【エッセイ】カ・コ・サ・ト・シ
この記事を読んで、書きかけのコジコジの記事は慌てて下書きに戻した。
加古里子さん、生誕100年。
彼の功績は、本当に偉大なものだと思う。
子どもの頃、繰り返し読んだ「からすのパンやさん」。
いつも初めて読むような気持ちで、何度もあのページを、わくわくしながら眺めていた。
アンパンマンのように、どの子も一度は、きっと彼の作品に触れているのではないだろうか。
昨年は絵本展に足を運び、あの憧れのページがリアルに再現された光景を見た。気がつけば、子どもたちよりも、私の方が喜んでいた。

加古さんは、東京大学工学部を卒業した科学技術者でありながら、絵本作家でもあった。文系100%の私からすれば、尊敬以外の言葉が見つからない。そういう意味では、宮沢賢治も同じだと思うし、現代の小説界でも理系出身の作家が活躍することは、珍しくないように感じる。作品をつくる上で、文系と理系、その両方を行き来できる人の強さを、あらためて感じる。
私は絵本が好きだ。けれど、今の「好き」は、子どもの頃の純粋なそれとは、少し違っている。作者の「骨」のようなものが、垣間見える気がして好きなのだ。少ない文字数。誰もが理解できる言葉。それらを優しく、あたたかく、美しく並べながら、限られた中に、確かなメッセージを込める。
科学の本は枕にするしかない私でも、科学の絵本なら、楽しみながら少しは理解できる。普段なら、遠くから手を振っているのがかすかに見えるだけの科学者とも、絵本を介せば、ほんの少しのあいだ、手をつなぐことができる気がする。
単純だけど、それが嬉しい。
加古さんは、数多くの絵本を残している。
生誕100年の今年、私のオススメは「マトリョーシカちゃん」。科学の絵本ではないけれど。
だって、可愛いから。
榊編集室 mashiro🪆
