ぬれ煎餅と日本酒の話
誰にでも苦手な食べ物って
一つくらいあると思う。
僕にもあります。
あなたにもあるでしょ?
苦手な理由は。。
あるような、ないような。
今日はそんな話です。
⸻
お土産で頂いたぬれ煎餅が
雑巾みたいな匂いだった!
ってLINEきた。笑
うん。合ってる。かなり合ってる。笑
そういう食べ物で間違いない。
でもそれ、
悪口じゃなくて正解寄りの表現。
ぬれ煎餅のあの匂い、
正体はだいたいこの辺。
⸻
正体① しょうゆ × 水分 × デンプン
乾いた煎餅と違って
・水分が多い
・表面が常に湿ってる
ここでしょうゆの香りが
揮発せず、こもる。
結果
「香ばしい」じゃなく
湿った醤油布みたいな匂いになる。
ぞうきん感、ここ。
⸻
正体② 発酵・熟成系の香りが前に出る
ぬれ煎餅は
・再加熱しない
・密封されがち
だから
しょうゆの中の
発酵由来の香り
アミノ酸系の匂いが
ダイレクトに鼻に来る。
人によっては
・濡れた畳
・使い込んだ布巾
・梅雨の台所
この連想になる。
⸻
正体③ 香ばしさが足りない
匂いって
焦げ・乾き・熱があると
「おいしそう」に変換される。
ぬれ煎餅は
その三つをあえて捨ててる。
だから
脳が
「これは食べ物か?」
って一瞬迷う。
おまけに初めて食べた時は「煎餅」という先入観が強い。
実際は、ふにゃ(弱め)
⸻
じゃあ、好きな人は何を食べてる?
ぬれ煎餅好きは
香りじゃなくて
食感と塩味の直撃を食べてる。
・噛んだ瞬間のじゅわ
・塩分の即効性
・米の密度
匂いは
「前座」扱い。
⸻
念の為フォローすると
ぞうきんみたい、は
匂いの系統として正しい。
ただし
・新品の
・ちゃんと洗って
・天日干ししたやつ
という条件付き。笑
嫌いでも舌は正常。
好きでも舌は正常。
ぬれ煎餅は
匂いで判断すると損する食べ物代表。
鼻を一回オフにして、噛むと評価が変わるタイプだ。
とかなんとか、説明してみたけど、
やはり無理だったらしい。
謝らなくていい。
あれは試練だから。笑
ぬれ煎餅は
・刺さる人には刺さる
・無理な人には最後まで無理
途中で「これは違う」って引き返せたの、
味覚センサーがちゃんと仕事してる証拠。
食の世界って
「ありがたい」「名物」「もらい物」
この三点セットが一番危険でさ。
無理なものを
「修行だと思って…」
って食べ切る必要、どこにもない。
今日は
・胃を守った
・記憶を一つ増やした
・ネタも手に入れた
で、いいじゃない。ね。
僕も苦手だったな。ぬれせん。
過去形なのは、
克服したわけじゃない。
忘れかけてた記憶。
それを言うなら僕にも似たような話。
どこかのお土産でそれを頂いた。
僕の為に買って来てくれたそうな。
チロルチョコみたいなサイズで、
中にお餅が入ってる。
包装も綺麗で
「これ美味しいやつだよ」感がすごい。
こういうとき、
人はだいたい見ないで食べる。
⸻
嫌いなはずなのに、
うまいかもしれない理論
嫌いな物がはいっていても
• 甘さ控えめかもしれない
• 餅が主役かもしれない
• チョコで中和されてるかもしれない
希望的観測はいくらでも立つ。
で、食べる。
正直美味かった。
餅は柔らかいし、
甘さのバランスもいい。
でも、
きなこ入ってた。
「きなこ」
あれはダメだ。ダメ。
アレルギーじゃないけど、
きなこは苦手だって、言ったはず。
僕がきなこ苦手なの、
市町村レベルで公言してたはず。
きなこが苦手になりやすい理由、いくつかある
① 香りが粉っぽい
きなこの主成分は炒った大豆。
脂も糖も少ないから、
香りが「乾いてる」。
人によっては、
甘いのに潤いがない感じが気になる。
⸻
② 舌にまとわりつく感じ
きなこって、
溶けるというより貼りつく。
• 餅に絡む
• 口の水分を持っていく
• 後味が残る
これが苦手な人、結構多い。
⸻
③ 甘さの方向が独特
砂糖菓子の甘さじゃなくて、
豆の甘さ。
この「和の甘さ」、
慣れてないと違和感になる。
⸻
④ 子どもの頃の記憶
きなこって、
給食やおやつで
「選択権なく出てくる」代表格。
• きなこ揚げパン
• きなこ餅
その時の体験が、
味とセットで残ってることもある。
僕の場合は、多分これ。
給食の揚げパン。
メチャクチャ苦手だったなぁ。
僕はね、パンはちぎって食べる派。
ガキの頃からそう。
なんて言うか、おませさん。
育ちの良い僕にとって
先割れスプーンをぶっ刺して
大口開けてかぶりつくタイプの揚げパンは
なんとも居心地の悪いメニューだった。
砂糖と油で触りたくないし。
口の周りに砂糖ときなこ付くし。
しかもやたらと変に甘い。
そして、なんだあの口に残る感じは。
2時間は語れるくらい苦手なのに、
よりにもよって、なんでそれ買ってきた??
