今週のシロクマ文芸部〜金色に

「ある日のお告げ」


金色に輝いている。

ある村にうだつの上がらない僧侶がいた。

その名もコウカイ。

コウカイは、いつも寝坊をし、朝のお勤めも8時半。

朝食は、お湯を注ぐカップ麺と、
朝から、いまいちだ。

ある日、暇だったので、寺を掃除していると、本堂で何やら音がした。

コウカイは、驚いて、本堂に向かう。

障子をそっと開けると、部屋は眩しい金色の光に包まれていた。

よく見ると、誰かが立っている。

それは、本堂に祀ってある仏そのものだった。

驚くコウカイに、仏は言う。

「コウカイよ。
そなたは、寺についてそこそこ勤めを果たしておると言える。
ただ、今ひとつ足りないものがある」

仏は、優しいまなざしでコウカイを見つめる。

「はい、どのようなことでございましょう」

コウカイは、なんのことだかわらかなそうな顔だ。

「いつもなんだが、朝の勤めは少し遅い。
それに、食するものがあまり良いとはいえん。
毎日規則正しく過ごしてほしいのだが」

仏は、少し呆れたように言う。

「とはいえ、朝あまり早く起きるのも辛いものでございます。
食事は、野菜など火を通すのも面倒でございまして・・」

コウカイは、申し訳なさそうに言った。

「しかしな。
朝は、4時半に起きろとは言わん。
6時頃に起きて、色々整えるとよい。
食事も精進料理にせよとは言わない。
ビタミンBを中心にバランス良くがいいのだ」

仏は、諭すように言う。

「はい、わかりました。
仰せの通りにしたいと思います。
仏様のあなたが言うなら間違いないと思います」

コウカイは、素直に頭を下げた。

そして、それ以降、コウカイは規則正しい行いに励んだ。

本堂では、そんなコウカイの姿を見つめる者がいる。

先代の和尚だ。

「やれやれ、わしが亡くなってからというもの、あいつのことが心配じゃったが、こうでもせんと言うことを理解するかどうか。
まあ、改心したらしいな。」

和尚は、そう言うと、仏の衣装を着替え、カツラを取り、
メイクを落とした。

そして、金色に光る照明のスイッチをそっと切った。

いそいそと寺の勤めを果たすコウカイを、
和尚は仏のような顔で見つめた。