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髙橋洋一氏のセミナーに行ってみたら、そこは「大家の社交場」ではなく「ただのファンミーティング」だった件

昨日に開催された「大家さんフェスタ」なるものに足を運んだ。

私自身、マンション1棟、駐車場12台、貸倉庫27戸を管理する身だ。日々、入居者の募集条件の最適化や老朽化する物件の修繕計画、そして何より避けては通れない「相続税対策」に頭を悩ませている。そんな現場の人間にとって、こうした大規模イベントは、何か経営の突破口となるような実務的な知見が得られる場であってほしい。そんな淡い期待を抱いての参加だった。

結局、到着したのは、目玉である髙橋洋一氏のセミナー開始30分前。そこでダメなんだけどね。会場はほぼ満席、前から10列目を確保するのが精一杯だった。直前に座った大柄な人物に視界を物理的に遮断され、加えてカメラ撮影禁止ですと言われながら撮影を辞めないジジイに苛立ちを覚えつつも、「まぁ、質問タイムで有益な話が聞ければ」と自分をなだめていた。

セミナーの内容自体は、日頃から同氏のメディアやYouTubeを追っている人間からすれば、いわゆる「いつもの話」の範疇だった。ただ、ご自身も大家業を営んでいるという点は興味深く、週末の激務の合間にわざわざ名古屋まで立ち寄ってくれたその労力には一定の敬意を表する。まぁ、高齢者だしね。

しかし、私が心底呆れ果てたのは、その後の20分間の質問タイムだった。

10列目までマイクが回ってくる気配など微塵もない。かといって、前に座る面々が、我々大家が喉から手が出るほど聞きたい「具体的な相続税対策」や「経営戦略」に切り込む様子も一切ない。

その場でマイクを握った人々が繰り出した質問は、以下の通りだ。

  • 「トランプ氏の今後の動向について」……(不動産と関係ある?)

  • 「中国経済の行方について」……(相手にしてどうするの?)

  • 「先生が気になる少子化問題について」……(そもそも大家なの?)

  • 「家賃が上げられない悩み」……(名古屋は家賃を上げにくい地柄)

  • 「特定のメガバンク(SMBC)への不満」……(気に入らないなら信用金庫と付き合えばいいけど)

ここは「大家さんフェスタ」ではないのか? 相続税対策や、資産防衛といった経営の根幹に関わる話を聞きに来ているのではないのか?

会場を見渡すと、賃貸経営者だけでなく、ただ髙橋氏の解説を聞きたいだけの一般のファンが大量に混じっていることが分かった。大家にとっての経営課題はもっと差し迫ったところにあるはずだ。それなのに、場違いな政治談義や個人的な不満で貴重な時間が浪費されていく。

「大家と言えば、まず相続税だろう!」

喉元まで出かかった怒りを飲み込みながら、私はただ呆然と会場の温度差を眺めていた。不動産を所有するということは、資産管理と同時に、次世代への継承という重い責任を伴う。我々が知りたいのは、世界情勢の講釈ではない。いかにしてキャッシュフローを維持し、税務という防波堤を築くか。その一点に尽きる。

結局、「大家さんフェスタ」は私にとって、ただ時間を浪費するだけのファンミーティングでしかなかった。

今回の参加で得られた数少ない収穫は、「二度と行くことはない」という強い決意と、経営者として有益な情報を得るためには、こうした大衆向けのイベントではなく、もっとシビアに専門性が交差する場を自ら選び抜かなければならないという当たり前の教訓だった。

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