選んだセンスよ。
マジで問い詰めたい。
でも、嫌いなものを
「丁寧に作った」結果、
ちゃんと美味い味になってた。
包装紙をよく見たら、
原材料:きなこ。
すみっこにちゃんと書いてある。
⸻
その瞬間、
味覚じゃなくて、
プライドがざわついた。
見抜けなかった自分に腹が立つし、
美味いと感じた事実にも、
なんか負けた気がする。
誰だこれ作ったやつ!
一瞬思った。
本気で。
⸻
でも冷静に考えると、
作った側は何も悪くない。
むしろ、
嫌いなものを嫌いだと気づかせないレベルまで
仕上げてきた職人がすごい。
美味しゅうございました。
ごちそうさまでした。
きなこ入りと分かってからも、
全て頂きました。
もしかしたら、きなこ、克服したかも。
今度、試してみよう。
あ、思い出した。
僕が克服した話し、聞いてくれるかい?
あれは高校一年の夏。
とんでもない失恋しましてね。
辛過ぎて、
やけ酒飲んだですよ。
今も昔も、未成年の飲酒はダメですが、
時は昭和、未成年でも無条件で
酒もタバコも好きに買えた時代。
確かマルボロが一箱220円の頃の話。
それこそ高校生のお小遣いで買えそうな
銘柄とかよくわかんない安日本酒をですね、
お菓子食べながら半分飲んだですよ。
一升瓶の半分。
お酒の飲み方なんか当時まだ知らなくて
うまいうまい言いながら
がぶ飲みしたら酔い潰れ、
深夜に寝ゲロ。笑
下手したら本当に逝ってたかも。
当然、翌日は激しい二日酔い。
で、いいだけ具合悪くなって
その後、日本酒飲めなくなりました。
残りの半分、ちょっと口に含んだだけで
「おえっ。」って。
無理して飲み込もうとしても
強烈な吐き気がして飲み込めない。
体が受け付けないように
なりましたとさ。
その後、30歳くらいの時に
酒蔵のお祭りに誘われて
「若い白ワインのような淡い飲み心地」
なる蔵出しの日本酒を試してみましたが
まるでダメで。
40歳くらいの頃にも
日本酒専門のお高い居酒屋で
チャレンジするもぜんぜんダメで。
僕はこのまま一生、
日本酒とは縁が無いのかなって。
50を過ぎた頃に
「日本人に生まれてきて、
日本酒呑めないのは、本当に損してる」
そう思いましてね。
これが最後のチャレンジだと思い、
一口飲んでみたところ、
呑めたんです。
「真澄」という辛口の日本酒でした。
黒いラベルの、ちょっといいやつ。
あれ本当に嬉しかったなぁ。
日本酒は、40年かけて
僕のところに帰ってきた。
風呂上がりにはビール
食事にはワイン
馬鹿騒ぎにはテキーラ
孤独にはウイスキー
そして、語らう夜は日本酒。
僕は、酒も説教も辛口が好き。
日本酒が飲める大人。
本当に40年、憧れてた。
日本酒は、若い僕を拒んだんじゃなくて
ただ、まだ早いと言っていただけ。
体って不思議でね。
若い頃の「強烈な記憶」と味や匂いが
結びつくと、
まるで門番みたいに
「ここは通すな」
ってやることがあるらしい。
でも30年経って、
体も人生も少し丸くなると、
その門番がこう言うわけだ。
「…まぁ、そろそろいいか。」って。
すまないね。
さほど面白い話じゃないね。
でも、
「…あのとき吐いたの、
無駄じゃなかったな。」
って、今は思えるよ。
あと、吐くと言うなら
チョコミント。
あれもダメだ。
どうしてもね、
歯磨き粉をゴックンしてる感覚。
罪悪感ハンパない。
いかんいかん。
これ以上は悪口になってしまう。
これはまたいつか、別の機会で。
