ナイアガラは滝だけじゃない|建築で歩くもう一つの楽しみ方
ナイアガラの滝に行くとなると、どうしても主役は滝です。
もちろん、あの水量と音、霧の中に立つ感じは何度見ても特別です。でも実際に何度も案内していると、ふと目に入る建物にも、ナイアガラらしい面白さが詰まっていることに気づきます。
滝のすぐ近くにある庭園、昔の発電所、アメリカとの関係を物語るアーチ、そして蝶が舞うガラスの温室。ナイアガラは自然だけでなく、建築や歴史を一緒に見ると、旅の奥行きがぐっと増える場所です。
中でも最近改めて注目したいのが、バタフライ・コンサバトリーです。カナダ王立建築家協会とナショナル・トラスト・カナダによる2020年受賞した建物として紹介されています。
今回は、ナイアガラ・パークスが紹介している建築スポットをもとに、滝だけで終わらないナイアガラの楽しみ方を、少し深く、でもサラッと読めるようにまとめてみます。
ナイアガラは建築も面白い

滝のまわりに、ちゃんと物語がある
ナイアガラ・パークスの公式ページでは、ナイアガラ川沿い約56kmのNiagara River Parkwayを進むと、歴史的で美しい建造物に出会えると紹介されています。
この距離感が、ナイアガラらしいところです。
滝だけを見て帰るなら、数時間でも十分楽しめます。でも、少し視点を変えて川沿いをたどると、観光地というより、カナダとアメリカの歴史、電力の発展、庭園文化、そして自然との付き合い方が見えてきます。
日本から来る方にとっては、ナイアガラは一度は行きたい大自然の名所という印象が強いと思います。そこに建築の見方を足すと、写真を撮る場所も、立ち止まる理由も増えます。
建物は、旅の休憩ポイントにもなる
建築めぐりと聞くと、少し難しく感じる方もいるかもしれません。
でもナイアガラの場合は、無理に専門的に見る必要はありません。暑い日なら室内に入れる場所がありがたいですし、冬なら寒さを避けながら楽しめるスポットにもなります。
特に留学中やワーホリ中の方は、友人や家族が日本から来た時に、滝だけではなく少し違う案内ができると喜ばれます。建物の背景を少し知っているだけで、同じ景色でも見え方が変わるんです。
バタフライ・コンサバトリーが評価された理由

蝶を見る場所、だけではない
バタフライ・コンサバトリーは、ナイアガラ・パークス・ボタニカル・ガーデンの近くにある、ガラス張りの温室施設です。公式ページでは、北米最大級の蝶の温室として紹介され、2,000羽以上の蝶が飛び交う場所とされています。
ここは、家族連れにも人気があります。小さなお子さんがいる旅行では、滝の迫力が少し怖いと感じることもありますが、蝶の温室は雰囲気がやわらかい。天気が悪い日や、冬のナイアガラ観光にも組み込みやすい場所です。
でも建築として見ると、さらに面白くなります。
生きた蝶を見せるためには、ただガラスの建物を作ればよいわけではありません。光、温度、湿度、植物、人の動線。すべてがうまく働かないと、訪れる人にも、蝶にも快適な空間になりません。
20世紀賞で評価された、地味だけど大事な設計

National Trust for Canadaの紹介では、バタフライ・コンサバトリーはBaird Sampson Neuert Architectsによる建築で、ガラスの建物群として生きた蝶の展示と育成のために設計された施設と説明されています。
この賞で面白いのは、単に見た目が派手だから評価されたわけではないところです。
審査では、敷地との関係、素材、建築表現、そして特殊な用途に応えるための技術的な工夫が評価されています。さらに、今でこそよく聞くサステナブル・デザインの考え方を、早い段階で先取りしていた建物としても紹介されています。
つまり、バタフライ・コンサバトリーは、写真映えする温室というだけではなく、長くきちんと使われてきた建物として評価されたということです。
これはカナダらしい評価のされ方だなと思います。新しくて派手なものだけではなく、時間が経っても役割を果たしているものを、後からちゃんと見直す。そういう感覚が伝わってきます。
ナイアガラ・パークスが紹介する名建築

Oakes Garden Theatre|滝の入口にある静かな庭園
Oakes Garden Theatreは、クリフトンヒルの下あたりにある庭園型の空間です。ナイアガラ・パークスの公式ページでは、1937年に一般公開され、Queen Victoria Parkへの入口として設計された場所と紹介されています。
ここは、にぎやかな観光エリアのすぐ近くにあるのに、少し歩くだけで空気が変わります。
滝を見に行く前後に立ち寄ると、旅のテンポが少し落ち着きます。建物というより、庭園と景色を一緒に味わう場所です。アメリカ滝やカナダ滝を眺める位置関係も考えられていて、昔の人が滝をどう見せようとしたのかが伝わってきます。

