2026/07/06~12(ポルノ・風俗の今昔、藤枝静男、「ゆきゆきて、神軍」など)
暑くなってきた。蝉が鳴きはじめた。自転車ごと田んぼに突っ込んだ、俳句は停滞気味⋯とあまり良いことのなかった今週。本も3 冊だけ。ルポものはこんな世界がある(あった)のか、と感心した。ワイセツに関する法律やAV業界の現状、ニッチすぎる分野(世間的にはフェチ、変態とされる)の地方への波及などを知ることができ、面白いというか唖然とさせられるかというか。
藤枝静男の作品集は未読の1冊だった。大津事件から垣間見える当時の藩閥政治、若者文化への藤枝の見方、自身の前衛表現への思いが語られ「田紳遊楽」「空気頭」につながる姿勢が分かる。、独自の私小説、表現の分析が冷静だ。蛇足になるがたしか藤枝は対談集(だったと思う)で「出鱈目にもなんらかの意味がある」といった主旨の発言があり、自分の創作にも大きな影響というか、励みになった。

映画はX上でも無料配信で話題になった「ゆきゆきて、神軍」。見るのは3回目だが、自分の評価は変わらない。「人間を極限まで追い詰めてしまう戦争の悲惨さ」「奥崎謙三という男の強烈なキャラ的と自己顕示欲」「面白い映画にしようとする制作者側(監督の原一男、その背後の今村昌平ら)の意図や手法」が渾然一体となり、ドキュメンタリーというより群像劇、とみている。エキセントリックな奥崎謙三の行動、主張は多分に〝好き嫌い〟があり人間の本能むき出し。会社の売上アップの要因など銭勘定もしっかりしている。制作サイドも演出に工夫をこらす。戦争が招いた人間の狂気、戦後の生き方などが奥崎を通して映し出されるが、この映画はイデオロギーとどまらない「戦い」を扱った。カルト的作品として、今でも熱心なファンが多いのは頷ける。
ただ個人的には原のこの映画の次作「全身小説家」の方が好きだ。嘘つきが前提条件と示しており、主人公の井上光晴はもちろん、とりまきの人々がどこまで本当のことを言っているのかさえ分からなくなってくる。嘘をつくことによる〝自己演出〟は日常的にあり、つまり人間の業に触れている、というのは大袈裟過ぎるか。

〈今週の自選14句〉
おたまじゃくしはたまにきずにのるマジック
残されたピーナッツマミはのれんわけのっぴきならない
未成年合唱団みねうちはしょうじきがわるいを断定
クロコダイルはたまごくろうな大往生けにえ
穴まぶしくてあすてかざりがにまたあまる
あやうく楕円形なけいやくじけない敬遠やむなし
曇天な相撲とりしきる点と線な千歳あめかくし
㌏GTPOのわがままのしわをトップ怒る
円周音にはやいはやさのはばかり(いやはや…)
y軸わくわく積乱雲はくじけないわたしくし
プラナリアは成り行きどまりがあり地獄
箇条書きのかばなもみくちゃかしてもなか上品
うめぼしのささやきカルメンはおしめやか
こめかみかこみこっぱじんも隣人にやっかむ
