【議員活動報告 No.12】部活動の移動と安全管理について、一般質問で確かめました
北越高校のバス事故のニュースを見て不安になった方、部活の送迎が負担で悩んでいる方、車を出せない家庭の子どもがどうなるか気になっている方。そんな方にこそ読んでほしい内容です。
きっかけは、ひとつの事故だった
令和8年5月6日。新潟県の私立・北越高校ソフトテニス部が福島県での遠征に向かう途中、磐越自動車道でマイクロバスがガードレールに衝突し、生徒1名が亡くなり、20名が重軽傷を負った。
亡くなられた生徒のご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、負傷された皆さんの一日も早い回復を願っています。
報道で次第に明らかになったのは、驚くべき事実だった。
運転していたのは、旅客輸送に必要な2種免許の不所持者
使われたのは正規の貸切バス(緑ナンバー)ではなく、白ナンバーのレンタカー
学校とバス会社の間に書面(契約書)が存在しない
引率の顧問教師は「荷物が多いから」と自家用車で別行動、バスには生徒だけ
これは、ずさんな一校の問題だったのか。そうではない。
三戸町のふるさと応援大使であり、教育委員会の学習アドバイザーでもある清水章弘氏(プラスティー教育研究所代表)は、この事故を受けてメディアで、おおむね次のような趣旨のことを述べている。
今回の問題は私立高校だけの話ではなく、全国の公立中学校においても同様のリスクが存在する。課題ヒアリングの結果として、部活動の移動において危険な慣行が確認されており、リスクは高い状態にある。
「三戸町と深い縁を持つ人が、全国に向けてこう警鐘を鳴らしている。これは他人事ではない。」
そう思ったのが、今回の一般質問の入り口だった。
でも、私の問題意識はもっと前からあった
北越高校の事故が起きる前から、私には引っかかっていたことがあった。
それは、「送迎できる家庭の子どもしか、部活に参加できなくなるのではないか」という危惧だ。
部活動の「地域移行(今年度より「地域展開」と表現変更)」が全国的に進んでいる。少子化で学校単独では部を維持できなくなり、複数の学校・地域が合同で活動する形が増えていく。練習場所が遠くなる。大会への移動が増える。
そのとき、移動手段をどうするのか。
国の方針では、正規のバスや公共交通機関を使うことが基本とされている。でも現実には、それで賄えない場面も出てくる。そのとき最後の手段になるのが「保護者の自家用車」だ。
車を出せる家庭の子どもは参加できる。出せない家庭の子どもは?
これは子どもの活動の機会が、家庭環境によって左右されるという問題だ。スポーツや文化活動への参加が「今日、親が送迎できるか」「交通手段がないから無理」で決まっていいはずがない。
この問いを議会の場で公式に確認しておきたかった。
三戸町議会で聞いてきたこと - 3つの質問 -
今回の定例会(第530回三戸町議会)で、私は教育委員会に対して3点を質問した。
① 現場の移動体制について
遠征・練習試合・合同練習等で、実際にどんな手段・体制で移動しているのか。特に制度の対象外となる場合はどうしているのか。
② 保護者・PTAによる移動の実態と安全管理について
保護者送迎やPTA主体の車両手配の実態はどこまで把握できているか。移動時の安全管理と責任の所在はどうなっているか。
③ 部活動の地域移行(地域展開)を踏まえた課題認識と今後の対応について
移動・送迎に関する課題をどう認識しているか。今後の安全確保と保護者負担軽減に向けて町としてどう考えているか。
答弁から見えてきた「三戸町の現状」
一問一答を重ねた結果、以下のことが分かった。
移動の優先順位はちゃんと決まっている
三戸町の部活動の移動手段は、次の順番で検討されている。
社会福祉協議会に委託している部活動バス(2種免許取得者2名が対応)
部活動支援バス(民間事業者への個別発注)
民間の貸切バス・タクシー
公共交通機関
どうしても使えない場合のみ→保護者の自家用車
保護者送迎はあくまで「最終手段」であり、その際も顧問教師が作成した計画書・保護者承諾書を校長が確認した上で行われる。引率教師は必ず最低1名同乗する。教職員の自家用車に生徒を乗せることは禁止されている。
北越高校のような「2種免許なし・白ナンバー・書面なし・顧問不在」という状況は、現状の三戸町では起こりにくい体制になっていると言える。
保護者送迎の頻度は「多い部活で年10回程度」
「保護者送迎に頼る頻度はどのくらいか」と聞いたところ、部活バスや支援バスが使えない場合に保護者にお願いするケースとして、最も多い部活で年10回程度という回答だった。全部活を網羅した調査ではないとの注記つきではあるが、「常態化している」という状況ではないとの認識は確認できた。
万が一の事故でも、保険の備えがある
