ファミリーヒストリーを知る第一歩。「親インタビュー」のすすめ
NHKの番組「ファミリーヒストリー」が人気ですね。
親の生い立ちを知り、歴史や時代、地域との関わりを知り、ルーツを知る。それは、自分自身について深く知り、理解することにもつながります。
自分自身につながる大きな流れを知ったとき、人は孤独ではなくなります。
ファミリーヒストリーへの入り口として、親にインタビューをしてみませんか?
特に、遠くに住んでいて会う機会が限られる場合は、年末年始やお盆など、顔を合わせる機会を上手に利用すべきです。
「あまりそういう話を聞いたことはなかった」という方は特に、親が元気なうちに、水を向けて話を聞いてみましょう。
プロのライターの「インタビュー」の技術を使った、「親インタビュー」のやり方をご提案します。
インタビューには準備が必要
親にインタビューを行うには、まず、適切な時期と場所を選ぶことが必要です。ゆっくりした時間がとれそうなとき、穏やかにくつろいで話を聞ける場所を選びます。
本格的に行うなら、事前に「こういう話を聞きたい」と、時間をとってもらいましょう。
何を聞きたいか、事前に「質問リスト」を作っておくと、聞きもらしを防げます。
必要な道具(メモ帳、録音機器など)も、用意しておきましょう。
録音は、「メモがわりに録音してもいい?」などと声をかけて始めます。文字起こしアプリなどを活用するのもいいでしょう。
また、事前リサーチも大切です。自分が記憶している範囲で、家族の年表を作ったり、家系図を書いておいて、わからないところを聞くようにすると、時間を有効に使い、より深い話を聞くことができます。
インタビューの基本テクニック
できるだけ、自由に答えを選べる「オープンエンド」な質問をしましょう。
オープンエンドとは、回答の範囲を制限しないで、自由に答えることができる質問です。
「誰が?(who)」「いつ?(when)」「どこで?(where)」「何を?(what)」「どんなふうに?(how)」などを尋ねます。
傾聴の姿勢も大切です。
目を見てうなずき、相槌を打ちながら、相手の話をさえぎらずに聴きましょう。
「相手の話に興味を持って聴いている」という姿勢が、話し手を気分よくさせて、思わぬ話まで引き出します。
(ただし、話があらぬ方向に広がりすぎたら、話を引き戻すことも必要です。)
また、「フォローアップの質問」も大事です。
会話の流れや前の回答を受けて、さらに掘り下げる質問です。
対面で行うインタビューでしかできないことで、話を掘り下げ、さらに思わぬ反応を導くことにもつながります。
もし親が話したがらなかったら?
久しぶりに親と顔を合わせるという方もいるでしょう。
その場合は、近況報告をしたり、団欒をしたりに忙しく、いきなり「親インタビュー」は難しいかもしれませんよね。
でも、「そういえばこんな話は親としたことがなかったな。いずれこんな話を親から聞いてみたい」と思いながら接すると、親との関係や距離感も、また少し変わってくるのではないかと思います。
また、親がこうした話に乗り気でなく、答えをにごされたり、思うような答えが得られないこともあると思います。
その場合、答えたくないことはそのままにしましょう。「答えたくない」というのが回答です。
だからといって、「知りたいな」と思う自分の気持ちを否定する必要はありません。なぜそういうことを聞きたくなったのかという自分の気持ちを、率直に話してみてください。
親インタビューが、新聞や雑誌のインタビューと大きく違うのは、「聞く機会が何度もある。何度でもアプローチできる」ことです。親を嫌な気持ちにさせず、別のタイミングをねらってみるのもいいでしょう。
親インタビューでおすすめの質問
インタビューの質問は、最初はあまり欲張らず、知りたいことをひとつ決めて、それについてくわしく聞いてみることを目指しましょう。
以下に、質問の例を挙げてみます。
私が生まれた日について
自分は何時ごろ生まれたのか?
家族や親族は、どんな反応をしてくれたのか?
どのようにして名前を決めたのか?
育てて大変だったことはどんなこと? うれしかったことは何?
祖父母(親にとっての親、家族)の思い出
祖父母は親にとって、どんな親だったか?
祖父母はどんなふうにして生計を立てていたのか? それについて覚えていることはどんなこと?
祖父母はどのように出会って結婚したのか?
親が小さいころ、きょうだい関係はどんな感じだったか?
これまでに住んだところ、その思い出
親はこれまでどこに住んできたのか?
引っ越しはしたことがあるか? いつ、どこからどこへ、なぜ引っ越したのか?
暮らした家について、覚えているのはどんなこと?
一番長く住んだ家、思い出の家、愛着のある土地はどこ?
お墓や家系図について
親の実家のお墓はどこにあるのか? 誰が管理しているのか?
親のきょうだいの名前は? 年齢は? その子、自分にとってのいとこの名前は?
祖父母のきょうだいの名前は? その子、親にとってのいとこの名前は? どこに住んでいて、どんなつきあいがあったのか?
それぞれ、どこに住んでいるのか?
親の人生(親の自分史)について、さらにくわしく
さらにくわしく、親の人生(親の自分史)のことを聞いてみたい場合は、以下の「「親の若い頃」を知る10の質問。年末年始は家族の歴史を知るチャンス!」の記事も参考にしてください。
家系図作成について
家系図を本格的に正しく作るには、戸籍を取り寄せてたどるなどの方法があります。
ですが、まず行いたいのが「親に話を聞くこと」です。
親戚づきあいが濃い場合は、自分でも知っているでしょうが、あまりやりとりがなければ知らないことも多いでしょう。
まずは、親から直接話を聞きましょう。
インタビューのあとに
ポイントを書きとって、「これで合っている?」と見てもらいましょう。
また、できれば短くていいので、文章に書き起こしてきちんと残すと、親にも、「話をしてよかった、伝わった」と感じてもらえます。
より丁寧に行う場合は、録音を文字起こしして、家族でオンラインで情報を共有しましょう。
整理した情報から冊子やアルバムを作成するのもおすすめです。
親の長寿祝い、誕生日や記念祝いのプレゼントにも喜ばれます。
「親インタビュー」でしか聞けない話がある
インタビューとは、そもそも、新聞・雑誌や放送の記者などが取材のために人に会って話をきくことです。
話を聞きたい「対象」がいて、聞きたい「内容」がある。
そして、聞く「インタビュアー」と、聞かれる「インタビュイー」がいる。
それがインタビューです。
人が日常で、自発的に語ることは、本人が話したいことに限られています。
インタビューでは、質問に答えることで、本人が日頃意識しないこと、周囲が聞きたいと思っていることを話してもらうことができます。
家族であれば、日常生活で自然にいろんな話をしているような気がしていますが、「そこまで突っ込んだ話はしていない」ということもしばしばあります。
相続、お墓、ライフプランなどの終活も大事ですが、そうした、いわば「事務的なこと」のほかに、時間をとって話しておきたい、聞いておきたいことはたくさんあると思います。
家族の物語は、家族にしか紡ぐことはできません。時間は有限で、聞けるときに聞いておくことが大事です。
特に、このようにして聞いた話は、次の世代に残すことができます。
また、「自分には子どもがいない」という場合も、過去に果てしないたくさんの人がいて、そのつながりの結果として今ここにいると感じられ、孤独ではなくなります。
ファミリーヒストリーを知る一歩を、親へのインタビューからぜひ始めてみてください。
