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既読無視した男が、本当は返信を書いては消していた理由。男の懺悔録 #2


本編はこちらの続きになっております。
それではご覧ください。

これは、8年前の僕が最後まで送れなかったLINEの話です。

はじめに

もし今、好きな人から既読無視をされているなら。

このnoteは、最後まで読まないほうがいいかもしれません。

読み終えた頃には、
あなたが知りたくなかった景色まで知ってしまうかもしれないからです。

僕は8年前、
自分から彼女を既読無視したことがあります。

最低ですよね。

33歳になった今でも、
あの3日間のことを思い出すたびにそう思います。

当時の彼女は、
何度スマホを開いたんだろう。

通知が鳴るたびに期待して、
違う人からの連絡だと分かって落ち込んで。

「仕事が忙しいのかな。」

「何かあったのかな。」

「私、何かしたかな。」

そんなことを考えていたのかもしれません。

でも25歳だった僕は、
彼女のそんな気持ちを想像する余裕すらありませんでした。

いや。

本当は想像していました。

だからこそ、
返信ができませんでした。

「ごめん。」

その3文字までは打てるんです。

でも、その先がどうしても書けない。

「返信遅くなってごめん。」

それで済ませていい気がしない。

昨日も返していない。

今日も返していない。

じゃあ何て返せばいい。

何て返せば、
彼女をこれ以上傷つけずに済む。

何て返せば、
嫌な思いをさせずに済む。

その答えばかり探していました。

そして気づけば、
3日が過ぎていました。

傷つけたくないと思って選んだ行動が、

1番彼女を傷つける行動だった。

このnoteは、
「男性心理」を解説する記事ではありません。

「男はこう考えています。」

そんな話を書くつもりもありません。

これは8年前、
25歳だった僕が本当に過ごした3日間の記録です。

仕事を終え、
コンビニでホットコーヒーを買って。

軽自動車を走らせて実家へ帰る。

部屋ではテレビが流れていて、

ベッドに寝転びながらLINEを開く。

画面には彼女からの通知。

1日に何通も届いているのに、

僕が送った返信は1通もありませんでした。

この話を読んだからといって、

「彼も同じかもしれない。」

そう思ってほしいわけではありません。

既読無視をする理由は、
人によって違います。

気持ちが冷めた人もいる。

別れを決めていた人もいる。

ただ、

8年前の僕には、
確かにこの3日間がありました。

あの日、
彼女に言えなかったことを、

33歳になった今、
ようやく書くことができます。

これは彼女への言い訳ではありません。

そして、
自分を正当化するための話でもありません。

25歳だった自分への懺悔です。

もし今、

「彼は何を考えているんだろう。」

そう思いながらこのnoteを開いてくれたのなら。

どうか、
8年前の僕が見ていた景色を、

そのまま読んでみてください。

第1章 既読無視は、1日で始まったわけじゃない。

11月だった。

もう8年ほど前のことだから、
正確な日付までは覚えていない。

何曜日だったのかも、
その日にどんな仕事をしたのかも、
細かいところは曖昧になっている。

ただ、外が寒かったことは覚えている。

雪がほんの少しだけ降っていた。

地面を真っ白にするほどではない。

フロントガラスに落ちても、
ワイパーを動かせばすぐに消えてしまうくらいの雪だった。

あの頃の僕は25歳で、
福祉の仕事をしていた。

ジャージのような制服を着て、
利用者さんと話して、
必要があれば車で移動する。

1日が始まれば、
目の前の仕事をこなすことで精いっぱいだった。

人と話している間。

記録を書いている間。

次に何をしなければいけないか考えている間。

仕事中は、本当に仕事のことしか頭になかった。

彼女のLINEを無視しようとして、
わざと仕事に逃げ込んでいたわけではない。

ただ忙しくて、
思い出す暇がなかった。

