[企画参加作品]待望の舞台化! #毎週ショートショートnote
「出来る、出来る、出来る……」
平成の大人気少女漫画の舞台化初日。
彼女は舞台袖で震える手をぎゅっと握り込み、自分に暗示をかけていた。
母の影響でファンになった作品。
もちろんアニメも見尽くした。
主人公の変身シーンや悪者を倒す姿に憧れ、鏡の前で必殺技のポーズを何度も練習した。
あの日々が、こんな形で現実になるなんて。
開演のベルが鳴った。
首、手首、足首を順に回し、つま先立ちになって最終調整をする。
さぁ、いよいよ本番だ。
幼少期から何百回、何千回と聴いてきたオープニングテーマが流れる。
大きく深呼吸をして、照明の当たった舞台を見据えた彼女の顔は、もう主人公そのものだった。
——ミュージカル『ときめきトゥーシューズ⭐︎』開幕!!
【裏】
「出来る、出来る、出来る……」
平成の大人気少女漫画の舞台化が決まり、広報担当となった彼は、自分のコラボ依頼を読み返しつつ暗示をかけていた。
気合いが入るその理由、それは、彼自身が作中に登場する妖精キャラクターの大ファンだから。
主人公に魔法の力を与えた3匹の子猿の妖精と、眠ってばかりだが、いざという時に頼りになる猫の妖精。
出会った当初は少女漫画のキャラが好きだなんて恥ずかしくて言えなかった。
だからこそ、仕事として関われる今、この案件にかける意気込みは人一倍なのである。
送り先は、主人公が行き詰るとひとりで向かう場所。
作中で明記はされていないが、栃木出身の彼には、ときどき背景に映る朱色の柱や煌びやかな門には見覚えがあった。
それに、妖精たちのビジュアル——もうあそこしか考えられない。
彼は大きく深呼吸をして、企画書を添付したメールの送信ボタンを押した。
お読みいただきありがとうございます。
こちらの企画に参加させていただきました。
主催者様、いつもありがとうございます。
【表】お題:ときめきトゥーシューズ
【裏】お題:ときどき東照宮
〜追記? 反芻? 蛇足?〜
【あとがき】
今回は表裏、両方のお題に1つずつ書いてみました。
今、昭和〜平成作品のリバイバル多いですよね。
ちょうど世代の私には刺さるものが多過ぎて、もう穴だらけです。
作品自体がリメイクされるものもあれば、グッズとして帰ってくるものがあったり。
懐かしい姿を目の端で捉えては、二度見することもしばしば……
そんな感じで怪しい動きをする人物を街中で見かけた際には、どうぞ生暖かい目で見守ってやってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いできますことを楽しみにしております。
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読んでくださりありがとうございます。
応援いただけたら嬉しいです。