旅は、帰ってきてからも続いている。

📺Netflixで『パンナム103』を見ていた
1988年に起きたパンアメリカン航空103便爆破事件を描いた作品だ。
スコットランドのロッカビー上空で爆発した旅客機。270人もの命が失われた実際の事件をもとに、捜査がどのように進んでいったのかが描かれている。
そんな緊張感のある物語を見ていたときだった。「あれ? ここ、見たことがある」画面に映った石造りの建物。強い日差し。蜂蜜色の街並み。そこは、以前ひとり旅で訪れたマルタだった。
🕍物語の重要な場所だったマルタ
パンナム103便事件とマルタには、深い関わりがある。捜査の過程で、爆弾が入っていたとされるスーツケースや衣類をめぐり、捜査線上にマルタが浮かび上がったからだ。
Netflixで配信されているBBCドラマ『The Bombing of Pan Am 103』でも、捜査はスコットランドだけにとどまらず、アメリカ、そしてマルタへと広がっていく。
そしてこの作品は、実際にマルタでも撮影された。調べてみると、私が旅したことのあるヴァレッタ周辺もロケ地になっていた。

🏰ヴァレッタの「騎士団長の宮殿」
ロケ地のひとつが、マルタの首都ヴァレッタにあるGrand Master's Palace(騎士団長の宮殿)。
16世紀から続く歴史的な建物で、聖ヨハネ騎士団の時代を今に伝える場所だ。
ドラマでは別の政府庁舎を表現するためのロケ地として使われている。
Netflixで見ているときには物語を追うことに夢中だったけれど、あとからロケ地を調べて、「やっぱりマルタだったんだ」とうれしくなった。
旅をした場所が映画やドラマに突然現れる。
これは、実際にその土地を歩いた人だけが味わえる、小さな旅のご褒美なのかもしれない。

🏝️もうひとつのロケ地、ビルグ
さらに撮影は、ヴァレッタの対岸にあるBirgu(ビルグ)でも行われている。
ヴィットリオーザとも呼ばれる、スリーシティーズのひとつだ。
ここでは歴史的建造物のOld Armouryが、ドラマの中でマルタ警察の施設として使用されたと報じられている。
マルタは小さな島国だけれど、歩いてみると、街のいたるところに長い歴史が残っている。石造りの建物。細い路地。海から吹いてくる風。
そして、どこを切り取っても映画のセットのような風景。だからこそ、多くの映画やドラマの撮影地になるのだろう。

🧳旅は、帰ってきてからも続いている
マルタを旅したときには、まさか何年か後にNetflixを見ながら、「ここ、行ったことがある!」と思う日が来るとは考えていなかった。
旅というと、飛行機に乗っている時間や現地を歩いている時間だけを「旅」だと思いがちだ。
でも、本当は違うのかもしれない。

帰国してから映画を見たとき。ニュースを読んだとき。歴史を知ったとき。「あの場所は、こういう場所だったんだ」と過去の記憶と新しい知識がつながる。その瞬間、終わったはずの旅がもう一度始まる。今回『パンナム103』を見て、私の中のマルタの旅も、少しだけ続きを始めた。
ドラマでは、マルタの美しいロケ地から入って、最後にロッカビーへ視点を戻す。
So much has been broken here.
「ここでは、あまりにも多くのものが壊れてしまった。」
そして、美しいマルタの街並みを背景に描かれていたのは、観光地としてのマルタではなく、270人の命を奪った事件の真相を追う人々の物語だった――。
次にマルタへ行くことがあったら、今度はヴァレッタやビルグを、「きれいな街」として見るだけではなく、その場所が持つ歴史や物語にも目を向けながら歩いてみたい。
旅した場所を、あとから知り直す。これもまた、旅の楽しみ方のひとつなのだと思う。
あなたも、旅した場所が思わぬところで登場した経験はありますか。ドラマを観た方もよかったら、コメントで教えてください。
