プロ鍼灸師Toshi・山本の治療家人生物語~病院勤務編②~
鍼治療を認めない医師の担当患者さんを、数回の鍼で回復させて退院させた!
現代医学の医師から見て鍼灸師・マッサージ師とは
病院関係では、まだまだ面白いエピソードがあります。
現代医学の医師たちは総じて、鍼灸師やマッサージ師のことを、一段低く見ている傾向があります。
私たちは科学に裏付けされた近代医学を学んだ身だ、という変なプライドがそうするのでしょうね。
目で確認することができないツボなんて信用できるかということでしょう。
医師たちと話していると、その態度や言葉に如実に現れてきます。
東洋医学は、科学的に説明できない分野が多いため、科学実証主義に育った医師たちには到底理解ができないのでしょう。
前回記事で触れた、ギックリ腰の入院患者さんの治療に成功した時は、医師も看護師も、その現実を認めざるを得なかったようです。
しかし、そのことと鍼治療を認めるかどうかは、彼ら彼女らにとっては別の次元の話だということです。
手術室の看護師役までこなす日々。
病院勤務時代は、この病院の整形外科医からオペ室に呼ばれて、オペ室の看護師役をやるということがたびたびありました。
一番多かったのは東大医学部卒のM医師。
通称オぺ看と呼ばれるオペ専門のスタッフは、機転の利く看護師が配置されているのですが、なぜかリハビリ担当の私が、M医師から名指しで呼ばれるのです。
整形外科の手術はなぜか力仕事が多いので、私みたいな体力自慢の人間が看護補助に入ると何かと便利だったのかも知れませんね。
館内放送で呼ばれる回数はM医師が断然多かったのですが、ほかにもI医師という方からも、私がオペ室に呼ばれて整形外科の看護師役をやることが何回かありました。
のちに、この整形外科医I医師から、鍼治療を頼まれることになるのです。
I医師に詰め寄った若い患者さんたち
I医師も、どちらかと言えば、医師特有のプライドの塊りという方でした。
鍼治療そのものには懐疑的だったというか、どちらかと言うと信じていない傾向がありました。
あるとき、そのI医師が、むち打ち症で入院していた若い患者さん二名に詰め寄られているという話を看護師から聞いておりました。
整形外科の処置で治らないため、I医師に「何故治らないのか?」と膝詰め談判したようです。
リハビリ室で首の牽引をしても、超音波で首を温めても、なかなか症状は回復しませんでした。
そのむち打ち症の患者が、ギックリ腰で入院してきた患者さんが鍼治療で回復したということを耳にしたのでしょう。
I医師に掛け合って、「鍼治療を受けさせてください」と何回か談判したようです。
しかし、整形外科の限界を認めたくないI医師は、なかなか首を縦に振りませんでした。
医師のプライドがそうさせたのでしょう。
諦めず交渉した患者さん。そしてI医師がついに動く!
それでも諦めず、若い患者さんは、I医師と毎日のように交渉しました。
それから1カ月が経った頃、この患者さんたちの抗議にほとほと困ったのでしょう。
「ムチウチ症の患者さんに鍼をやってほしい」と、あまり乗り気ではない顔で、私のところへ頼みにきました。
そして、
「レントゲンでは異常が無いのだが、めまいがする、吐き気がする、頸が痛い、と訴えて来るので、こちらも処置にほとほと困っている。何とか鍼で回復させてもらえないか」
ということでした。
私は、I医師の魂胆も見えていたので、契約にないということで最初は断りましたが、若い患者さん二名とはリハビリ室で既に顔馴染みだったので、鍼を打つことを承諾しました。
いざ、堀切流鍼治療の神髄を見せる時!
そして、
「私の鍼は響く鍼で、君たちが経験したことのある鍼とは違うけど、それでもいいかい?」
と聞くと、
「先生がギックリ腰の患者を回復させたことは、病室にいる者たちには知れ渡っていますので、是非お願いします」
ということで、翌日から整形外科の処置室で、二名のむち打ち症患者の鍼治療をすることになりました。
先ずは、風池穴と肩井穴に15分間の置鍼を行った後、定喘穴、肩外兪穴、抬肩穴、臑兪穴、曲垣穴、膏肓穴、脾熱穴のほか、頸の板状筋三ヶ所、胸鎖乳突筋を何穴か取穴して1回目の治療を終えました。
治療後の経過は・・・
痛い箇所をたずねたところ、
「頭がボーッとしていて、今は見つかりませんので、明日の報告でいいですか?」
と聞くので了承。
その晩は鍼治療の疲れもありぐっすりと眠れたと報告がありました。
むち打ちの痛みも、1回の治療でかなり軽減したとリハビリ室に来て語っていました。
そして、都合3回の治療で彼らは何ごともなく無事退院しました。
たった3回の鍼治療で長期入院患者を退院させた!
長期入院患者を数回の鍼治療で回復させ、I医師に鍼治療の奥深さを認識させることができました。
まあそれでもI医師は鍼治療の実績を心の中では認めないでしょうけどね。
病院というところは、医師もそうですが、看護師もプライドが高い方が殆どですからね。
少なくとも、私の勤めていた外科病院ではそうでした。
あとがき
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