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赤いユニフォームを探して1時間。イムディーナへ道のり。

赤いユニフォームを探して1時間。

ウォーターフロントの街
ウォーターフロントの蝋人形


マルタ旅行は初めてだったので、オーダーメイドで旅程を組んでもらえるサービスを使った。ホテルの予約から観光の手配まで、海外の担当者が英文メールで丁寧に対応してくれた。

その中に、ホップオンホップオフバスのバウチャーも含まれていた。メールにはこう書いてあった。「指定のバス停でバウチャーを交換できます」と。

当日、指定のバス停に向かった。でも、そこには誰もいなかった。

【1時間のうろうろが始まった】


ウォーターフロントの看板



バス会社のスタッフらしき人を見つけて英語で確認すると、「交換場所は別のバス停だよ」と言われた。言われた場所に移動した。また誰もいなかった。

マルタの港沿いをうろうろしながら、少し焦り始めた。バウチャーの交換場所がわからない。バス会社も複数あるから、どこに聞けばいいのかも判断できない。

ウォーターフロントの波止場


ただ、不思議と景色は綺麗だった。港に並ぶヨット、地中海の青い空、石造りの建物が続くヴァレッタの街並み。迷子になりながらも、「まあこれはこれでいいか」と思えてしまうのがマルタの空気感だった。

1時間ほどうろうろして、最初のバス停に戻ってきた。そこに、赤いユニフォームを着た2人組がいた。

【英語で話しかけた、その瞬間】

hop on hop bas


「あの人たちかもしれない」と思った。でも確信はなかった。ドキドキしながら英語で話しかけた。

「Excuse me, I have a voucher for the hop-on hop-off bus. Can I exchange it here?」

そうしたら、その2人がにこっと笑って「Yes, of course!」と言ってくれた。正解だった。

バスチケットと時刻表



バウチャーをパスに交換してもらって、ようやくバスに乗れた。1時間のうろうろがあっさり解決した瞬間、なんとも言えない達成感があった。英語が通じた、という小さな成功体験が、旅の最初にできた。

2階建てバスからの街並み

【バスの上から見えたマルタ】

バスに乗り込むと、車体には世界各国の国旗が描かれていた。マルタ、フィンランド、英語、イタリア語、日本……世界中から観光客が来ているんだな、と実感した瞬間だった。

2階のオープンデッキから眺めるマルタの街並みは、地上から見るのとまったく違う景色だった。石造りの建物が続く旧市街、遠くに見える教会のドーム、地中海の青さ。バスに揺られながら、この旅が本格的に始まった気がした。

そして、終点に近い停留所でバスを降りた。目の前に広がっていたのが、イムディーナだった。

【城門をくぐった瞬間、空気が変わった】

イムディーナの門


バス停からイムディーナの城門まで、少し歩く。遠くから見ても、その存在感は圧倒的だった。

イムディーナ全体


城門をくぐった瞬間、音が消えた。風だけが聞こえた。石畳の路地が、どこまでも続いていた。さっきまでのうろうろが、嘘みたいだった。

【イムディーナの街に馬車が通る】

イムディーナの馬車


路地を歩いていると、広場に大砲が置いてあった。中世の城塞都市に、本物の大砲。それだけでも十分すぎる光景なのに、そこへ馬車が走ってきた。

本物の馬車が、石畳の上を走っている。中世の街に、中世の乗り物が、今も普通に存在している。観光用だとわかっていても、その光景には素直に感動した。

タイムスリップ、という言葉がこれほど似合う場所はなかなかないと思う。

【街の中を歩いて見つけたもの】


イムディーナの女神像


路地の角には聖母像が置かれていて、誰かが手入れをして花を添えている。数百年前の建物の中で、今日も誰かの日常が続いている。イムディーナは「静寂の街(The Silent City)」という別名を持ち、今でも数百人の住民が実際に生活を営んでいる。博物館でもない、テーマパークでもない、本物の暮らしが続いている街だ。

イムディーナの教会


大聖堂の中に入ると、バロック様式の装飾が息を呑むほど美しかった。金箔、絵画、キャンドルの光。外の石造りの無骨さとのギャップが、また良かった。

イムディーナの教会


急がなくていい。ベンチに座って、ただ風を感じる。そういう時間の使い方が、イムディーナには似合っている。

【イムディーナで見つけた、色々】

ムディーナ・ダンジョン


路地を歩いていると、中世の衣装を着た蝋人形が立っていた。「ムディーナ・ダンジョン」という地下観光施設の入口だ。今回は入らなかったが、次回は行ってみたい。

ジェラートの看板


「Coppe Gelato」というジェラート屋さんのメニューが石壁に貼ってあって、思わず写真を撮った。マルタ産のイチジクとシナモンを使った「Maltija」というフレーバーが気になったけど、今回は食べなかった。次回は絶対に食べる。

カラフルなロバ


お土産屋さんには、マルタの伝統模様で彩られたロバの置き物が。可愛くて写真を撮ったけど、これもまた「作られていない」マルタらしさのひとつだと思った。

【騎士団の歴史がお土産になっている】

騎士団のフィギュア


お土産屋さんには騎士団のフィギュアがずらりと並んでいた。白・黒・赤のマントをまとった騎士たち。マルタ十字が刻まれた盾と剣。マルタの歴史がそのままグッズになっている。

歴史好きにはたまらない場所だと思う。

【サイレントシティ 静かに眠る街】


イムディーナは、数字や効率では語れない場所だ。

馬車の音、キャンドルの灯り、路地の静けさ。五感で感じる歴史が、ここにはある。マルタに行くなら、ヴァレッタだけで満足してはいけない。半日でいいので、ぜひイムディーナまで足を伸ばしてほしい。

次は、マルタのもう一つの顔——ポパイビレッジ
(マルタシリーズ、続きます)

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