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【突発企画】ラストキス参加作品。世界の果てで愚かなエンドロールを。【BL小説】

このドラマも、このシーンで終わりを迎える。
クライマックスの演技に、二人の男は熱が入った。
地球が滅んだ世界。
宇宙船の脱出ポッドに生き残った二人の男。
正反対の性格の二人は、実はよく似ていて、同族嫌悪で反発し合うも、徐々に打ち解けていく。

最後のシーンは、酸素残量がごくわずか、食糧なし、水なし、燃料なし、そんな絶望的な状況だ。

「あのさぁ……俺、ほんっとお前みたいなやつムリなんだわ」
Aが言う。
「今更なんだよ。僕だって同じ気持ちに決まっている」
Bが肩をすくめる。

ここからはお互いにけなしあうシーンだ。
だが、二人とも本心ではない。
「口うるさいし、そのくせいい加減だし、お前の食糧管理のヤバさわかってる? 2%くらいロスしてるからな」
「君の方こそ、ジェネレータの扱いは糞じゃないか。深夜にかける騒々しい音楽で、どれほどエネルギーを失ったか、計算してあげようか?」
「お前の料理って本当に不味かった。備蓄食料をあそこまで悲惨にできるのってある種の才能だぜ」
「君には整理整頓という概念が必要だ。宇宙空間で、こんなに物資をカオスにできるのも才能だよ」

「いや、お前の方が」
「僕だって君のことを」

二人は罵り合った後、モニターを見つめる。
「救助船、来なかったな」
「目標としていた生存可能惑星まで、地球時速換算で残り8分ジャスト」
「酸素残量は、後1分2秒……6分58秒間の無酸素状態って、俺たち耐えられると思う?」
「無理だ。呼吸中の酸素濃度が0になった瞬間、僕たちは気絶する。そのあと、助けに来る者はいない」

Aは、金髪の男だった。髪は染めていて堀の深い顔立ちをしていて、軽薄で、だらしなくて、だが誰よりBを思っている。
Bは、黒髪の男だった。こちらも地毛の赤毛を黒く染めていて、軽薄な顔立ち誤魔化すためにいつもしかめ面をしていて、誰よりもAを思っている。

二人は、今は救命宇宙服の中にいる。
後少し、もう少しあれば、彼らは新天地にたどり着けるはずだった。
そこは地球にとても似た惑星で、酸素があり、緑があり、海があり、大陸がある場所だ。
「ま、しょうがないじゃん。俺たちアダムとアダムだし」
Aが言う。
「そうだな、どのみち、僕たちは滅ぶ運命だった」
Bも返した。

地球が滅んだ今、二人は人類最後の生き残りである。
「ねー最後にさぁ……」
Aが通信機越しに言った。
「キスとかしていい?」
Bは黙る。

二人とも、演技をしていた。
事故を起こした宇宙船から放り出された二人のヒューマノイドは、このまま真空空間で死ぬのだ。
Aはわざと明るく振舞ってふざけて見せて、BはAを叱るふりをして、胸が潰れそうな夜をやり過ごしていた。

Bが口を開いた。
「酸素残量を大量消費する。本当に、希望は無くなるぞ」
Aが答える。
「誰にも触れられないまま終わるより、最後に好きな人と接触したい」
B。
「馬鹿な奴だ」
A。
「人間が賢かったら、こんなことになってないって」

AとBは見つめ合い、そっと頭のヘルメットを外した。
アラームが鳴り響く。酸素が薄い、AもBも、後悔した。
Aの唇が動く。Bは答え、唇を寄せる。

これで、地球人類という侵略種のドラマはおしまい。
生き残った二人はキスをしようとしたが、酸素不足の方が先に影響した。
観客のいないラストシーンで、唇を突き出した二人の肉体は静かに制止し、脱出ポッドは大気圏突入でアラームを吐き出し続けた。

1秒
1分
1時間
1日
1か月
1年

やがて、二人は目を覚ます。
「あー、え、え~。続きがあんの?」
「……天国かと思ったが、お前のその糞みたいな台詞を聞いて違うと確信した」
AとBが目を覚ましたのは、巨大なドームの中だった。
巨大なバオバブの樹が林立し、極彩色の鳥が飛び交い、ネズミが歩き、虫が這いまわっている。
上部にある窓からは、四本の触腕を持つ宇宙人が二人を見下ろしていた。
「どういうことだと思う?」
「実験生物として、鹵獲されたということだろう」
二人は顔を見合わせると。
「じゃ、見せつけてやろうぜ」
「仕方ない、繁殖可能性がないと見限られるだろうからな」

「あ、言ってなかったけど、俺、お前のこと好きだから」
「知ってるよ。僕だって、君を愛している」

二人は抱き合って、キスをした。
宇宙の果て、異星人の監視の中。

ドラマのクライマックスは、ハッピーエンドで終わろうとしていた。















なみ/推しの筋肉を愛でていたい様の突発企画に参加させていただきました。

さ、さすがに30分って鬼畜外道が過ぎませんか!?
っと言いつつ、スマホのストップウォッチをセットして猛然と書き始める当たり私もなにがしかの病なのですが……。

いや、でも30分は流石に無理だってぇ……!