だから勤務中の僕は、
周りから見ればいつもと変わらなかったと思う。

普通に話して、
普通に働いて、
普通に1日を終えた。

でも、忙しさが途切れると、
突然思い出す。

少し手が空いたとき。

車の中で1人になったとき。

仕事を終えたあと。

「あ、返事してないや。」

そのことが頭に浮かぶ。

忘れていたわけじゃない。

ずっと考えていたわけでもない。

暇な時間が生まれるたびに思い出して、
そのたびに少しだけ気持ちが重くなる。

そんな状態だった。

仕事が終わると、
僕は軽自動車に乗った。

車では、よく安室奈美恵を聴いていた。

その日も流していたと思う。

ただ、どの曲だったのかまでは覚えていない。

歌声が流れる車内で、
僕はいつものコンビニへ寄った。

ホットコーヒー。

おにぎり。

からあげクン。

おそらく、そんなものを買っていた。

特別な夜ではなかった。

誰かと喧嘩をした夜でもない。

何か大きな事件が起きたわけでもない。

いつもと同じように仕事を終えて、

いつもと同じようにコンビニへ寄り、

いつもと同じように実家へ帰る。

ただ1つ違っていたのは、

彼女に返していないLINEが、
スマホの中に残っていたことだった。

彼女とは、5年半ほど付き合っていた。

毎日LINEをしていた。

毎週土曜日には会っていた。

それが僕たちにとって、
特別ではなくなっていた。

次の土曜日も会う。

明日もLINEをする。

付き合い始めた頃のように、
毎回予定を確認しなくても、

これからも同じ日々が続いていく。

どこかで、そう思っていた。

毎日連絡を取ることも。

彼女がそばにいることも。

僕の返事を待ってくれることも。

いつの間にか、
当たり前になっていた。

だから最初の1通に返さなかったときも、

それが3日間の既読無視につながるなんて、
考えてもいなかった。

「あとで返そう。」

本当に、その程度だった。

今は少し疲れているから。

帰って落ち着いてから。

お風呂に入ってから。

ご飯を食べてから。

ベッドに横になってから。

あとで、ちゃんと返せばいい。

そう思っていた。

彼女を困らせようとは思っていなかった。

不安にさせようとも思っていなかった。

ましてや、

このまま連絡を取らずに終わらせようなんて、
考えてもいなかった。

僕の中では、
まだ「既読無視」ではなかった。

ただ返信が少し遅れているだけだった。

数時間遅れたところで、
あとから普通に返せると思っていた。

それまで何度もLINEをしてきた。

5年半も一緒にいた。

多少返事が遅くなっても、
関係が壊れるわけではない。

そんな甘えが、
僕の中にあったのかもしれない。

実家に着いて、
車のエンジンを切る。

安室奈美恵の歌も止まり、
車内が急に静かになる。

その瞬間に、
また思い出した。

「あ、返さないと。」

スマホを手に取る。

LINEの通知が来ている。

彼女からだった。

でも僕は、
そこで返信しなかった。

家に入ってから返そうと思った。

部屋に戻って、
落ち着いてから書こうと思った。

軽い返事ではなく、
ちゃんと考えて返そうと思った。

今思えば、

その「ちゃんと」が、
すべての始まりだった。

上手に返そうとした。

嫌な思いをさせない言葉を探そうとした。

何もなかったように返すこともできず、

かといって、
何を謝ればいいのかも整理できていなかった。

だから僕は、
その場で返すことを先延ばしにした。

家に入り、

部屋に戻り、

テレビをつける。

何の番組だったのかは覚えていない。

僕はよくテレビを見ていたから、
その日もいつもの癖でつけたのだと思う。

画面から人の声が聞こえる。

笑い声が流れる。

僕は着替えて、
ベッドに寝転んだ。

手の届くところにスマホがある。

返信しなければいけないことは、
分かっていた。

それなのに、

すぐには手に取らなかった。

テレビを見ているふりをして、

少しだけ時間を置いた。

もう少ししたら返そう。

番組が一区切りついたら。

コーヒーを飲み終わったら。