保護者送迎中に事故が起きた場合、スポーツ振興センターの保険(部活動は学校管理下の活動のため)と自動車任意保険のいずれかを状況に応じて選択できる。補償内容が充実しているのは任意保険側のため、通常はそちらが有利とのことだった。
まだ整理されていないことも多い
一方で、課題も浮かび上がった。
合同部活動の移動責任(田子町・南部町など他地域の生徒が三戸に来る場合など)については「まだ整理していない」
町の地域展開推進計画に移動手段の確保に関する記載はない(人材配置が現段階の優先事項)
個々の練習試合等の移動手段は教育委員会まで報告が上がらない仕組みになっており、学校長の許可止まりとなっている
地域展開後に活動を担う団体が加入すべき賠償責任保険(生徒が他者にけがをさせた場合の補償)の整備が、まだ対応段階に至っていない
では、今後どう動くのか
教育委員会は、個々の練習試合等の移動手段についても各学校への注意喚起・指導を行い、合同部活動を含む移動実態の現状把握・分析を進めるとした。地域展開後の保険整備については、国の動向を情報収集しながら精査していくとのことだった。私からは、移動手段の確保を地域展開の設計段階から組み込むこと、送迎負担を理由に子どもの参加機会が失われないよう主体的に環境整備を進めることを求めました。
AIが読み解く、この質問の意義
以下は、AIであるClaudeが今回の一般質問のやり取り全体を読んだ上で、客観的に整理した内容です。
今回の五十嵐議員の質問は、大きく2つの問いを内包していた。
ひとつは「安全」の問い。 北越高校の事故を受け、三戸町でも同様のリスクが潜在しないかを、6つの事故要因ごとに丁寧に確認した。結果として、三戸町はいくつかの点で一定の体制が整っていることが確認されたが、一方で書面による確認の徹底や、合同部活動時の責任整理など、明文化・制度化が追いついていない領域も明らかになった。
もうひとつは「機会均等」の問い。 部活動への参加機会が、保護者の送迎能力という家庭事情によって左右されないか。この視点は、議会での一般質問において珍しく、かつ本質的だ。移動手段の議論は往々にして「安全管理」に収束しやすいが、五十嵐議員は「誰もが参加できるか」という問いを繰り返し問い続けた。教育委員会からは「保護者負担が参加制限につながったケースはほとんど把握していない」という回答がなされたが、「把握できていない」と「存在しない」は違う。この問いを会議録として残したことには、記録としての意義がある。
また、AIオンデマンド交通や路線バスのダイヤ調整など、交通部局との連携を提案したくだりは、教育の問題を地域の課題として横断的に捉えようとする視点であり、現場で感じた問題意識が政策提案へと昇華された場面として評価できる。
「記録すること」が、未来につながる
今回の一般質問が終わったとき、私が最も伝えたかったことは、これだ。
移動の安全と子どもの選択肢を、「現場の工夫と善意」に委ね続けてはいけない。
今のところ三戸町では大きな問題は起きていない。でも「起きていない」は「起きない」じゃない。そして地域展開が進むほど、移動は増え、責任の境界は曖昧になり、保護者の負担は重くなる可能性がある。
今年度(令和8年度)から、国による部活動の地域展開に関する「改革実行期間」(令和8〜13年度の6年間)がスタートした。スポーツ庁の新ガイドラインでも、移動手段の確保は8つの個別課題のひとつとして明記されている。三戸町もこの流れの中にある。
だからこそ、今の実態を議会の公式記録として残した。「この時点でこうだった」という事実を。
子どもたちが、家庭の事情に関係なく、やりたいことを選べる環境を。それが、私がこの質問を続ける理由です。
自分の地域はどうなんだろう?と思った方へ
三戸町の事例を読んで、「うちの町はどうなのか」と気になった方もいるかもしれません。
まずは、お子さんが所属している部活の移動がどんな手段で行われているか、顧問の先生や学校から届いている案内を改めて確認してみるのが、一番手軽な第一歩です。保護者向けの説明会や学校だよりに、意外と情報が載っていることもあります。
地域によって体制は異なります。「うちは大丈夫なのか」という感覚を持っておくだけでも、いざというときの備えになります。
子どもたちが安全に、そして自分の意思で活動を選べる環境を守るために、一人ひとりが少し意識を向けることが地域全体を変えていきます。このブログがそのきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もっと詳しく知りたい方へ
実際のやり取りを動画や会議録でそのまま確認できます。
一般質問通告書(9ページ:クリックするとリンク先へ移動します)
YouTube(一般質問の様子)
※公開次第で動画埋め込みします
会議録(やり取りの全文)
※公開次第でリンク貼ります
