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028 | あの日、玉手箱から出たものは | 香川県荘内半島 浦島伝説

浦島伝説を追って瀬戸内へ

高知県では、浦島伝説は聞いたことがありません。
日本各地には、浦島太郎がいたと伝わる地域がいくつかあります。

その中のひとつが、香川県三豊市の荘内半島。
浦島太郎は誰もが知る昔話のはずなのに、こうして特定の土地に根を下ろしていることが不思議に思えます。
荘内半島には、浦島太郎一家のお墓まであると聞き、のこのこ出かけて行きました。

瀬戸内海は、朝も昼も夕方も夜も絵になるなと思います。
風光明媚で穏やかな海に癒されます。
高知のどこまでも広がるダイナミックな風景も気持ちいいんですけどね。
凪いでいる海だからこそ、海の中の竜宮城を思い描くことができるのかもしれません。

讃岐に残る民話をざっくりと

お母さんと二人で暮らしていた浦島太郎。
沖に出て釣りをしていましたが不漁。
なぜか亀だけ3回も釣れて、そのたび逃してあげます。
さすがに帰ろうかと思っていると、どこからか乗り合いの船が。
乙姫さまの使いが乗っていて、竜宮界りゅうごんかいに連れて行ってくれます。
竜宮界はりっぱな御殿で、至れり尽くせりな待遇。
気づくと3年経っていました。

乙姫さまに帰ることを伝えると、三段になった玉手箱をくれました。
途方に暮れたときに開けるがよい、と。
帰りついたふるさとは、様子が何もかも違っていました。
お母さんも、とうの昔に亡くなっています。
思案にくれて玉手箱を開けてしまいました。

一段目のは鶴の羽が入っていました。
二段目からは白い煙があがり、浦島さんはおじいさんになりました。
三段目には鏡が入っていて、歳をとった自分の姿が映りました。
そして鶴の羽が浦島の背中にくっついて、飛べるようになります。
そこへ乙姫さまが亀の姿で浜辺へ上がってきました。
そして、鶴と亀が舞をまいました。

「讃岐の民話」という本に乗っていた話を、ざっくりいうとこんな感じです
す。

玉手箱とは、いったい

荘内半島には「箱」という地名があって、浦島太郎が玉手箱を開けたと伝えられています。
箱地区には、浦島一家のお墓もあります。

煙が出てきて、お爺さんになってしまう玉手箱。
中には何が入っていたのかな、と考えてしまいます。
浦島太郎の失われた時間なのでしょうか。
過ごすはずだった人生、経験したであろうあれこれ。
取り戻せない時間の圧縮パック。

開けなければしあわせだったのでしょうか。
でも、浦島さんが帰りたかったのはお母さんや知り合いのいるところであって、見ず知らずのようにさえ思える故郷ではなかったはずです。
2、3年、竜宮で楽しく暮らしただけなのに。

ただ、異界のものとの価値観の違いってことでしょうか。
向こうにとっては純粋なお礼の気持ちだったのかもですよね。
竜宮への招待も、お土産の玉手箱も。

箱にある浦島一家のお墓

浦島太郎ゆかりの地

玉手箱から出た煙が、紫色にたゆたったことから名付けられた紫雲出しうで山という山があります。
桜の名所だということで、まだ咲かない時期から入山は予約制になっていました。
紫雲出山って、本当にきれいなネーミングです。
桜もかなりきれいらしいですよ。

室浜は、むかし不老浜といわれ、浦島さんが竜宮城から帰ってきて2、3年ここで釣りをして暮らしたそうです。
その間若いままだったので、この名がついたのだそう。
「ぶろま」といわれていたようです。
室浜の海もまた、いい景色。

室浜

現代の竜宮を考える

もし浦島さんが現代の話なら、竜宮はどんな場所になっていたのでしょう。
ラグジュアリーな宮殿というと、私の感性ではアラブの王様っぽいのが出てきます。

お金を出せば豪華な食べ物も手に入り、清潔な服も着られる現代。
モノではなく、時間に追われない静かな空間とかでしょうか。
もうメタバースの世界観だったりするのかな。

竜宮は海の底にある宮殿ではなく、それぞれの人が思い描く「最も魅力的な別世界」の姿をしているのかもしれません。
そこにいると現実に戻りたくなくなるような世界。

現実はしんどいこともありますが、2、3年の完璧な心地よさとひきかえにするには、やっぱり惜しいかな。
結論:亀を釣り上げても、いじめられてても助けない。
↑ いや、おかしいおかしい。

参考 : 武田明さん著「讃岐の民話」、高木敏雄さん著「浦島伝説の研究」、箱地区の案内板

📍「浦島太郎の墓」をGoogleマップで見る

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