言葉が思いついたら。

そうやって、

返信する理由ではなく、
今すぐ返信しなくていい理由ばかりを作っていた。

それでも僕は、

このときまだ、
自分が彼女を無視しているとは思っていなかった。

返すつもりだったから。

ちゃんと返そうと思っていたから。

でも、

既読無視は、
「無視しよう」と決めた瞬間から始まるとは限らない。

少なくとも僕の場合は違った。

「あとで返そう。」

そのたった1度の先延ばしが、

次の「あとで」を生み、

気づいたときには、
普通の返事では戻れないところまで来ていた。

返すつもりで閉じたLINE。

あのときはまだ、
それが3日間の沈黙になるなんて思ってもいなかった。

第2章 22時41分。返信を書いては消した30分。

この時間だけは今でもなぜか鮮明に覚えている。

部屋に戻ると、
制服を脱いで部屋着に着替えた。

コンビニで買ったおにぎりを食べる。

からあげクンを開ける。

ホットコーヒーは、まだ少し熱かった。

テレビではバラエティ番組が流れていた。

何の番組だったのかは覚えていない。

ただ、誰かが笑っていたことだけは覚えている。

その笑い声だけが、
静かな部屋にやけに響いていた。

食べ終わって、
コーヒーを1口飲む。

ベッドに寝転ぶ。

ようやくスマホを手に取った。

LINEを開く。

彼女から通知が来ていた。

今日だけじゃない。

昨日の通知も残っている。

1日に3通くらい。

そんなペースで送ってくれていたと思う。

内容は、もう細かく思い出せない。

でも、

僕を責めるような内容ではなかった気がする。

心配してくれていた。

ただ、それだけだった。

画面を見つめたまま、
しばらく動けなかった。

返さないと。

返さないといけない。

そう思っているのに、

指だけが動かない。

深呼吸をして、

返信画面を開く。

白い入力欄を見つめる。

そして、やっと文字を打った。

『ごめん。』

そこまでは打てた。

でも、

その先が出てこない。

「返信遅くなってごめん。」

違う。

そんな軽い話じゃない。

昨日も返していない。

今日も返していない。

その2日分を、

その1文で済ませていい気がしなかった。

全部消す。

白い画面に戻る。

もう1度打つ。

『ごめん。』

また止まる。

何を書けばいい。

何て返せば、
彼女は嫌な思いをしない。

何て返せば、
不安にさせたことを許してもらえる。

何て返せば、
今まで通り笑ってくれる。

答えは出なかった。

テレビから笑い声が聞こえる。

コーヒーを飲む。

少しぬるくなっていた。

スマホを置く。

天井を見る。

「あと5分だけ。」

そう思う。

でも、5分経っても何も変わらない。

またスマホを手に取る。

返信画面を開く。

『ごめん。』

消す。

また『ごめん。』

また消す。

30分あったのに、

最後まで書けた文章は、

『ごめん。』

その3文字だけだった。

今思えば、

あの30分で僕がやっていたことは、
たったそれだけだった。

謝ろうとして。

止まって。

消して。

また謝ろうとして。

また止まる。

それを30分、繰り返した。

結局、

その日も送れなかった。

画面を閉じる。

テレビはまだついている。

笑い声も流れている。

でも、

部屋の中で笑っている人は、
1人もいなかった。

布団に入る。

電気を消す。

眠ろうとしても眠れない。

目を閉じるたびに、

彼女のLINEが浮かぶ。

返さなきゃ。

その一言だけが頭の中を回り続ける。

「明日こそ返そう。」

そう思って眠った。

でも、

明日の僕もまた、

同じことを繰り返すことになる。


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「今日こそ返そう。」

そう思って迎えた3日目。

僕は返信をしなかったんじゃない。

もう、
返信できなくなっていました。

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