見出し画像

【ショートストーリー】おじさんはおじさんのことが嫌いなのか。

毎日、カウンターに立つ旦那を見ていて、思うことがある。

旦那と同じくらいの年頃の中年男性が店を訪れると、ほんの少し、ほんの少しだけだが、

旦那の眉間の皺が濃くなる。

おじさんは、おじさんのことが嫌いなのだろうか。

そんな疑問を抱き、私はしばらく旦那を観察してみた。しかし、寡黙な人なので、そもそも喋ることがない。分かるのは、やはり眉間の皺が濃くなる、ということだけだった。

一度、私は意を決して聞いてみた。

「おじさんのこと、どう思う?」

旦那は眉間の皺をさらに濃くして、

「は?」

と言った。その話は、それきりだった。

ある日、飲んだ帰りだろうか。
中年男性がカウンターに腰を下ろし、旦那に仕事の愚痴をこぼしていた。相変わらず、旦那は眉間の皺を濃くしたまま、相槌すら打たない。

ただ、世界で一番美味しいコーヒーを淹れた。

その男性は、仕事の愚痴をカウンターに置き、
代わりに、世界一美味しいコーヒーを胃袋に入れて、店をあとにした。

足取りは、どこか軽やかだった。

おじさんは案外、
おじさんの味方なのかもしれない。

その夜、私はまた聞いてみた。

「おじさんのこと、好き?」

旦那は、何も答えてくれなかった。

               
☕️喫茶 YUGE/裏   
(ステキブンゲイ掲載「切れ端のストーリー」より)


今週は、noteもYUGEもおじさん大渋滞。


少し疲れた夜には喫茶 YUGEへ。 
毎週金曜日、更新!👇️全話無料🆓

https://sutekibungei.com/novels/129b3c40-7819-49a6-b93b-c83d159097ae

☕️今夜、店を訪れるのは疲れたサラリーマン👔
不穏な空気の「5杯目 まだ、続けますか。」

5杯目「……まだ、続けますか」

いいなと思ったら応援しよう!