだけでも、頭は少し楽になります。
認知負荷を軽くするとは、自分をもっと追い込むことではありません。
頭の机に置くものを減らし、処理する順番を見えるようにすることです。

まとめ
認知負荷とは、頭の中で処理しなければならないものが増えすぎている状態です。
通知、未返信、調べ物、予定、不安、昨日できなかったこと。ひとつひとつは小さくても、それらが同時に頭の中へ乗ってくると、脳の作業机はすぐにいっぱいになります。
すると、人は動けなくなります。
それは、やる気がないからではありません。能力が足りないからでもありません。頭の中で、すでにたくさんの処理が走っているからです。
何から手をつければいいのか分からない。最初の一歩が決まらない。考えているのに手が動かない。気づけばスマホを見て終わっている。
そういう日は、自分を責める前に、こう考えてみてもいいのだと思います。
「今の自分は怠けているのではなく、頭の机が埋まっているのかもしれない」
大切なのは、もっと気合いを入れることではありません。
頭の中から出すこと。
今やることを一つにすること。
順番を決めること。
入ってくる情報を少し減らすこと。
効率化とは、本来、人を急かすことではなく、人が動ける順番を整えることです。
頭の作業机に全部を広げなくていい。
まずは一枚だけ、今見る紙を決める。
そこからで、大丈夫です。

次回予告
次回は、焦燥感について扱います。
情報が多い。
比較もある。
判断も続く。
頭の中もいっぱいになる。
そして、その先で出てくるのが、
「早くしなきゃ」
「何かしなきゃ」
「このままだと置いていかれるんじゃないか」
という焦りです。
休んでいるはずなのに落ち着かない。何もしていない時間が怖い。SNSを見るたびに、誰かが前に進んでいるように見える。
でもその焦りも、ただの性格の問題ではないのかもしれません。
次回、灯研究施設では、現代人が抱えやすい焦燥感を観測していきます。
焦っているのは、あなたが弱いからなのか。
それとも、常に急かされる社会の中で、心がずっと走らされているからなのか。
次の研究で、少しずつ整理していきます。
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ここまで歩いていただき、ありがとうございます。
もし何か感じていただけたなら、その想いをそっと置いていっていただけると嬉しいです。