「ぼくとパパ、約束の週末」
幼い頃から自閉症と診断されていた10歳のジェイソン。
独自のルーティンやルールが少しでも崩れるとパニックを起こしてしまう日常。彼への接し方、普通学校に通わせることなど両親の困難は絶えない。
ひょんなことから彼は、ドイツ中の56のスタジアムを周って贔屓のサッカーチームを探し出すと言いだす。そして週末ごとの父親との試合観戦の2人旅が始まった。
映画公式サイトのコラムの一節。「精神科の現場で使われている診断名でいうと『自閉症 スペクトラム障害(AutismSpectrumDisorder、略称ASD)』です。ASDのSにあたる『スペクトラム』は『連続体』を意味します」
スペクトラムは、境界線や範囲が明確ではない状態が連続しているさまでもある。
曖昧や多様への理解は、直面したときの対応に現れる。多くの人はいろいろな事柄を一括りにする。そして二項対立的マジョリティに立つ癖がある。
ジェイソンが決めた贔屓チームを決める評価基準は8つ。
〇何があっても最後まで観戦する
〇サポーターの席に座る
〇選手は地味なシューズであること
〇スタジアムの広告が控え目であること
〇ネオナチのサポーターは禁止
〇残念なマスコットキャラを有するチームは禁止
〇環境や持続可能性を重視していること
〇選手が円陣を組まないこと
ニュルンベルクもバイエルンミュンヘンも気に入らないし、母親が応援するドルトムントも、父親が応援するデュッセルドルフも満たさない。
でも、スタジアムをめぐりチームを愛するサポーターの熱に触れ、少年ら父親との旅を通じて逞しく変化していく。
それにしても。
コンコースからゲートをくぐって、試合前の応援コールが響き渡るスタンド席を目の当たりにしたときの少年の表情。映画の冒頭、スタジアムのシーンから僕の涙腺はずっと緩みっぱなしだった。
先週末、それまで映画を勧めてくれたことのなかった職場仲間から「これ、良さそうですよ」と教えてもらったのがこの映画。勧めてくれたことが嬉しかったから翌日映画館へ行った。
(2023年ドイツ)
