「Trick or ??」ショートショート企画参加
「Trick or ??」
せっかく今日は目覚ましをかけずに寝ていたのに、突然の来訪で何と言ったのか聞き取れなかった。
ただ、「トリート」ではなかったような気がする。
とりあえず、お菓子を渡そうかと思ったが、常備していない。
滅多にならないチャイムで不機嫌に身体を起こす。
たまたま手元にあった龍角散を渡すことを考えたが、手づかみしたものをそのまま渡すのはさすがに気が引けるし、がま口のように開けた状態で差し出すのも、わたしの貴重な"かかりつけ医"をたくさん持っていかれるのも抵抗がある。
もっとも、後半部分が「トリート」かどかわからないので、お菓子を求めていないのかもしれない。とりあえず、玄関のドアを開けた。
「すみません、トリック オア 『トリート』で合ってます?今、お菓子、持ってなくて」
「トリック or ✕✕✕」
やっぱり、聞き取れない。何となく「ナ行」っぽく聞こえるが。
そもそも、「イタズラ」っていう和訳がよくない。本来は手品とかみたいに、「ちょっとおどろかしちゃうよ」ぐらいのニュアンスだと思うのだが。
児童に対しての暴行を「イタズラ」と呼ぶのもいかがなものか。
イタズラなんかじゃ済まないだろう。あるいは、こちらも「イタズラ」と称して、シャレにならないことを犯人へ報いるのもいいかもしれない。
海外の動画でよく見るような類のやつだ。
そもそも、イタズラするのとされるのどっちがいいかという話だが、Trickは自分がするのに、Treatは自分がされるほうなんだな。語呂重視だとは思うものの、こういう整合性がない二択はちょっとイライラする。
いや、こんなことでイライラしたり、攻撃性が顔を出すこと自体、自身のコンディションが悪いのかもしれない。
そんなことをふと思った矢先だった。
少しだけ気持ちがほぐれたのかもしれない。
「こくせいちょうさです。今年は、ハロウィンの格好をしてるんです」
なるほど、そういうことか。あれ、「国勢調査」って「こくぜいちょうさ」って読むんじゃなかったんだな。
またも、ちょっとしたことが火種になる。
そもそも、このご時世に訪問するシステムは何の意味がある。きっとこれもお金を払いたいやつや、取りまとめているやつがいるのだろう。あるいは、「生きてるのか」「国籍」などを確認したいのか。
とりあえず、身分証明書を提示した青年から、封筒を受け取る。
性的趣向についての質問文が並んでいる。なるほど、いつのまにか「国性調査」に主旨が変わったらしい。
「キンタキとナツンがいいか」という質問や、セットは「ジェズとジャズどっちがいいか」という項目も混じっていた。
ようやく脳が覚醒してくるのを感じる。
なるほど、国勢調査の封筒を受け取ってから、そのまま二度寝してしまったらしい。青い封筒を見ながら、ここ数日の思考がグチャグチャになっていたのだと理解するが、我ながらメチャメチャだなと苦笑する。
とりあえず、今日のお昼はドーナツにしようかな。
今回は、自身の企画に参加したnoteでした!
灯火杯と違ってコンテストではないので、わたしも参加することにしました!
ショートショート企画は、5日(日)まで開催していますので、ぜひお気軽にご参加いただけたらうれしいです!
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