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うまくいく日ほど、欲張らない

『うまくいく日は欲張らない』

調子がいい日ほど、つい「もう少し」を求めたくなります。
でも、その小さな欲が、ゴルフの流れを静かに変えてしまうことがあります。


残り120ヤード、グリーンが呼んでいた

六月の朝のコースは、まだ少し涼しい空気をまとっています。

フェアウェイの芝は朝露で光り、スパイクの底にやわらかく沈む感触がある。
遠くから鳥の声が聞こえ、前の組の打球音が風に乗ってかすかに届く。

残り120ヤード。

ピンはグリーン手前から3分の1あたり。
旗が穏やかに揺れている。

「いける。狙える距離だ」

そう思った瞬間、知らないうちに肩に力が入っていました。

クラブを少し強く握り直し、いつもより少しだけ強く振る。
インパクトの感触は鈍く、ボールはグリーン奥へ。カラーの縁に止まり、バーディーチャンスどころか、難しいアプローチが残ってしまいました。

あなたにも、こんな経験はありませんか?


欲を出した瞬間、悪くなりはじめる

ゴルフを続けていると、少しずつ距離感が育ってきます。

「このくらいなら届く」
「あそこなら狙える」
「今日は当たっている」

そう感じられるようになるのは、とても嬉しいことです。

でも同時に、そこには小さな落とし穴もあります。

うまくいっているからこそ、もう少しピンに寄せたくなる。
パターも、もう少し強く打てば入りそうな気がする。
安全な場所を狙うつもりだったのに、気づけばカップやピンばかり見ている。

欲が出ると、体は少しずつ変わります。

グリップが強くなる。
リズムが早くなる。
決めていたはずの狙いを、打つ直前に変えてしまう。

それまで丁寧にできていたことが、急に雑になるんですよね。


私自身も、何度も欲に負けてきた

「よし、バーディーチャンスだ」と思ったパットを強く打ちすぎて、大きくオーバー。
返しも外して3パット。

「今日はアイアンがいい」と思って、ピンを狙いすぎたら、行ってはいけない左へ曲げて、難しいパットやアプローチが残る。

そんなことを、私も何度もやってきました。

帰りの車の中で、

「なんであそこで欲張ったんだろう」

と、つぶやいたことも一度や二度ではありません。

うまくなっても、人は欲張ります。
むしろ、少し自信が出てきた時ほど、欲はそっと顔を出します。


生徒さんが教えてくれたこと

先日のラウンドレッスンで、印象に残った場面がありました。

ゴルフを始めて半年ほどのAさん。
残り100ヤード。
PWでグリーンを狙える距離でした。

私が「どこを狙いますか?」と聞くと、Aさんは少し考えてから言いました。

「真ん中でいいですか?ピンじゃなくて」

その言葉を聞いて、私は思わず笑顔になりました。

「それで全然いいです。すごくいい判断です」

Aさんは少し照れながら構え、ボールはグリーンセンターへ。
そこから落ち着いて2パットでパー。

派手な一打ではありません。
でも、とても強い一打でした。

欲を持つことが悪いわけではありません。

怖いのは、欲に気づかないまま打ってしまうことです。

「本当はピンを狙いたい」
「でも今は真ん中でいい」
「ここは次が打ちやすい場所へ運ぼう」

そうやって一度、自分の中の欲に気づけるだけで、ショットの空気は変わります。


『うまくいく日は欲張らない』の意味

今日の言葉を改めて見てみましょう。

『うまくいく日は欲張らない』

これは「諦めろ」という言葉ではありません。
「安全策だけ取れ」という意味でもありません。

今の自分にできることの中で、一番確実な選択をしよう。

そういう意味だと思います。

うまくいく日の共通点は、欲がないことではなく、判断が冷静なこと。

ピンが近くても、真ん中へ運べる確率が高いほうを選べるかどうか。
「狙えそう」と「狙うべき」は、全然違います。

落ち着いた一打は、体のリズムを乱しません。

グリップも、テイクバックも、自然に整いやすくなる。
芯に当たる確率も上がる。
そして帰り道、なんとなくほっとした顔でクラブを片付けられる。

そういう一日を作るのが、「欲張らない」ということなのかもしれません。


今日から一つだけ試してほしいこと

次のラウンドで、ひとつだけ試してほしいことがあります。

グリーンを狙える距離でも、打つ前に一度だけ考えてみてください。

「グリーンじゃなくても次が打ちやすい場所はどこか?」

右が危ないなら、左でもいい。
奥が難しいなら、手前でもいい。
傾斜がきついライなら、無理にグリーンを狙わず、次にアプローチしやすい場所へ運ぶのも立派な選択です。

そのプランを、必ず選ばなくても大丈夫です。

ただ、「大たたきを避けられる道」をひとつ用意してから打つ。
それだけで、心に少し余裕が生まれます。

スコアがすぐ変わるかはわかりません。

でも、無理をして崩れる一日より、欲張らずに流れを守れた一日のほうが、帰り道の気持ちはきっと軽いはずです。


やさしい景色の中で、またクラブを握る

六月の夕方。

練習場のネットに夕陽が当たり、オレンジ色に染まる時間。
隣の打席から、気持ちよさそうな打球音が聞こえてくる。

フィニッシュで、ふっと体が伸びる感覚。

「今日は欲張らなかった」

それだけで、クラブをしまう手が少しやさしくなる。

遠くへ飛ばせなくても大丈夫。
ピンに絡まなくても大丈夫。

狙い通りに運べた一打が、少しずつ自分への信頼になっていきます。

次のコースも、次の練習場も、また一緒に行きましょう。


あなたは最近、「欲張らずに打てた一打」を覚えていますか?
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