会社の会議中にスマホで「動画広告」を再生して0.5円を稼ぐ時、私は自分が「人間」から「クリック農場の家畜」に堕ちたことを実感する
11月25日、火曜日。
退屈な定例会議の最中、私はデスクの下で密かに「副業」に勤しんでいた。
といっても、株のデイトレードや、意識の高いスキルシェアではない。
スマホアプリで「30秒の動画広告」を再生し、報酬として「1ポイント(0.1円相当)」を得る。
いわゆる「ポイ活」だ。
画面の中では、嘘みたいに汚れが落ちる洗剤や、怪しげな副業アプリの宣伝が流れている。
私はそれを見ない。音も出さない。
ただ「再生した」という既成事実を作るためだけに、スマホをタップし続ける。
ふと、冷静になって計算してみた。
私の本業の時給は、だいたい2,500円くらいだ。秒給にすると約0.7円。
一方、このポイ活は、30秒かけて0.1円。
経済合理性で言えば、完全に破綻している。狂気の沙汰だ。
それなのに、なぜ私は、部長の話を聞くふりをしながら(静かな退職)、必死になって0.1円を拾い集めているのか。
それはきっと、現代社会における「労働」の質が変わってしまったからだ。
会社での仕事は、どれだけ頑張っても、すぐには成果が見えない。給料日に振り込まれる数字は、税金で引かれて毎月目減りしていく。
しかし、ポイ活は違う。
タップすれば、即座に「チャリン」と数字が増える。
この「確実な報酬系」の刺激に、私の脳は抗えないのだ。
だが、この構造を俯瞰してみると、背筋が寒くなる事実に行き着く。
本業の手を抜き、浮いたリソース(注意力)を広告主に売り渡す。
私たちは「自由」になったつもりで、実は巨大なIT企業が運営する「クリック農場」の家畜になっているだけではないか。
彼らは私たちに「ポイント」という名の安い飼料を与え、私たちはその対価として「閲覧データ」という乳を搾り取られる。
「……えー、では次の議題ですが」
部長の声で現実に引き戻された。
スマホの画面には『報酬獲得!』の文字。
0.1円ゲット。
私は小さくガッツポーズをした。
会社という古い檻から逃げ出して、アルゴリズムという新しい檻に入る。
これが、令和のサラリーマンが行き着いた「生存戦略」の最前線だ。
会議が終わる頃には、私は5円ほど稼いでいた。
うまい棒一本すら買えないその5円が、なぜか今月の給与明細よりも、リアルな「労働の対価」のように感じられた。
ポイ活、やっちゃいますよね。
チリも積もれば山となると言いますが、積もっているのは「小銭」なのか「虚無」なのか、たまに分からなくなります。
でも、会議中の暇つぶしとしては、ソリティアよりは生産的……かもしれません。
今夜もポチポチ頑張りましょう。
※ホントにやってるのバレたらクビでは?
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