Toronto Power Generating Station|トロントともつながる発電所
名前にTorontoと入っているので、トロント在住者としては少し親近感がわく建物です。
Toronto Power Generating Stationは、ホースシュー滝の上流側にあるボザール様式の建物で、設計にはトロント旧市庁舎やCasa Lomaにも関わったE.J. Lennoxの名前が出てきます。発電所は1906年に開かれ、1974年まで稼働したと紹介されています。
ナイアガラの水の力が、トロントの暮らしとも結びついていたと考えると、滝の見方が少し変わります。
ただ美しい観光地だっただけではなく、電気を生み、都市の発展を支えた場所でもあったんですね。
Mather ArchとOak Hall|国境と大邸宅の物語

Mather Archは、フォートエリーにあるアーチで、カナダとアメリカの友好を象徴する建造物として紹介されています。1939年にナイアガラ・パークスによって建てられ、1940年に公開されたとされています。
ナイアガラ周辺は、滝だけを見ると自然の観光地ですが、少し南へ下ると国境の歴史が濃くなります。アメリカがすぐ向こうにある土地ならではの雰囲気です。
一方、Oak Hallは、ナイアガラ川を見下ろす丘の上に立つ大邸宅です。公式ページでは、200年以上の歴史を持つ家として紹介され、のちにSir Harry Oakesが所有したこと、現在はNiagara Parks Commissionの本部として使われていることが説明されています。
石造りの建物やチューダー調の雰囲気は、日本の観光ではなかなか出会わない空気があります。歴史好きの方や、古い建物の写真を撮るのが好きな方には、こういう場所も面白いと思います。
Niagara Parks Power Station|発電所が観光体験になった

建築として一番わかりやすく楽しめるのは、Niagara Parks Power Stationかもしれません。
公式ページでは、1905年に発電を始めたカナダ側初の大規模発電所で、2006年まで稼働していたと紹介されています。現在は復元された発電所内を見学でき、展示やガイドツアー、夜の音と光の体験なども案内されています。
ここは、滝の迫力と産業遺産がつながる場所です。
ナイアガラの水は、ただ眺めるだけのものではなく、街を動かす力でもありました。巨大な発電機や石造りの建物を見ると、自然の力を人間がどう使おうとしてきたのかが、かなり実感できます。
ニコラ・テスラや電気の歴史に興味がある方なら、滝の観光にこの場所を足すだけで、旅のテーマが一段深くなります。
どう回ると楽しみやすいか

無理に全部回らなくていい
ナイアガラ観光は、欲張ると意外と疲れます。
滝、クルーズ、展望、食事、お土産。そこに建築スポットを全部入れようとすると、移動だけで慌ただしくなりがちです。
初めての方なら、まずは滝周辺で動きやすいOakes Garden TheatreやNiagara Parks Power Stationを組み込むのが現実的です。時間に余裕があれば、バタフライ・コンサバトリーを足すと、自然と建築のバランスが良くなります。
雨の日、冬の日にも向いている
ナイアガラは天気によって印象が大きく変わります。
晴れた日の滝はもちろん気持ちいいですが、雨や雪の日は、屋内で楽しめる場所があると安心です。バタフライ・コンサバトリーやパワー・ステーションは、天気が崩れた日の候補にもなります。
特に冬は、外に長くいるだけで体力を使います。滝を見て、少し屋内で温まり、また外へ出る。そんな流れにすると、寒い季節のナイアガラも無理なく楽しめます。
まとめ

ナイアガラの滝は、やっぱり主役です。
でも、その周りにある建物を少し意識すると、ナイアガラはただの絶景スポットではなく、自然、歴史、電力、庭園、国境文化が重なった場所として見えてきます。
バタフライ・コンサバトリーのように、長く使われてきた建築が後から評価されるのも、ナイアガラらしい魅力のひとつです。派手に目立つわけではないけれど、行ってみるとちゃんと記憶に残る。そういう場所が、滝の近くにはいくつもあります。
次にナイアガラへ行く時は、滝の水音だけでなく、建物の石、ガラス、庭園、古い発電所の空気にも少し目を向けてみてください。旅の中で、へえ、こんな見方もあったんだと思える瞬間が増えるはずです。
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