映画『劇映画 孤独のグルメ』 クロマニヨンズファンはマストチェックなプリミチブ全開映画!
松重豊の初監督作品『劇映画 孤独のグルメ』、超良かった!!!もうめちゃくちゃ腹減ったw
そしてクロマニヨンズファンは必ず全員見たほうがいいやつだった!

今作の主題歌に起用されたザ・クロマニヨンズの『空腹と俺』。
とってつけたようなタイアップなんかじゃない。松重豊と甲本ヒロトの40年来の特別な関係から生まれた特別なコラボレーションであると同時に、作品にとって欠かすことのできない超重要なエレメントとして組み込まれていたのだ!
『劇映画 孤独のグルメ』という作品は「空腹」というプリミティブな欲求によって物語が立ち上がる。そして空腹から空腹へとつながりながら物語が推進していく。ドラマ版とも他の映画とも違う見事な劇映画だったんだけど、プロローグを経て物語が立ち上がったその瞬間、
腹減った! オイオイオイ!
とクロマニヨンズの音が鳴り響く!
ボ・ディドリービートの推進力と、物語が走り出だしていく疾走感、更には画面に映し出される長崎県五島列島の自然と海の空を駆け抜けていく爽快感が混ざり合い、渾然一体となる鳥肌モンのオープニング!
作品の狼煙を上げるこれ以上ない完璧な組み込まれ方してて、『THE FIRST SLAM DUNK』のThe Birthday級にブチ上がること必至な最強のオープニングになってるから!!
そして『空腹と俺』は物語の一部であると同時に、作品全体を象徴もしていた。
クロマニヨンズというバンドはさ、もう理屈こねくり回すのがてんで無意味な、非言語的でプリミティブな衝動にもとづいてロックンロールしてるバンドだから。
人間がまだことばを操るようになる前。まだ哲学とか宗教とかを言い出す前の、「ヴゥゥー!グヮァー!」とか意味不明な奇声を発してるだけの頃の、人類の原始的な感情や感覚。一応クロマニヨンズは現代の人たちなのでちゃんと歌詞も乗ってるけど、本質的にはただ「気持ちいい」「楽しい」みたいな、つまり「生きてるって最高!」という(クロマニヨンズの『歩くチブ』風に言うと)プリミチブなものが呼び起こされるバンドなのよ。それはおそらく彼らがそういう気持ちで音を鳴らしてるだろうから。
で、『孤独のグルメ』で五郎が言う
「腹が…減った。」
もある意味、「ヴゥゥー!グヮァー!」と同じ、原始的な生きることへの渇望から漏れ出ちゃう声なわけじゃん。周りの目なんか気にしない。空腹のままに我が道を一心に突き進む五郎は完全に全身恥部(これも『歩くチブ』ね)野郎なの。そしてメシにありつけて、「最高だぜ!」っていう五郎の表情や心の声を受け取りながら、それこそスープの出汁のようにジワーッと滲み出てきちゃう生きる喜びや楽しさをこっちは味わうわけ。
だから『劇映画 孤独のグルメ』に組み込まれた『空腹と俺』は作品の一部として機能しつつも作品そのものを象徴してるという、必然の表現として見事に融合してると思うのだ。
さらに言えば『劇映画 孤独のグルメ』という作品が、逆にクロマニヨンズというバンドの本質を象徴してるとも思ったり。
尚、今作の宣伝で松重監督とヒロトが対談してる動画が拡散してるので知られてることだとは思うが、この2人は若かりし頃に下北沢にある中華料理屋の珉亭で、ともにバイトしていた40年来の仲である。もともと松重豊は監督志望であり、なんと当時ヒロトが主演の映画を撮っていたのだそう。残念ながら資金がショートしてしまい完成には至らなかったようだが、それから40年近くの時を経て、松重監督によって手がけられた作品の一部に甲本ヒロトが加わってるという、このもう一つの物語がもう堪らん…。
尚、音楽でいうとエンドロールや劇中所々でかかるKan Sano手掛けるピアノを主体とした音楽も超良い。そして音楽のリズムやテンポと、五郎の動きやカットの切り替わりのテンポが一致してるのが超気持ち良い!五郎はわりとおっとりしたキャラクターだけど、作品全体が軽やかでリズミカルな装いなのはこういうところを緻密に構築しているからか。
他にもあそこで遠藤憲一(善福寺六郎w)を起用する件や、その横でチャーハン食ってる五郎wそして最後にドラマ第1話の店に円環させつつ「腹減っただろ?」の一言とか、もう全部わかってらっしゃるその構築力がマジで信頼できる松重監督!
ラジオで言ってたけど最初なんとあのポン・ジュノに監督を頼んだらしい!むしろ断られて良かったじゃんw
松重監督の次回作映画を是非見てみたい!
