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「個別の知識」から「中核的な概念の深い理解」へ導く授業デザイン

2030年度の学習指導要領では「階層化≒知識の構造化」がキーワードになっています。以下の図について、一度は目にしたことがある人もいるのではないでしょうか?

なかなかこの掴みづらい図について、私なりに学習指導要領や著書を参考にしながら、現場での実践と紐づけて言語化していきます。


次期学習指導要領の「知識の階層化」を紐解くシリーズ<全4回>
・「個別の知識・技能」と「個別の思考力・表現力・判断力」の関係
・「個別の知識」と「中核的な概念の深い理解」の関係
・「個別の技能」と「中核的な概念の深い理解」の関係
・「個別の思考力・判断力・表現力」と「複雑な問題の解決」の関係

今回のnoteでは、そもそも下の階層にある「個別の知識」と「中核的な概念の深い理解」の関係について考えていきます。

Point❶ 「個別の知識とは何か?」

そもそもの知識という概念は、人によって様々な解釈が生まれるので、一度定義づけてから説明をしていきます。

「知識とはどのようなものか?」

知識については,児童が学習の過程を通して個別の知識を学びながら,そうした新たな知識が既得の知識及び技能と関連付けられ,各教科等で扱う主要な概念を深く理解し,他の学習や生活の場面でも活用できるような確かな知識として習得されるようにしていくことが重要となる。

引用:『【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』pg.36

この学習指導要領の文章からも、知識には「個別の知識」と「関連づけられた概念的知識」の2種類があることが分かります。

「田村学氏『「ゴール→導入→展開」で考える「単元づくり・授業づくり」』小学館、2022年、p.39)」の本の中で「知識」について以下のように整理されています。本書では「知識」と表記されていたものを「個別の知識」と私の解釈で加筆しています。

まとめると、個別の知識とは、「◯◯◯は△△△である」というように、教科書に書かれている具体的な事実に関する知識になります。この個別の知識の1つ1つを覚えるだけの暗記学習ではなく、次期学習指導要領ではこれらの個別の知識を関連づけながら、概念的な知識(他の学習や生活の場面でも活用できるような確かな知識)にまで引き上げていくことが重要になってきます。

今のユニットで具体的な例を示してみます。

⚫︎Unit5の「知識」の具体例
・四大文明とは何か?(いつ、どこで、何が起きたのか?)
・文明とは何か?
・社会とは何か?
・文化遺産とは何か?等

Point❷ 「中核的な概念の深い理解とは何か?」

「では、中核的な概念の深い理解とは何か?」について整理していきます。ここでは、東歸達子氏の『中学校社会科における「社会で活用できる概念的知識」を獲得するための指導方法の工夫』を参考に整理していきます。

「個別の知識」との違いとしては、「概念的知識」は、複数の「個別の知識」に共通する関係性を説明する知識になっているということです。いわゆる、「一般化」と呼ばれるものでもあります。

この「概念的知識」まで理解を引き上げることが、学習指導要領でも言われているように、学んだ「個別の知識」が他の学習や生活の場面でも活用できるような確かな知識つながり、これが学習者の学ぶ意欲につながってくると考えられます。

⚫︎Unit5の「概念的知識」の具体例
・過去の文明現代社会へとつながっている

Point❸「個別の知識」と「中核的な概念の深い理解」の関係

最後に「個別の知識から中核的な概念の深い理解を導いていく」プロセスについて、「田村学氏『「ゴール→導入→展開」で考える「単元づくり・授業づくり」』小学館、2022年、p.39)」を参考に上の図にまとめてみます。

鍵としては、「個別の知識をどのように概念的知識に引き上げていくのか?」です。

今回のユニットのプロセスでいうと、次のような探究の流れを通して深い学びを導いていきます。

STEP1:個別の知識として世界でこれまでに起きた文明について調べる。
*今回のユニットでは、自分たちで概念的知識につながる「探究のテーマ」を定めてもらい、そのテーマを導くための問いを特徴、関連、変化の切り口で3つ立ててもらっています。
STEP2:それぞれの文明について調べたことをシェアする。

▼ 調べる切り口(例)
❶(特徴) 自分の選んだ文明の特徴とは何か?
❷(関連) 自分が選んだ文明の特徴の中で、現代社会につながっているものにはどのようなものがあるのか?なぜ、それはつながっているのか?
❸(変化) どのように過去から現在に積み上げられてきたのか?
STEP3:複数の文明の事例を通して、以下の概念的な問いに対するを考える。
❶「過去の文明はなぜ、現代社会につながっていると言えるのか?」
❷「過去の文明はどのように、現代社会に引き継がれてきたのか?」
❶+❷=一般化を構築する。◯◯◯のために、◯◯◯のプロセスを経て現代社会に引き継がれてきた。
❸ 自分の一般化を証明するための具体的な事例を2つ以上示す。

以下に実際の具体的なイメージを共有します。

例えば、今回のユニットである「文明と社会のつながり」を例にまとめてみます。子どもたちは、「文明」という概念とはじめて出会うことになります。そこで、ユニットの導入でそれぞれが気になる文明について調べる課題を出しました。そこで、エジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、中国文明等の有名な四大文明が出てきます。

一人のリサーチでは、事例が一つなのでまだ「文明」というものが掴みきれないのですが、グループの中で「文明にはどのような特徴があるのか?という視点でシェアすると、複数の文明に共通する特徴が出てきます。「エジプト文明では、建物や技術、農業、文字などが発展したよ。」「それは、私が調べたメソポタミア文明でも建物や、技術、文字が発展しただけでなく、法律も発展したよ。」というように、複数の文明の事例から、「文明とは、いろいろな分野の技術が一定期間に発展したもの」というような概念(概念的知識)が形成されていきます。

さらに、この概念的知識をもとにすると「現代社会も、情報技術やAIが急速に発展しているので文明と言えるのではないかな?」というように文明という概念が拡張していく思考も出てきました。

さらに、ユニットの後半では、「過去の文明と現代社会の繋がりとは?」について探究を進めていく中で、「メソポタミア文明の60進法は現代の時計の考え方につながっている。」「ハンムラビ法典の『目には目を、歯には歯を』は、現代の法律の考え方と似ている」「クレオパトラの、王であっても国民に寄り添った政治の考え方は現代社会の民主主義の考え方につながっているかもしれない」等の事例がたくさん集まる中で「過去の文明って、現代の社会の基礎になっているかもしれない」というような気づき(概念的知識)が生まれてきます。

今回のnoteでは、「個別の知識」から「中核的な概念の深い理解」を導く子どもたちの思考の流れにフォーカスして具体的な例を示しながらまとめてみました。

今後の授業デザインの何かのヒントになれば嬉しいです。いつも読んでいただきありがとうございます。

次回のnote では、「個別の技能」と「中核的な概念の深い理解」の関係について私なりに言語化していきます。

参考

・教育新聞【徹底図解】次期学習指導要領の「構造化」 ゼロから聞いてきた(リンク)
・【総則編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説』pg.36-37
・田村学氏『「ゴール→導入→展開」で考える「単元づくり・授業づくり」』小学館、2022年、p.39
・中学校社会科における「社会で活用できる概念的知識」を獲得するための指導方法の工夫―「問いの構造図」からの授業構成と「本質的な問い」を設定した単元の開発を通して―(リンク


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