【おきなわ旅⑩】軽やかな優しさ
2026年3月23日
島バナナと芭蕉布は同じ分類らしい
パイナップルと島バナナ、夏みかん、それと昨日国頭スーパーで買っておいたパウンドケーキを皿に盛り縁側で朝ごはん。
コーヒーはセブンで売ってあったインスタントコーヒー。
縁側に足を投げ出していつもより時間をかけて食べる。
おきなわで食べるフルーツはなんでこんなに美味しいんだろう。
風はないけど、暑くもなくちょうどよい気温で気持ちが良い。

バナナのねっとりとした甘さが少し苦手な私には、島バナナの少し酸味があってさっぱりした味がちょうど良い。
道の駅に寄る度に島バナナを探し、今回の旅行で二房も食べた。
いや、島バナナを求めて道の駅に寄っていたと言った方がよいのかも。

古民家を離れるのが名残惜しい。チェックアウトギリギリまで縁側や部屋の中を行ったり来たりして写真を撮る。
今は寝具入れとして使われている棚は、大きさからして仏壇が置いてあった場所だ。
横の柱には子供の背丈を測っていたのか堀傷が見える。確かにここに生活があった痕跡。
昔はどんな人が住んでいて、この家で育った人は今はどこにいるんだろうと思いを巡らせる。

南下する途中、今回行きたかった場所の一つ芭蕉布記念館に寄る。
芭蕉はこれまたバナナの木と同じ分類だったということを初めて知る。
芭蕉布が作られるのは糸芭蕉。バナナは実芭蕉。品種は違うけど、同じ分類だ。
芭蕉布を作るのはとても手のかかる作業で、商品は高価。
何か欲しいなと見ていると芭蕉の葉で作られたお守りがあって、記念に購入する。
すべすべしていて、青い香りがする。
タグがついて商品として売られているのに、おきなわの太陽の下でじっくりと育った頃の香りがまだ残っている。
その香りを嗅ぎたくて、帰りの助手席で何度も鼻に近づけて大きく深呼吸をした。

次の目的地は芭蕉布記念館から車で3分ほどの山原工芸店。
廃校になった旧喜如嘉小学校の教室の一室に、おきなわの伝統工芸品が並んでいる。
伝統工芸品と聞くと、高価で敷居が高そうに感じるが、やんばるで活躍するそれぞれの作家さんの色で、日常で使いやすいデザインに仕上げられている。
何もかも素敵で、財布の紐が緩みそうになるのをこらえた。
ちょうど紅型作家の大城徳男さんの展示会を開催していた。
大城さんが奥の席で静かにTシャツの上で筆を走らせている。
何を描いているのか興味深々で覗いてみると、毛並みが長めの犬がいた。
私たちが見ていることに気が付いて、「お客さんの愛犬を描いているけど、普段は猫を描くことが多いから犬は難しいですね」と、はにかみ笑いで話してくれた。
大城さんが描いた猫は明らかにおきなわの猫だ。
少し体が大きくて、力強い筆の線もあってか今にもTシャツから飛び出してきそうな感じ。つり目の猫がじっとこっちを見ている。
瓦屋の塀に香箱座りで座る猫に惹かれて、パートナーはTシャツを購入した。
ニコっとおおらかに笑う大城さんを見て、この人だから描ける猫だと確信する。
パークアベニューの人たち
レンタカーを返すために沖縄市へ向かう。
遅めのランチはパークアベニューにあるチャーリータコスへ。
私はここのタコスが一番好きと言っても過言ではない。
皮の硬さが私好みで、たっぷりの具も最高に嬉しい。
3ピースセットでビーフ、チキン、ツナをそれぞれ頼む。個人的にはツナが一番好きだ。
具があふれて綺麗に食べることはまず不可能。皿にこぼれた具もフォークですくって全部綺麗に平らげる。
今思い出してもまた食べたくなる味。


一方通行のパークアベニューを二車線にする工事が始まっていてすでに国道沿いの道は新しくなっていた。
古びて味があるアーケードも、道端に植えられている見事に育ったブーゲンビリア、春の季節に咲くいっぺーの花がある風景が好きだった。
この風景を見れるのも今しかないと思い、今回の旅行中に何度も足を運ぶ。

