紙コップの中の鉛筆削りカス
ある福祉団体のクリスマス会で大正琴を弾くことになった。
全盲や弱視の方が多い会である。ボランティアとして参加しているが、いつも教えられることの方が多い。
久しぶりに家で大正琴の練習をした。
ふと前を見ると、紙コップが置いてある。中には鉛筆の削りカスが入っていた。
6歳の孫が、日本の小学校に1ヶ月通ったときに削ったものだ。
別のマンションを借りての滞在だった。お別れして、ちょうど2週間が過ぎている。
「来て嬉しい孫、帰って嬉しい孫」とよく言う。
確かに私はひどい風邪のあとで、6歳と4歳の相手をし、生後4ヶ月の赤ちゃんを時々抱っこし、正直疲れもした。
それでも――
この小さな鉛筆削りカスが、走馬灯のように出来事や会話を蘇らせる。
6歳の男の子は、小学校1年生のクラスに入れていただいた。
最後の日、本人は知らされないまま、お礼の挨拶をしたという。
父親である私の息子が原稿を考え、スライドにし、練習したらしい。
担任の先生のご配慮で、日本語の紙スライドをクラス全員に見せながら、日本語で語ったという。
「この1ヶ月、仲間に入れてくれてありがとうございました。
鉄棒やマットはニュージーランドにはないので面白かったです。
いつかニュージーランドへも来てください。
ありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀。
日本語が上手だと驚かれ、アンコールまであったそうだ。
上靴は21センチ。
両親とも長身である。この子はどれだけ大きくなるのだろう。
鉛筆も鉛筆削りも使わないニュージーランドの小学校で、今ごろ大好きな算数に取り組んでいるだろうか。
友達と仲良くしているだろうか。
できれば長く生きて、この子たちの成長を静かに見守りたいと願っている。
2025年12月13日
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