パークアベニューは昔に比べればお店も減ってさみしくなったと言われているけど、私の好きなお店がぎゅっと並んでいる。
インド人のおじちゃんがやっているインド屋は可愛い掘り出し物があるし、おじちゃんがたまに作って出しているカレーを初めて食べた時の感動は今だに忘れられない。
久しぶりに行くインド屋で元気なおじちゃんを見て安心した。
少し小さくなったおじちゃんは、相変わらずお客さんと楽しそうに話している。最近、インスタも始めたらしい。
おじちゃんは復帰前におきなわに仕事で来て、そこからずっとおきなわにいるとのことで、とても流暢な日本語を話す。壁際には家族の写真が置かれていて、家族の話をニコニコ顔で話すおじちゃんが素敵だった。
壁の隅っこの高い場所にかけられていたバックに目がいく。
最近入荷した商品を勧めてくれるおじちゃんの横で「あれが気になります」と言うと、長い棒を取り出してきて「これは古いサリーの生地で作られてるよ」と言いながら、高い場所にあったそのバックを取ってくれる。
ずっと売れなかったようで、オブジェ化されたバックは少しホコリをかぶっていたけど、意外にもお手頃価格で宝を見つけた気分で購入。
おじちゃんからも「今はこの値段ではなかなか手にはいらないよ~」と言われ得をした気分になる。
おじちゃんの言葉でとても気持ちの良い買い物をした。
インド屋以外にも、先ほどのチャーリータコス、最近できた古着屋さん、ヴィーガンランチとrawスイーツが食べられるカフェもある。

老舗の刺繍店も多い。
ガラス窓から見えるパッチで覆い尽くされたカラフルな店内に惹かれて、ふらりとTiger EMBに寄る。
米軍のお客さん御用達の店で、コマンドのパッチから自衛隊のパッチまで沢山ある。
自分でオリジナルのパッチも作ることができるそう。

少し国道側に向かって歩くと、木造とガラスの外観、古い看板に「玉橋刺繍店」「EMBRODIRY」と日本語と英語の両方を表記してあるとても趣のある刺繡店がある。


古い看板なのに、英語表記もあるところがおきなわっぽい。
挨拶をしながらふらっとお店に入ると、年配の女性がミシンで作業をしながらチラッとこっちをみて「こんにちは」と返してくれる。
どうやらミシンで一つ一つ刺繍しているようだ。
さきほどのTiger EMBをはじめ、機械で刺繍しているところが多く、手作業のお店は今時珍しい。
キャラクターものは少しオリジナルと違ってクスッとなるよう顔をしている。これからも頑張ってお店を続けてほしいという願いも込めて、何とも言えない愛嬌のあるトラのワッペンを購入。

気がつけば刺繍店巡りが始まっていて、玉橋刺繍店のすぐ隣のクレージストアーにも寄って、沖縄と書いた紅型衣装のワッペンも購入。


軽やかな優しさ
車で行きたいところは全部行き尽くし、予定の19時より少し早めにレンタカーを返しにいく。
その後は、今夜の宿がある那覇に向かおうかとしているところに友人から連絡が来る。
高速バスで那覇に向かう予定と話をしたところ、少し遅くなってよければ車で送って行くよと申し出てくれる。
明日は平日で仕事もあるというのに、大丈夫だからと言ってくれる友人。
おきなわにいると、サラッとした軽やかな優しさを感じる場面が多い。
見返りや何か裏を感じるようなねっとりした優しさではなくて、サラッと軽やかな優しさ。
友人の旦那さんが帰ってくるまで、家にお邪魔させてもらう。
夕飯とデザートのケーキまでご馳走になる。そうこうしていると旦那さんが帰宅。
友人の旦那さんの運転で、宿がある那覇市泊まで送ってくれる。
別れ際には友人の旦那さんと私のパートナーはすっかりハグをする仲になっている。
それを見た友人は「お互いの相方を見せれる時が来るなんて感動ものだね」としんみりつぶやく。
長い付き合いの友人と私、そしてさっき出会った私たちの大切な人たち。
今はこうやってお互いの大切な人同士が会っているのが不思議と思いながら、そうだねと返した。
